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宇宙(そら)へ  作者: 桜華
10/25

第玖話 Warfare~~交戦~~(2)

大変お待たせ致しました…。


「何ということだ…。エルトリア艦隊に敗北を喫するとは。どう責任を取るつもりかね!?ジョージ大統領!」

「感情に任せて軍を動かし、さらに敗北するなど。これでは皇国の救援が来る前に地球は滅亡してしまうぞ!」

「常陸卿とは、まだ連絡が取れないのですか?」

「ええ。接触を試みたのですがまだ…。」

地球連邦中央地下議事堂で主要国緊急大使級会談が開かれていた。もちろん議場は混乱し、責任の擦り付け合いになっていた。

「これ以上話ていても仕方ありません。今後の対策を考えなければ…。」

「そうですな。我が方の被害状況はどうなのですかな?防衛大臣殿。」

呆然と立っていた防衛相は突然話振られて我に還った。

「は、はい!地球連合艦隊の損害状況は甚大です。艦隊の約半数を喪失し、艦載機数も三分の二を喪失しました…。現在は月面最終防衛線まで後退し残存艦と共に艦隊編成を整え、エルトリア迎撃の為最終調整を行っているところです。」

「艦・艦載機共に半数近い損害を出すとは…。」

「エルトリア軍の動きはどうなっている!?」

「現在は、戦闘宙域を離脱し火星圏まで後退して活動を停止しています。」

「敵にもそれなりにダメージを負わせたということか。」

「だが、火星圏まで後退したということは、補給を待っているということでは?」

「ありえますな。補給が完了する前に叩かねば。」

「ですが、我々には残された力はありませんぞ?」

「皇国軍が到着するまで持たせるしか道はありませんな。」

「敵にもそれなりに被害を負わせたのだ。敵も動くまで時間がかかる筈だ。それまでに地球守れば我々の勝ちだ。」

「では、当分の間は大統領の判断に任せるということで宜しいですかな。皆さん。」

議場に出席していた全議員が無言で頷いた。

「ジョージ君。わかっているね?もう失敗は許されないよ。」

「は、はい。」

ジョージ大統領が慌てて答えた。

その後、緊急会合は終了し各議員が議場を後にした。だが、これが地球連邦最後の会談になることになるとは、出席した各議員は知る由も無かった。


エルトリア第三艦隊

「ガイアの連中め!まさか宇宙軍を有していたとは。油断したものだ。だが、我が方の損害は地球側に比べ軽い。皇国軍が救援に来ようとその時にはすでに…。」

「閣下!全艦隊発進準備完了しました!」

「よし!正攻法に転換する!全艦ワープ準備!」

地球側の読みは見事に外れていた。ヘンデルは艦隊を二つに分け、予備部隊として火星後方に艦隊を潜ませていたのだ。

「ワープ座標確認!全艦ワープ準備完了!」

「よし!全艦ワープ開始!!」


月面最終防衛線

ここには、地球連邦宇宙軍が所有する全戦力が配備されていた。

多数の被害を出した地球連合艦隊は月艦隊と合同編成となり、戦力は出撃時よりも増えていた。

「エリザベスの被害も大きいというのに、また戦場に駆り出すなんて司令部は何を考えているんだ。」

ショーンがヒイラギとコーヒーを飲みながら言った。

「仕方ないだろ。このクイーン・オブ・エリザベスは地球連合艦隊の象徴だ。それがドックなんぞに入っていたら兵達の戦意が下がってしまう。」

この艦の艦長であるハボックが言った。

「司令はどうお考えですか?」

「そんなこと、私に聞くな。というか私はもう司令ではない。『副』司令だ。」

ヒイラギは先の戦闘での責任を問われ、降格処分を受けていた。

「ですが、司令。」

「だから私は…」

そのとき。

ビー!ビー!ビー!

艦内に警報が鳴り響いた。

「どうした!」

ハボックがオペレーターに言った。

「敵襲です!月面上空に突然艦隊が現れました!!」

「何だと!」

「くそっ!エルトリアはまだ動けないのでは無かったのか?」

「その筈ですが、しかしどうやって月に、不可能ではありませんか!」

ショーンが叫んだ。

「まさか、ワープというやつか!」

「敵艦隊より艦載機の発進を多数確認!どうしますか、副司令!」

「くそっ!全艦、対空・対艦戦闘用意!こちらもレクルスを出せ!」

ヒイラギが叫んだ。

「しかし副司令!まだ補給が済んでいないのが大多数です!出せるレクルスなんて一機も…。」

オペレーターが言った。

「何だって…。」

「くそっとにかく弾幕を貼れ!敵機を取り付かせるな!!」

ハボックが言った。

「「了解!!」」

「月艦隊は何をしているんだ!」

ヒイラギがモニターを見ながら言った。

その頃、月艦隊はエルトリア艦隊の猛攻を受けていた。

「レクルス接近!距離250!ミサイル15、来ます!!」

「回避!取り舵15!弾幕を貼れ!!」

月艦隊旗艦プトレマイオスは敵機の格好の的となっていた。因みに、エリザベス級の二番艦である。

「第一戦隊壊滅状態です!援軍を求めています!!」

「回せる戦力など何処にもない!連合艦隊は!?何をしているんだ!」

月面防衛艦隊・地球連合艦隊合同艦隊司令長官のクリス・アストレイが言った。

「地球連合艦隊、敵別働隊と交戦状態です!連合艦隊も援軍を求めています!」

「何だと!?」

「敵艦隊、第四次防衛線突破!最終防衛線にまで到達!完全に押されています!指示を!!」

「敵艦主砲来ます!!」

「回避ーーー!!」

「間に合いませんっ!!」

操舵士が半泣きで言った。

敵アイリス級戦艦より発射された主砲の直撃を受け、プトレマイオスの右甲板が吹き飛んだ。

「くっ被害報告!」

プトレマイオス艦長のシュナイダーが言った。

「右甲板に損害大!右砲台完全に沈黙!!」

「敵艦接近!指示を!」

「こちら、第三戦隊所属艦アステロイド!敵艦の攻撃を受けている!直ちに救援を!!ん?うわぁーーー!!!」

プトレマイオスのブリッチには助けを求める悲痛な通信が多数届いていた。

「アストレイ司令!指示を!」

オペレーターが必死な顔で言った。

「くそっ全艦後退!牽制しつつ態勢を整えろ!」

その光景は連合艦隊側のモニターにも映っていた。

「後退するだと!何を考えているんだ!この防衛線を放棄するということは、月面基地を放棄するということだぞ!!」

「敵機接近!数20!」

「来るぞ!!対空!!」

連合艦隊側は月艦隊と比べ、被害が少なかった。

「艦隊編成を密に!弾幕を貼りつつ現状を維持!月艦隊の編成が整うまで何としても進軍を阻止せよ!」

ヒイラギ指令が言った。

「敵大型艦接近!主砲来ます!!」

「くそ!回避運動!アイリスが来るぞ!いいな!!」

「「はい!!」」

「主砲照準!目標!前方アイリス級!!」

「撃てぇ!!」

ハボックが叫んだ!

エリザベスから放たれた大型レーザービームが敵艦左舷とエンジン部に直撃し轟音と共に戦闘不能となった。

友軍艦も一斉砲撃を開始し、敵艦隊の侵攻速度が遅くなった。

宙域は混戦状態となっており、後退した月艦隊所属艦も反撃を開始していた。

「レクルスはまだ出せないのか!?」

ヒイラギがオペレーターに言った。

「全機ではありませんが、発進可能です!」

「では、発進させろ!敵レクルスのこれ以上の侵攻断固阻止せよ!」

「「了解!!」」

地球連合艦隊は敵艦隊との戦線をなんとか維持していたが、月艦隊と敵主力艦隊との戦線は壊滅状態に近かった。

「レクルス隊は各機発進を開始してください!」

格納庫内でオペレーターの声と轟音が響いている。

「くそっこんな中に放り出されるなんて死にに行けって言ってるようなもんじゃないか!」

パイロットのアイクが発進準備を進めながら言った。

「しょうがないだろ!ここを守らなければ、帰る家が無くなるだろ!」

ダイキがアイクに通信回線で言った。

「わかってる!!それじゃ、先に行ってるからな!」

アイクの愛機であるレクルスGが発進甲板に到着した。

「全システム、オールグリーン!発進、どうぞ!!」

「了解!アイク・スタンフォード、レクルスG、発進する!!」

ギュイーンという音と共にレクルスが勢いよく発進した。

その時。連合艦隊後方でワープゲートが開いた。

「艦隊後方、フォーファイブより高エネルギー反応多数確認!!」

オペレーターが叫んだ。

「何だと!?」

ヒイラギが叫び、モニターで表示された戦闘宙域図を見た。

戦局は混迷し、地球側は絶望的な戦いを強いられていた…。

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