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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
サプライズではないサプライズ
81/83

第81話_誕生日のプレゼント

明とお姉さんを二人きりにして、先に自分のアパートへと帰った。


感動した。

明とお姉さんはひと目見てお互いが分かったみたいだったな。

顔とか似てるから、当然かもしれないけど。


借金取りに殴られた顔に軟膏を塗りながら

姉と弟の再会場面を、ふたたび思い出していた。

「うっ、うっ」と声を出して泣いてしまった。


それにしても良かった。

ホンモノの姉と今日、出会えて。

もし出会えなければ、明は金貸しに

青井美奈の保証人にされていたかもしれない。


そういえば、今日は俺の誕生日だった。

ホンモノのお姉さんに出会えたことは、まさに、天からのプレゼントではないか。


スマホのアプリには学生時代の友人や会社の同僚から

プレゼントがたくさん届いていた。


俺もひとつ年を取るのか。


そんなことをしみじみと考えていると、玄関の鍵が開く音が聞こえた。


--------------------------------


「明、おかえり。お姉さんとゆっくり話せた?」

「話せました。上原さんのおかげです。なにもかも......」


冷蔵庫のあり合せでつくった野菜炒めで、メシにした。

向かい合って話しながら食べる。


挿絵(By みてみん)


「明はさ、お姉さんを探そうとは思わなかったの?」

俺は疑問に思ったことを聞いた。


「はい。何度か考えました。

でも、僕と会うのは、姉にとって

嫌なことを思い出すことになるかなって思ったんです。

虐待の過去を思い出させるかもしれない。

そう思うと、躊躇してしまったんです」


「なるほどなぁ」

お姉さんは罪悪感から、明は遠慮から。

二人とも、そんな思いから再会できずにいたんだな。


だから、姉が会いに来てくれたと知ったときは

冷静な判断ができなくなるほど、喜んでしまったんだ。


うーん、と考え込む。

とにかく、ホンモノと会えて良かった。


「青井美奈に今までの借りは返してもらうんだよな?」

「それなんですけど」


明はお茶を飲みながら言った。

「もうあいつの顔も見たくないし。

いいかな......って思ってます」


「えっ」


驚いた。

明のことだから、なんらかの復讐を考えていると思ったのだ。


「あいつにたぶん、100万近くは、つぎ込みました。

でも、あいつ、姉ちゃんが一番困っているときに

姉ちゃんを助けた恩人でもあるんですよね」


そうだった。

青井美奈は、家から逃げ出した明のお姉さんの面倒を見たんだった。


「ほんとうにいいの?」

「いいんです。でもちょっと困っていることがあります」

明は声をワントーン落とした。


「上原さんの誕生日なのに、僕は何も用意できてないんです。

副業先からの80万の振込、僕は支払日を勘違いしていて、来月だった。

いまお金なくて。プレゼント、なんにも買えませんでした」


明は、下を向いていた。


「何も要らないって」

明の顔を両手で包んで、俺の方に向かせた。

明にキスをする。

「ほんとに何も要らない。一緒に過ごせればそれでいい」

「でも......」


明は俺のために何かをしないと気がすまないだろう。


「あっ、じゃあまた今度、あの夜景スポット行きたいな。

スゲーきれいだったし」

「いつでも連れて行きます!なんなら、今からでも!」

明は、嬉しそうな顔をした。


「いや......今日はいいかな」

「どうして?」

「久々に激しく動いて、疲れたんだよ」


空手の動きはどうってことなかったけど

全力疾走したことで俺の体力は削られていた。


「もう眠いかも……」

体がダルかった。


「上原さん、ダメです!寝かせませんよ」

俺は一度寝たら滅多なことでは起きない。

明が慌てている。


「上原さんがゴハンつくってる間、僕はシャワーを浴びて準備万端なんです」

「いつの間に」


明を引っ張り自分のほうに引き寄せると、押し倒して馬乗りになった。


「これも空手の技ですか?上原さん強かったな……ホント驚いた」

「えっ、これは空手じゃないけど」


「妙に筋肉質だと思ってました。

上原さん可愛いのに、あんなに強いなんてギャップがすごすぎる」

明は俺の腕や、腹を触りながら言う。


「まだまだ上原さんについて、僕が知らないこと、いっぱいありそうですね」

明の鼻先と、俺の鼻先がふれあう。

「俺には空手の心得があると、明の日記に付け加えといて」


ゆっくりとキスをかわす。

キスをしながら俺は密かに目を開きチャンスをうかがっていた。


(いまだ!)

ポケットに入れておいた手錠を取り出すと、明の両手を瞬時に拘束する。

我ながら素早くできた。

実は何度か一人で練習していた。


明は何が起きたのか分からないような顔をしている。

「あれっ!えっ!上原さん?」


「今日は俺の誕生日だよ?好きにさせてもらう」


手錠の鍵を遠くへ投げた。


さっきまで眠かったのだが、拘束されている明の姿を見て俺の目は冴えてきていた。

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