第三話 複製
現在、俺は6歳。小学生1年生ぐらいだ。
言葉も話せるようになり、あの日から体が動かせる間は魔法の練習や剣の練習、筋トレを毎日するようにした。
これにより基本的な魔法や少し発展した魔法は唱えられるようになった。
なぜこのようなことをしているのか。
やはり前世でも思ったが若いうちから鍛えておくと将来の幅が広がりやすいのだ。
前は一応モテるために筋トレをしたが、、三日坊主でやめてしまった。
「アレク〜!ご飯よ〜!!」
「はーい!今行くー!」
俺は元気に返事をし、走って屋敷の中に戻った。母さんとテーブルを合わせて食事をしている時、
「ねぇ、アレクは魔法や剣について興味があるんだよね。明日、知り合いの先生が来るからお父さんには内緒で習わない?」
と突然言い出した。
俺はあの日から冒険者になりたくてなりたくてたまらなかった。
あんなふうな技を使って魔物を倒したい、そう思い続けていたのだ。
このチャンスは逃してはいけない。
「うん!学んでみたい!でも、お父さんは怒らないの?」
父さんは今、出張で遠くの街にいる。2、3年は帰ってこないと言っていた。
なぜ心配をするのか、理由として父さんは俺を危ない世界には連れて行きたくないと聞いたからだ。
「大丈夫よ、お父さんは少し心配性なだけ。」
母さんは笑いながら言う。
その後、大きな風呂に入る(メルさんとら一緒に、、)
安心してくれ、目は閉じている。
寝る前に魔法書を読み寝床についた。
これがいつもの日課である。
俺は明日はどんな人が来るのか楽しみでなかなか寝付けなかった。
次の日の朝、屋敷の門の前に一台の馬車が止まった。
中から降りてきたのは白髪で青の眼球をしており見た目は若々しい老人だった。
「レイヴン先生〜!」
母さんが家を出て飛び込んでいく。
俺も急いでドアを開け、母さんについて行く。
「はっはっは。そんなに強く手を握られたら潰れてしまうよ。さて、あの頑固者のベレトの息子とは一体どこかな。」
俺は恐る恐る、母さんの足の横から覗き込む。
この人は間違いない。ただならぬオーラを感じる。
「アレク、この人は大賢者であり私の先生でもあるマルクス・レイヴン先生よ。ほら、挨拶して。」
いつもここで躊躇してしまい、失敗するのだ。
人は最初の一声で第一印象が決まるらしい。
だが、前世とは違うと言うことを自分で証明しなければならない。
ここは勇気を振り絞れ!
「こ、こんばんは、、」
とかすれた声で言う。
レイヴンさんは少し俺をじっと見つめてきた。
「ふむ、この子は教え甲斐がありそうだ。」
「そうでしょ先生。この子は自慢の子なんですよ!」
母さんは自信満々に言い放った。
「では私と模擬戦をし、君の実力を見させてもらう。」
早速試験的なものを言い渡された。
え、ガチか。と思いつつ俺は慌てて老人に着いていく。
そして、老人は庭の中央に立つと
「さぁ、自分の全力をぶつけてきなさい。」
俺は魔力量は豊富な方だ。
魔法を20回唱えてもまだ大丈夫なくらいだ。
俺の全力を耐えるってなかなかだぞ。
「じゃあいきますよ!火球!!」
まずは火球。
炎系魔法だ。
これはあっさり避けられる。
次に土系魔法を使い、地面を老人を囲うように器状に変形する。
「水球&雷攻!」
土の器に水を入れ、雷魔法で感電させる。
この技なら盗賊くらいは簡単にやれる。
しかし、この爺さんはまるできいていないかのようにただずんでいる。
「まさか、これが全力ではあるまいな?」
まじかよ、このお爺さんにかすり傷ひとつつけられないなんて。
俺はショックだった。
自分を過大評価しすぎていたのだ。
このまま魔力を温存していても意味がない。
なら、ここで全部ぶつけてみるしかない。
俺は剣を手に取り構えた。
「ん?まさかその構えは、、」
父さんが見せてくれたあの技だ。
密かに練習してきたが、ここで使うことになるとは。
「レイヴンさん!いきます!」
呼吸を整え、足を一歩前に出し一気に剣を横に振る。
「龍殺斬!」
技を放った瞬間、未完成だったせいで技は暴発し空高くに吹っ飛んだ。
え。
15メートルほど飛び上がり魔力も尽きている。
母さんが慌てて走ってくる。
レイヴンさんも追いかけてくるが間に合わない。
そのまま俺は頭から地面に叩きつけられた、、
、、、俺死んだのかな。
くそっ!結局、前と同じか。
何もできずに死んだ。
せっかく2回目の人生で頑張ろうって思っていたのに。
「よぉ、大変だな。こんな若い間に死にかけるのは」
どこから声がする。
辺りは真っ暗で何も見えない。
しかし、脳内に直接声がきこえてくる。
「まぁ、焦らず聞いてくれ。こうやって話すのもあまり時間が無いんだ。時を超えてきてるからね。単刀直入に言う。君はこの世界の能力について知ってるかな?」
スキル?あぁ、本で見たことがある。
人が生まれてくる時にまれについてくるものみたいな。
「そう。君は能力無しと思っているかもしれないけど、君はちゃんとした能力がある。能力名は、[複製]。相手の能力を完全に見た時、または相手に触れた時にコピーできるんだ。例外は、神罰能力っていうのはコピーできない。また、条件を満たしてなかったりするとコピーできないんだ。」
なるほど。だから魔法を覚えやすかったのかな。
「いや、それは君の才能だね。魔力量も多いし、覚える才能もある。レイヴン先生に習えばさらに強くなれるよ。」
待て、なんでレイヴン先生を知っている?それに俺の実力まで知ってるってあんた何者だ?
「それは、、人生を歩んでいけばわかる。さて、そろそろ限界だ。これから君が歩む人生は出会いがあり、挫折と後悔の連続もある。それでも前を向いて頑張るんだ。そして俺と同じように、神の野望を止めてくれ、、」
おい!待てって!
声は聞こえなくなった。そして俺の能力、複製が発動した。
「再生」
そう聞こえた時、俺は目覚めた。
ここは家のベットで、母さんとレイヴンさん、そしてメルが心配そうにこちらを見ている。
なぜ助かったのかはわからない。
しかし、これだけはわかる。
これから俺は過酷な人生をこの能力、『複製』で乗り越えていくのだと、、
今回は長くなり申し訳ありません。一応、説明仕切れていないスキルの説明をしていきます。あと、能力という読み方です。
再生 アレクの母の能力。あらゆるものを少し前の状態に完璧に直す能力。しかし、この能力を意図せず発動した際には使った際の記憶が無くなってしまう。