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複製人生   作者: 名のないりんご
第二章 ドワーフ王国編
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第二十三話 地下の強者

彼女と連れの子供達は慣れたように危険な道を進んで行く。


30分ほど歩くとようやく町が見えてきた。


高い天井にまで家がマンションのように積み重なっており、人々はジップラインのようなもので行き来をしている。


そして前を歩いていた少女は子供達を近くの大人に預けた後、宿の中に入って行った。


「お母さん、ただいま!」


ここがあの少女の家なのか。


「おかえりなさい、レナ。どこまで行っていたの?」


「ジース陣営の奴が襲ってきたから追い返してやったわ!」


すると、レナという少女の母親はその子の肩を勢いよく掴んだ。


「何やってるの!?あいつらは危ないんだからすぐに逃げてきなさい!今、陣営争いで人質も取られていることをあなたも知っているでしょう!?」


「し、知ってるわよ、、そのくらい、、」


レナはまたそっぽを向いている。


「後ろの方々は、、、お客さん?」


「そうよ!こいつらを連れてきたの!また稼げるね!」


ん?お客になった覚えはないぞ、、


「えーと、あなた達はどこからきたのかしら?」


ウェルアは俺の後ろに隠れている。


大人と話すのは苦手なタイプかよ、、


「俺の名はアレク・レオナードです。こっちは旅の仲間のウェルア。冒険者をやっています。」


「どうやってここに来れたのかしら?」


「地上から物資用のトロッコで降りてきたんですよ。地下にも自分の家族がいるかもしれないし、困ってる人がいたらできるだけ助けたいので。」


その話を聞き、急にレナの母親は泣いてしまった。


「助けが、、来たんですね、、良かった、、、本当に良かった、、」


「申し遅れました。私はこの「モグラの宿」を営んでいるカレラと申します。主人は今出掛けていて、この子は娘のレナです。」


すると、ウェルアも前に出てきて軽く自己紹介をし、少し話をした後居間の椅子に座らせてもらった。


「うちのレナを助けてくださったのですね。ありがとうございます。この子は昔から乱暴な子なもので。」


「ちょっとお母さん変なこと言わないで!!」


なんとか話し相手が見つかって良かった。


「それで、今この地下の町はどうなっているのですか?地上であらかた話してはもらえたのですが、、」


「少し前に、大国であるポラリス軍が炭鉱の町を占領し、地上への通行手段を壊してしまいました。その後、奴らは武器製造のノルマをクリアしたら出してやるという話を出してきて、誰もがその話を飲むしかありませんでした。しかし、時が経つにつれてみんなの不満は暴走し、少ない物資を奪い合い、陣営争いにまで発展したのです。」


「じゃあ、地上へ行く手段を探すのではなく、別の問題が生まれたってことですか。」


ここまで大変とは思ってなかったが、分かった以上無視は決してできない。


するとウェルアが急に声を上げて言った。


「大丈夫よ、カレラさん。こっちには頼りになるアレクがいるから。犯罪集団のボスを倒した実績もあるの。」


おい、一気にハードル上がったな。


話し合いについていけなくなったレナは、黙って外に出て行った。


俺もトイレと嘘をつき、後を追う。


裏路地に入り、止まった。


「あんたなんなの?勝手に降りてきて、私たちを助けようとして何を望んでるわけ?」


なるほど、俺を全く信用してないわけだ。


「別に理由なんてない。人助けをすることに理由はいるか?困ってる人がいたら、自分ができる最善のことをし尽くすのは当たり前だろ?」


「なにそれ、バッカみたい。あんたみたいな何を考えてるかわからない人間は嫌いなのよ。地上の連中もね。」


すると、大通りの方が騒がしくなっている。


「なにかしら?」


俺たちは恐る恐る路地から覗いてみる。


すると、カレラさんが剣を持った男に問い詰められていた。


「お前らの代表はいつ決まるんだよ?陣営争奪戦をするって言ってたよな?お前の旦那は逃げてばかりなのか?」


「あの人はっっ、、」


すると男は剣を抜き、カレラさんに向けた。


「代表がいねぇならあんたが戦うかい?それとも大人しく、、」


レナは急に走り出し、釜を持って男に飛びかかった。


が、男は先を読んだかのようにひらりと交わしレナを思いっきりぶん殴った。


「な、、レナ!!」


ウェルアは魔法使いなので剣士には太刀打ちできない。


「よし、お前の旦那の代わりにこの娘が出てもらうことにしよう。」


「待って!レナは、、」


「なら、この陣地は俺たちの陣営ってことで、、」


俺は筋力増強を使い、男の前に移動した。


「やっと話がまとまったぜ。ここはカレラさん、そしてレナの家だ。おっさんが入り込んでいい場所じゃないんだよ。」


ウェルアは待ってましたと言わんばかりに目を輝かせている。


「お前、、名前は?」


「俺の名はアレク。ここの陣営の代表だ。」


すると男は剣を納め、ニヤリと笑った。


「俺はジース。ここの陣地を、奪いに来た者だ!」



カレラ・メリアス 無能力 優しい性格をしており「モグラの宿」の店主。

レナ・フォーゼス ??? 考えていることがわからない人間を嫌っており、特に地上の人間がなぜこのような酷いことができるのか理解できず嫌っている。


ジース ??? 顔には複数の傷があり、少しだけ装備をつけている。

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