第二十八話 決戦の前日
打ち合わせが終わった後、レナとカレラさんに俺とウェルアは引き止められた。
「ねぇ、正直に答えて。資料を探して情報を提供してくれた男の人って私の父さん、キルスなの?」
やはり、バレてしまった。カレラさんが知らないわけがないのだ。
「あぁ、そうだよ。隠しててごめん。」
「別にいいわ、、ただ、最後のあの人はどんな感じだった?」
カレラさんが涙を堪えながら質問をしてくる。
「最後まで家族思いの人でした。」
2人はそれを聞いて安心をしたのか、ありがとうとだけ言い残して去っていった。
その後、俺はさっきのオロチについて語ってくれた青年、デュークのところに行った。
「ん、来たのか。」
彼には、オロチ討伐のためにオロチがどのような魔獣なのかは聞くために待ってくれと頼んでおいた。
話を聞くに、オロチは俺の知ってるものと同じなようで8本の首と8本の尾、全身硬い鱗に覆われていてかなり大きいらしい。魔法を使い、討伐は困難。
「ちなみに、なんでオロチについて知ってるんだ?」
「、、俺の家は代々この話を聞かされてきた。初めはおとぎ話かと思っていたのだが、、、覚えておいてよかったよ。」
「なるほどな。デュークは何か作れるか?」
「あぁ。俺の能力は「錬金」。あらゆる物質を変形させることができる。時間は20分ほどだ。」
「いいね。じゃあ作戦のためにこれを作っておいてくれるかい?」
そう言って、設計図を渡す。
「む?これは?」
「クロスボウって言ってな、まぁ大きな弓って感じだ。オロチについてなら一つ弱点を知っている。そこを試すためにこの道具が必要なんだ。」
「わかった。アレクは知恵者だな。」
「いや、別に頭がいいってわけじゃない。ずる賢いのさ。」
その後は、周りのみんなに配置について話したりドワーフに自分の剣を打ち直して応急処置もしてもらった。
いろんなところを回っている間に、夜になり酒場へと向かった。
そこには、レナやウェルア、そしてデュークも飲み疲れている。
どうやら、レナの悲しみを紛らわすために飲み漁ったようだ。
カウンター席ではジースとそのほかの人々が俺を手招きしていることに気づいた。
「おーい、坊主、こっちだ。」
「まずは乾杯、この酒はうめぇぞぉ〜」
かなり酒臭い。そしておっさん臭い。
ゴクッゴク
何気に初めての酒だ。飲むと気分がスッキリする。
「どんなもんだ〜い!」
「おお〜、いい飲みっぷりだな。もっと飲め飲め!」
「そういえば、坊主はどっから来たんだぁ?」
「それはですねぇー、、」
俺の生まれた国はここから遠く離れており、ここに着くまでも色んなことがあったと話した。
「大変だな〜、そりゃ強えわけだ。ははっは!」
「ジースの家族についても教えてくださいよぉ〜。」
「あぁ?俺の家族は、、違う町で暮らしてるよ、、娘もいるんだ。まだちっさくてなー。」
するとポケットから手紙を出してきた。
「こうして、毎月手紙を送ってるんだよぉ、、返事はこねぇけどな。」
ぶははっと笑いが起こる。
その声で目を覚ましたのか、レナがその手紙を奪い取り読み出した。
「お、れは、元気にして、、ん?字が汚くて読めなぁーい。」
「あ、このガキっ、、読むんじゃねぇ〜!」
確かに字が汚い。小学生レベルだ。
「字は綺麗に書くと、思いが伝わるんですよー。」
「そうだ!私達が教えてあげるわ!」
それから深夜まで俺とレナでジースの字を綺麗にする特訓をした。
レナは寝落ちをし、俺も限界が来た。
ジースは俺たちが教えるのをやめても1人黙々と字を書く練習をしていた。
明日はついに決戦の日だ。
デューク・ヒュリホン 錬金 物体に触れることでその物体を加工することが可能。壁を作ったり、武器を作ることもできる。効果は20分程度。複製不可。