第三十三話 正義の国 ポラリス王国
3日間の旅路を経てようやく正義と規律の国、ポラリス王国に着いた。
外の外壁はかなり高く、多くの警備隊が監視をしている。まるで要塞だ。
「さてと、いきなり王を倒すのは無理だからまずは情報集めだな。昼頃だから飲食店に人が多いだろう。」
「うん。」「はーい。」「うむ。」
城下町はかなり静かで皆がボソボソと話している。まず、住民の目が笑っていない。
「へー、結構建物は立派ねー。」
レナは緊張感というものがないらしい。
よそ見をしながらフラフラ歩いていると3人組の男とぶつかった。
「おいおい、いてぇ〜じゃねぇかお嬢ちゃん。こりゃお詫びをしてもらわないとな〜。」
レナはムスッとした態度で言い返した。
「あんたこそ横並びに歩いてるんじゃないわよ。通行の邪魔。」
カチンと来たチンピラは武器を取り出した。
「許せねぇ、この生意気なガキを後悔させてやる!」
「行きますぜ、ゼヴァの兄貴!兄貴は能力持ちなんだぞ!」
ゼヴァという男は確かに少し強そうだ。
俺は剣を出すまでもなくゼヴァを投げ飛ばし、レナも腹パンを決め、残りの1人はデュークが拳一発でKOした。
すると、いつの間にか周りの店の人や通行人がザワザワとしている。
ん?イザコザぐらいよくあることじゃないのか?
すると、警備隊と馬に乗った男がこちらに向かって来た。
「なんだね?この騒ぎは?この町で喧嘩なんていう低レベルなことをした人間は誰かな?」
警備隊か。ならさっさと通報してっと。
「こいつらが武器を出して脅して来たんですよ。」
「ふーむ、なるほど。しかし、喧嘩に参加したのはお前達もだな?なら貴様も逮捕だ、ロギアス・アレク・レオナード。」
な、こいつ。名前を知ってやがる。
「聖魔王国から伝令が来てるんだ。我々の取引を崩し、神の暗殺を企んでいる「世界の異端者」ってね。」
はなからこいつらは俺たちを捕まえに来たってわけだ。
「上等だ、捕まえたいなら捕まえてみろ。それがお前らの「正義」ならな。」
「そうだとも。悪人を捕まえる仕事をする我々警備隊こそ正義の象徴。貴様らは小汚い冒険者、、どこまでいっても君たちが正義としてみられることはない!」
レナは戦いたくてウズウズしているようだ。
「正義正義ってうるせぇな。みんな、行くぞ!」
俺は馬上にいる上官のネイドを、レナ、デューク、ウェルアには兵隊を相手してもらう。
レナは空間操作で兵隊数人を浮遊させて遠くへ飛ばした。デュークは錬金で盾を作り、その盾で敵を吹き飛ばしていく。ウェルアも負けじとくしゃみが止まらない魔法をかけて相手を混乱させている、、、あいつだけネタじゃね?
このネイドという男、氷系魔法をかなり使えるようだ。
「マスターフリーズ!!」
「マスターフレイム!!」
二つの魔法が重なり、水蒸気が発生する。
「なかなかやるではないか。しかしこれを避けられるかな?」
なんか出してくるのか?俺はすぐさま「見切り」を発動させ警戒する。
「くらえ!アイスランス!!」
無数の氷の槍が目の前に飛んできた。
「見切り」で少し先を見ていたので、落ち着いて剣を構えた。
「居合の三式 翠嵐」
剣を素早くしなやかに動かして全ての攻撃をいなした。
しかし、後ろから見ていた男の子に氷の槍が当たりそうになる。
「おい!危ねぇだろ!俺たちを攻撃するのはいいが民間人まで被害が出たら、、」
するとネイドは馬から降り、呆れたような口調で話し始めた。
「はぁ、そこにいるのが悪いんだ。我々は悪党を捕まえるために行動してやっている。民間人が怪我をしても正義を執行するためには邪魔なだけだ。」
だんだんイライラしてきた。
「おい、タダで済むと思うなよ?クソナルシスト野郎、、」
俺は先程よりも強く剣を握りしめた。
マーセル・ネイド・ザラシス 無能力 氷系魔法を得意としており、槍に魔力を注ぎ氷の槍を作ることを得意とする。ナルシスト。
ゼブァ・シャーム ??? かなりの戦闘好き。