第十八話 支配の終わり
はっきり言ってかなりまずい状況になってしまった。
ガルドは人間なのか人間じゃ無いかわからない。
とりあえず、治癒魔法をかけて、、
「いつマデモ休ンデテいいノカァ!?」
観客席の所までガルドが追撃をしてくる。
危機一髪で回避するが、次の一手が思いつかない。
「マスターフレイム&メガウインド!!」
炎の渦に閉じ込めて見るが相手の筋肉には火傷一つついていない。
「ハハッ、俺ハ最強になった!モウ誰も止めラレネェ!!!」
容赦なく飛んでくる拳の連打に剣で防ぐしか無い。
「防戦一方ジャねぇカ!テメェを潰スのも時間の問題ダゼェ!!」
ガルドの片腕の筋肉がさらに盛り上がり、俺を覆い尽くすほどの拳を繰り出してきた。
「くそっ、、潰れ、、ち、、まう、、」
なんて力だ。
死ぬ、、まだ、、家族とあまり話せてないのに、、親父とも、、、
後悔しないんじゃ無かったのか?
そうだ、俺はまだ後悔しかしてねぇ、、、
勝つんだ、そして2度と後悔しない人生を送るって決めたんだ!
「ア?なんで押し返されテンダ?」
俺はガルドの拳を剣で支えながら持ち上げる。
魔力を込めろ。魔法も能力も効かないのなら剣技だ。
レイヴン先生に言われたあの技を、、、
「いいかアレク、剣技は主に2つの基本技がある『ソードガード』と『カウンター』だ。この二つには階級が存在しない。」
「階級存在しないとは?」
「簡単に言えば、個人個人で皆技の精度が違うからだ、オリジナル技というべきだな。」
「父さんが言ってたやつですね。基本ができたなら自己流に変えていく、、みたいな。」
「その通り。アレクは『複製』という多彩な行動ができる能力を持っているんだ。だから魔法や能力が効かない相手が出たら剣技で対応するのが必須となる。そのために君は今この2つを絶対に覚えておいてくれ。」
ガルドは強い。でもこれから生きていくなら俺はそれを越えなければならない。
「来い、ガルド。俺はお前という壁をぶち壊す。」
『ソードガード』
「ソードガードォォ?そんな薄っペラい盾で何がデキルンダよ!?ボロボロにブッ潰してやるよ!!」
ガルドの攻撃が俺のソードガードに当たった瞬間、俺は自己流の剣技を繰り出した。
『マキシマム カウンター!!!』
相手の倍の攻撃力で撃ち返す技。
効果は絶大でガルドの右腕が吹っ飛び、体制を崩すほどだった。
「ぐあぁぁぁ!フザケやがってぇぇェェ!!」
そして俺はあの構えを取る。
スキは大きいが、その分威力を発揮する。
「終わりだ、ガルド。」
幼い頃、俺はこの技をレイヴン先生の前で見せようとして暴発してしまい死にかけたものだ。
今なら出来る、そんな気がした。
『龍殺斬』
その瞬間、眩しいほどの閃光が走り、地下闘技場の半分が消し飛んだ。
ガルドも元の体に戻り、胸には大きな傷。
俺は初めて格上に勝ったんだ、、、
前世なら味わうことすらできなかった達成感。
俺は初めて自分の行動に後悔という気持ちが生まれてこなかった。
その後、大粒の涙を流し闘技場を後にした。
その後、俺はニアさんのところに行きガルドに勝利したことを報告した。
ニアさんは涙を流し、俺はその場で気を失った。
警備隊にはニアさんが通報をし、俺の介護はニアさんと同じガルドの支配を受けていた人々がしてくれた。
地下闘技場にいた人々のほとんどが捕まり、ガルドも拘束され、留置所に入れられた。
ニアさんとの契約を件は裁判が終わった後になるらしい。
この街はもうガルドの支配から解放され、皆が自由になった。
闘いから2日後。留置所にて、、、
「クソッ、あんな奴に俺が負けるなんて、、ニアの奴隷解除をする前に逃げださねぇと、、」
キィ、、
牢屋の扉が開く音がした。暗闇で何も見えない。
「誰だ、、、まさか俺を助けにきてくれたのか!『神』よ!」
そしてフードを被った男は俺に質問をしてきた。
「薬?あぁ、使ったぜ。かなりいい効果だった。名前はアレクって奴だぜ、殺すのはあんたらに頼むよ。」
質問が終わるとその男はナイフを取り出した。
「ま、待てよ、、俺はまだやれる!は、話し合おうぜ、、なぁ!?」
そしてゆっくりと歩み寄ってくる。
「た、頼むよぉ、、助けてくれぇ!誰かぁぁ!嫌ダァァァ!!」
次の日、ガルドは牢屋内で見るも無惨な姿になっていたという、、
ソードガード 相手からのダメージを削減してくれる技。魔力の精度によって削減する%は変わる。
カウンター 相手の攻撃に合わせて打ち返す技。アレクの場合は相手の攻撃力に応じてカウンターの威力が増す。