第二十二話 毒舌少女
俺たちは、鍛造屋のおっさんに言われた地下に物資を配布するトロッコに忍び込んでいた。
「ちょっとアレク!変なとこ触らないでね!」
「触ってねぇよ、」
すまんウェルア、、、少し当たった。
しばらくしていると、トロッコが下へと進み始めた。
このトロッコは片道しかないので、ポラリス軍はドワーフ達を本当に逃す気は無いんだな。
かなり下にまで進んだあと、急に緩やかになり壁に激突して止まった。
「いってぇ、、」「痛っ、」
俺は頭を、ウェルアは背中をさすりながらトロッコから出る。
辺りは暗く、人を気配は無い。
所々に灯りが付いているが全体的に静かだ。
「さて、、どこに向かえばいいのやら。」
そうして廃村のようなところを歩いていると声が聞こえてきた。
「ハァッ!!」
「うおっと、危ねぇなお嬢ちゃん。そんなもん振り回してたら怖いぜぇ〜」
ガキンガキンと武器が当たる音が聞こえてくる。
誰かが戦ってるみたいだ。
「アレク、行ってみましょう。」
「あぁ。」
俺たちは、岩に囲まれた細い道を通っていく。
そして開けた場所に出ると、そこに2人の小さな子供と俺と同い年ぐらいの少女がいた。
戦っている相手は、大人の男1人と女1人。
「ウェルアは後ろから援護を!」
「わかったわ!」
女が子供を、男が少女を同時に攻撃しようとしていた。
俺は子供と女の間に割って入り、敵の剣を止める。
「な、なんだいあんたは!?」
「通りすがりの冒険者だ。」
そして相手に蹴りを一撃入れる。
「ぐっ、、」
すると、少女が俺の存在に気づいたのか声をかけてきた。
「あんた何者?部外者は手を出さないで欲しいわ!」
な、なんだこの少女は!いかにもおっかない系だ。
油断したスキに男は剣を振りかざそうとする。
そこにウェルアの魔法攻撃が入り、男は気絶した。
女は状況を理解したのか男を肩を抱えながら、逃げて行った。
子供達は泣いて少女に抱きついている。
「大丈夫か?怪我とかあれば治療するけど、、」
「ふんっ!助けて欲しいなんて言ってないし!」
うん、こいつはダメだ。
すると、ウェルアが怒ってしまった。
「アレクが気にかけてくれてるのに貴方よくそんなことが言えるね。ありがとうも言えないの?」
やばい、これは喧嘩の予感、、
「はぁ?あんな奴ら、私1人で倒せてたし!」
「ま、まぁ、とにかく!街というか集落に案内してくれないか?色々と情報が欲しいんだよ。」
少女はふんっ、と鼻息を鳴らし勝手についてこいと言わんばかりにズカズカと歩いて行った。
「アレク、怒らなくていいの?お人好しすぎるよ。」
「別にいいよ。話しにくい人だっているさ。」
こうして俺たちは地下に入ることに成功し、毒舌少女に出会ったのだった。
少女 鎌を武器に戦っている。性格は荒々しく、目は紫色の獣のような目。能力は不明。