第二話 剣と魔法
俺が生まれてから早くも一年が過ぎた。
この一年の間は、とりあえず周りを探索することにした。
どうやらここは、都市とまではいかないがまぁまぁな広さの町でありその町長の屋敷らしい。
家の中をはいはいで駆け回り、ラノベなどで見た西洋風の建築に目を輝かせてしまった。
しかし、いつも捕まえられベビーベットに戻されてしまう。
捕まえてくる人物こそ、父さんのメイド、ジュリアとメルさんだ。
2人とも赤い目をしており、肌も白い。
どうやら、人間ではなく吸血鬼という種族らしい。
それも奴隷。
ここまで聞くと、前世だと男どもが喜んでしまうような風貌である。
「はーい、捕まえましたよ〜。勝手にどっかいったらダメでしょ〜。」
メルのほうは穏やかな性格ですごく可愛らしい。
だが、、ジュリアのほうはいつも無口でこちらを睨みつけてくる。
俺は親の仇だっけと心配になるほどだ。
話を戻すが父さんはここ周辺の地主であり、母さんは看護婦をしている。
俺の部屋はかなり広く、将来のためにいろんなものが置いてある。
さて、一歳になったので自分で本を探し読むことにした。
流石にスマホやパソコンはないので情報源は本しかない。
ここで問題発生、、、難しすぎて読めない。
くそ〜と悔しがっていると母さんと父さんが部屋に入ってきた。
「あらあら、この本はまだ早いわよ。あと4年くらいしたら読めるかもね。」
母さんはくすくすと笑いながら言う。
「今日は久々に予定もないから街に出かけよう!」
ついにお外デビューでちゅ!
母さんに抱き抱えられながら外に出ると沢山の人が賑わっていた。
子供達は走り、馬車が通り、商店街では冒険者のような格好をした人々もいた。
異世界はこんなにも素晴らしいのかと感動した。
しばらく歩いていると八百屋のような店のおばさんが
「あら、ベレト様。可愛らしい子ですわね。お一つどうぞ。」
と温かい目で果実を勧めてくる。
見た目はりんごのような果物だ。
興味本位でかじってみる。
その瞬間、果汁が溢れ出し口いっぱいに甘い味が広がった。
これはうまい!
声に出さないのが残念ながらぐらいだ。せめてまた思い、
「ウー、アァッ!」
と喜びを表した。
「この子、アプルが好きなのね。」
と母さんが笑いながら言う。
この果物はアプルと言うのか。
少し前の世界と似ている名前だ。
その後もいろんな店を周り、最後に町の外に出た。
周りにはところどころ家の痕跡があり廃墟も草に埋もれていた。
「ここは昔、王国があったんだ。世界で一番平和などの種族も仲良く暮らす王国がね、」
父さんは最後少し濁らした気がした。
「ねぇあなた、この子に特技を見せてあげたら?」
「いや、それはやめておこう。この子が興味を示してしまったらどうする?いつか俺のようにこの土地をおさめる人物になって欲しいんだ。」
父さんは焦っている。
数分、母さんが説得する。
「わかった、わかったよ。」
と呆れた口調でいう。
そしてジュリアが父さんに剣を渡した。
そして剣を構え、まっすぐに剣を振った。
「龍殺斬!」
その瞬間、大きな刃が遠くまで飛んでいきあたり一面に凄まじい爆風が起こった。
そして地面に巨大な穴を作った。
「あ、どうしよう。」
父さんが子供のように慌てている。
「大丈夫。私に任せなさい!」
母さんは俺をゆっくりと地面に下ろし、不思議な力を使った。
「再生」
母さんが手をかざすと、さっきのことが嘘のように地面が元に戻ってしまった。
「あなたより私の方がすごいんだから!」
母さんはドヤ顔だ。父さんはしょぼくれている。
そして2人は笑い合う。
俺は1人で困惑していた。
父さんはすごい剣技を扱い、母さんはすごい魔法を使った。
ここまで来ればもうわかった。
ここは、剣と魔法の世界。
男のロマンが詰まった世界なのだ。