第質話 Confront~~対峙~~
大変お待たせ致しました!!
月面基地を発進した地球連邦軍宇宙艦隊は、月軌道上で艦隊編成を整えていた。
ーーーー月軌道上ーーーー
『エルトリア艦隊の現在地は!?』
地球連合艦隊旗艦クイーン・オブ・エリザベスの艦橋で声が響いた。
「現在、エルトリア艦隊は火星圏を離脱し火星と地球の中間点まで進軍中!まもなく、当方の第一警戒線に侵入します!」
参謀のショーン・クロスロード少佐が答えた。
『了解した。艦隊編成の方はどうなっているか!?』
「はっ!まもなく全艦月軌道上に到着が完了します!!」
「ヒイラギ司令。本当にエルトリアと戦争になるのでしょうか?」
ショーンが不安そうな顔をしながら言った。
『ばかもの。戦う前からそんな気でどうする?第一まだ戦闘になるとは決まっていないのだ。そう慌てるな。』
「はっ!!申し訳ありません。シュウ・ヒイラギ司令長官閣下!!」
ショーンはヒイラギ司令に対し、深深と頭を下げた。
『いや、そんなに謝らんでもいいぞクロスロード君。実を言えば私も不安だ。我々は、宇宙での戦闘経験はほぼ無いに等しい。しかし、奴等は宇宙での戦闘に慣れている。実戦経験、兵力差共に我々が不利な状況にある。だが、我等はそれでも守らねばならない。ここは、我々地球人類のものだ。奴等の思いどうりにはさせん。』
ヒイラギが艦橋に映し出されている宙域を見ながら言った。
「はい!地球人類の底力を見せ付けてやりましょう、ヒイラギ司令!!」
『ああ。』
ショーンがヒイラギの後ろに立って言った。だが、ショーンの心とは裏腹に、ヒイラギの心の中では不安がくすぶっていた。
『(こんな愛国心溢れる青年を我々は失うのか…。若者は人類の宝だというに…。)』
「全艦月軌道上に集結を確認!艦隊編成完了!!」
オペレーターが叫んだ。
『了解した。全艦隊に通達!これより本艦隊は地球圏第一防衛線に向け発進する!全艦全速前進!!』
エルトリア艦隊の進軍阻止の為、総数40隻の地球連合艦隊が動き出した。
ーーー地球圏第一防衛線ーーー
「前方のエルトリア軍艦隊に対し通告する。こちらは地球連邦政府所属、国境監視衛星イカロスである。貴艦隊は、わが国の領域に接近中である。だたちに進路を変更されたい。繰り返す、こちらは地球連邦政府所…」
ブツン…。通信が切られる音がした。
エルトリア第三艦隊旗艦コンキスタドール艦内
「ふん!下等民族の分際で主権を訴えるとは、腹立たしい。このまま無視して直進せよ!!」
第三艦隊提督ヘンデル・エル・ヨハネスブルクが不機嫌そうに言った。
「しかし、提督!主権侵害は銀河連合憲章に反します。それに、地球側は皇国と密かに通じているという情報も…。」
副官のクラウス・ミュラー大佐が不安げに言った。
「そんなもの知らん!もし、ガイアが皇国とパイプを持っていたとしても、兵力差は歴然だ!皇国の輩が何をしようとこの状況は変えられん!第一、奴等は宇宙艦隊を所持しておらんのだぞ!?奴等に何ができる?また以前のように簡単に侵入できるはずだ!」
「はっ申し訳ありません!提督閣下!!」
クラウスがヘンデルの後ろに下がり謝罪した。
地球連合艦隊旗艦内
「エルトリア艦隊、警告を無視し進軍中との情報あり!まもなく映像でます!」
オペレーターのスミスが叫んだ。
ブウンッ…。映像に映った艦隊を見て、エリザベスの艦橋にいた兵達は緊張していた。いよいよ、エルトリアと対峙するときが来たのだ。
「エルトリア艦隊補足!艦数は約40隻!エルトリア第三艦隊と確認!!」
『地球軍総司令部にこの情報を通達せよ!本艦隊はこのまま直進!全艦第二戦速!!』
エルトリア軍艦隊側のレーザーにも、地球方面から出現した艦隊を捕らえていた。
「レーダーに反応!ガイア方面より、所属不明の艦隊出現しました!」
『なんだとっ!!皇国軍か!?』
ヘンデルが叫んだ。
「いえ、これは皇国軍ではありませんっ!!データが存在しません!解析不能!!」
エルトリア兵が叫んだ。
「まさか…閣下っ!もしかすると、地球は宇宙軍を保有していたのではありませんか!?」
副官のクラウスがヘンデルに向け言った。
『そんなバカなっ!!下等民族の分際でっ!!!』
「敵艦隊、本艦隊の進路上に展開!!本艦隊の航行を妨害しようとしています!!」
『撃沈せよ…。』
ヘンデルが小声で言った。
「はっ?閣下。いまなんと?」
聞き取れなかった副官のクラウスがヘンデルに対し言った。
『地球が艦隊を出してきたということは、わが国に対する明確な敵意の表われだ!よって本艦隊は、これを地球の返答と解し、これを武力でもって排除する!!全艦隊に通達。艦隊戦闘用意!!ただし、ことらからは決して撃つな!!』
地球連合艦隊がわにも、エルトリア艦隊が戦闘配置についたという情報が伝わった。
「エルトリア艦隊、戦闘態勢に移行。進路を変更せずに尚も進軍中!」
『警告通信はそのまま続行。こちらも応戦体制に入る!全艦隊に通達!全艦対艦・対空戦闘用意!!』
ヒイラギが叫んだ。
いまここに、地球の運命を決める決戦が始まろうとしていた…。