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宇宙(そら)へ  作者: 桜華
7/25

第陸話 Invasion~~侵略~~

『決まりましたな。それでは、私達も準備がありますので、失礼させて頂きます。』

暁守がジョージ連邦大統領に対し言った。

「ええ、宜しくお願いいたします。常陸公爵閣下。聖皇陛下にも宜しくお伝えください。」

『はい、それでは。』

ブツン…。通信が切れ、テーブル中央に映っていた映像が姿を消した。議場は、未だ興奮に包まれている。

「これから忙しくなりそうだ。ハア、本当にこれでよかったのだろうか…。神よ我等人類を守りたまえ…。」

大統領の独り言は誰にも聞こえていなかった。


ーーー日本国内某所ーーー

「ようやく地球は開戦を決意したか。それで、その後はどうする気なのかね?暁守卿。」

『まだ、日時もあります。手筈どうり皇国本土から第八艦隊を地球圏に回して頂きたいのですが。』

「了解した。それで、地球は持ちこたえられそうなのかね?」

『…持って一週間ってとこですね。』

「そうか…。早急に艦隊を派遣しよう。到着は三日後になると予想される。それまで、持ちこたえてくれ。」

『了解いたしました。日向宮殿下。それでは。』

と言って、常陸は通信を切った。

「ハア、忙しくなりそう…。」

と小言を言った後、常陸は制服に着替え学校へ向かった。


「おはよ~常陸!!」

がしっと上から覆いかぶさるように、大上が抱きついてきた。

「おはよ。てか、重いから早くどいてくれない?」

いつものことのように常陸は大上をあしらった。

「冷たいなぁ~。そんなんだから彼女ができねぇんだよ~。」

「うるさいな。ほっとけ。」

ムスっとしながら学校の校門をくぐったときに担任の先生に呼び止められた。

「おはよう常陸君。突然で悪いんだけど、朝学のプリント職員室まで取りに来てくれない?」

「あっはい。わかりました。大上、悪いんだけどついて来てくれない?」

「りょーかい☆」

職員室に入ると、テレビの音が常陸と大上の耳に入った。

『…本日未明に地球連邦が正式に発足しました。これでようやく人類の悲願であった地球の統一がなされました。連邦議会は…。』

常陸は朝学のプリントを取ると、足早に職員室を立ち去った。

「どうした?急に黙っちゃって。何かあったのか?」

大上が心配そうに見ている。

「いやいや、何でもないよ。それより、今日の朝学、日本史だけど大丈夫?」

常陸が状況を察して、話題を変えた。

「げっ!!歴史かよ~。苦手なんだよね~俺、理系だし。」

「覚えるだけじゃんwがんばれ~」

そんな話をしながら、教室に着いた二人は朝学を教卓の上において、自分の席にそれぞれ座った。

それから、朝学をやった後、ホームルームが始まり、そのまま授業が始まった。今日は、担任の木村先生の日本史の授業が一限目にあったからだ。真面目に受けている雨宮とは対照的に、相変わらず大上は爆眠している。

「(平和だな…。)」

常陸は、蒼く澄んだ大空を眺めながめていた。


ーーー火星近海ーーー

「全艦発進!!進路を地球に取れ!!」

火星近海に停泊していたエルトリア第三艦隊が動きだした。その報をISSを通じて連邦政府に伝えられたのは、発進から2時間後だった。

「なぜもっと早くに知らせなかったのだ!!」

ジョージ大統領は、執務室で秘書官と防衛大臣を怒鳴りつけた。

「申し訳ありません大統領閣下!複数機関をとうしていたので、情報伝達が遅れましたっ!」

「言い訳はよい!で、エルトリア艦隊の現在地は?」

「現在は火星圏から離脱し、真っ直ぐに地球を目指して進軍中です。」

「くそっ!!エルトリアめっ!圧力をかける気か!直ちに地球防衛艦隊を出撃させよ!!」

ジョージ大統領が防衛相に対して言った。

「っですが、大統領。それには、連邦議会の承認と宇宙軍出資国の過半数の同意が必要です。」

防衛大臣のアレックスが言った。

「いちいち議会を召集していたら、防衛体制に入る前に地球圏への侵入を許してしまうことになる。直ちに出撃だ!」

「しかし…。」

「ええい!全責任は私がとる!!これは連邦大統領兼地球連邦軍最高司令官として命ずる!直ちに宇宙艦隊を出撃させよ!!防衛線を敷き地球圏への侵入を許すな!!」

「了解しました。」

そういうと防衛相は慌しく執務室を後にした。


ーーー月面・エリザベス基地ーーー

基地内には、緊急発進を知らせるアラームが鳴り響いていた。

「総員、第一種戦闘配置!!繰り返す、総員第一種戦闘配置!!これは訓練ではない!!繰り返す、これは訓練ではない!!」

「おいおい、マジかよ。俺まだ宇宙に赴任して113時間しかたってないんだぞ!」

パイロットのアイク・スタンフォードが基地内を所属艦が停泊しているドックに向け、走りながら言った。

『エルトリアとついに戦うことになるのかよ!覚悟を決めた方がよさそうだな!』

「物騒なこと言うなよダイキ!」

アイクが隣を同じくドックに向けて走っている同僚の大上大樹に向けて言った。

「ああ、そうだな!」

ドックに着き、所属艦である地球連邦宇宙艦隊旗艦クイーン・オブ・エリザベスに乗艦した。

クイーン・オブ・エリザベスは地球連邦宇宙軍が誇る最新鋭の戦闘空母であり、皇国製である。全長は約600Mを有し、可変型機動兵器レクルスを50機を搭載した弩級艦である。主要兵装は70CM主砲三連装レーザー砲三門、35CM副砲三連装レーザー砲二門、艦尾ミサイル、舷側ミサイル、対空迎撃砲十八門を有している。

「総員、乗艦完了!!全艦発進準備完了!!」

艦橋で通信兵が叫んだ。

「司令部より通達!!『地球防衛第一・第二艦隊出動。侵攻する敵脅威に対し速やかに防衛線を構築せよ。』」

「了解した。全艦発進!!」

ここに、後に火星大戦と呼ばれる戦いが始まろうとしていた…。

ご愛読ありがとうございました!

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