第二十一話 ゴルデア王国
ウェルアの一件の後、俺はニアさんにお別れを告げに行った。
「あれ、アレクさん。どこにいくんですかニャ?」
「今日でこの町から離れて、ドワーフがいるゴルデア王国に行きたいと思うんだ。家族の情報も探したいし。」
「なるほど、寂しくなっちゃうニャんね、、アレクさんには沢山助けてもらったのに何にも返せないままお別れになっちゃったニャ。」
尻尾は垂れ下がり、耳もシュンとしている。
「また旅行とかの機会があればか伺いますよ。」
「アレクさんの家族はきっと見つかるニャ。ご武運をお祈りしてますニャ。」
そういって手を振って別れた。
別れ際にニアさんの銀色のペンダントが輝いていた。
町の出入り口の門にウェルアが待っていた。
「お前、店はどうしたんだ?」
「売ったわ、大事なものは私が持ってるし。地下室もあったけど埋めてもらった。」
どうやら気分がスッキリしたようだ。
「じゃあ行きますか!」
横並びで長い平原を道なりに進んで行く。
そして、ゴルデア王国に着いたのは町から出て5日後だった。
「ここが、創造と精錬の国、ゴルデア王国か、、デカいなー。」
前の町より何倍もデカい国だ。
周りは大きな壁で守られており、国の中心はベルセド広場という場所だ。
そこには横に広く大きな石柱が建てられている。
周りの雰囲気はどこか暗く、町にも兵士が沢山蔓延っていた。
とりあえず、冒険者ギルドで家族の情報を聞いてみたが手掛かりなし。
せっかくなので冒険者ギルド近くの鍛造屋で俺の剣を打ち直してもらうことにした。
ちなみにこの国に来た理由は家族の件だけではない。
ガルド戦での攻防で剣がガタガタになってしまった。
これからのことを考え、ドワーフにでも打ち直してもらおうと思ったのだが、、
「ねぇアレク。ドワーフが1人もいないんだけど。」
「おかしいな、、」
そこで休憩をしていた男に話を聞いてみることにした。
「すまない、ドワーフの職人はどこにいるのかな?」
するとその男はぎょっとした表情をした後、急いで俺達を奥の部屋へと押し込んだ。
「旦那、もしかして旅のものか?」
まぁそうだけどと頷く。
「悪いがこの『地上』にはドワーフはいねぇんだ。」
「地上にはってどういうことよ?」
男は辺りを見回すと小声で言った。
「実は2ヶ月ほど前に、正義の国ポラリスがゴルデア王国に兵器の製造を依頼してきたんだ。だが、国のドワーフ達は皆それを断った。すると、ポラリス軍が攻めてきてドワーフ全員を捕まえるとこの国の地下に放り込んだんだ。その後は兵器の製造ノルマが終わるまで地下から出さないと言ってな。」
つまり監禁ってことだ。
なにが正義だ。
前世にいた正義気取りと一緒じゃないか。
ウェルアを見たが、彼女も同意見のようだ。
「おっさん、地下に向かう方法を教えてくれ。」
次の目標は決まった。
ゴルデア王国の地下に囚われた人々を救い出すことだ。