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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
サプライズではないサプライズ
80/83

第80話_真相


明とお姉さんの邪魔はしたくない。

でも一体どういうことなのか、その真相はすぐにでも知りたかった。


挿絵(By みてみん)


3人で喫茶店に入った。

そこで島田さんから話を詳しく聞くことができたのだ。


島田さんの話を要約するとこうなる。


-------------------------


明と、離れ離れになったお姉さんは罪悪感に苦しんだらしい。

暴力的な父親のところに残してきてしまった弟。


確かに、自分には選択権はなかったけれど

母親に連れられて、自分だけがぬくぬくと育っている。

いっぽう、弟は毎日、逃げ場のない地獄の生活をしている。


そのことに常に罪悪感をもっていたということだった。


やがて、母親が若い男と再婚する。

お姉さんが19歳のときだったそうだ。


その若い男は、母親の留守中にお姉さんに手を出そうとする。


もともと、島田さんは自分の母親ともうまくいっていなかったらしい。

明を捨てた母親に不信感を持っていた。

そして母親は、若い父親の娘に対するたびたびのセクハラに対しても

見て見ぬふりをすることが多かったという。


お姉さんは、とうとう身の危険を感じるできごとがあって、家を飛び出した。

専門学校を卒業したばかりの、20歳の頃だったそうだ。

しかしまだ仕事に就いて無かった。

お姉さんは、行くあてがなく、仕事もなくて困っていた。

そこで世話になったのが青井美奈だった。


青井美奈はお姉さんの2つ年上の高校の先輩で、

すでにその頃にはキャバクラで働き、一人で暮らしていたそうだ。


お姉さんは青井美奈の世話になる。

そこで、生き別れの弟のことを、ついつい詳しく話してしまったそうだ。


お姉さんも青井美奈の勤めるキャバクラで働いた。

そこで得た給料で、探偵を雇い、明の消息を探した。


明の所在地を手に入れたが、やはり罪悪感があり会いに行くことが出来ずにいたそうだ。


青井美奈は明の所在地を、お姉さんと暮らしていたころ、盗み見たのだろう。


やがてお姉さんは水商売をやめ、企業の事務員として働き始める。

青井美奈のいい加減な性格にも嫌気がさし、距離を置くことにしたそうだ。


お姉さんは一人暮らしを始め、今は婚約者もいる。


そんな話だった。


-------------------

「今日、青井美奈のアパートには、なにか用事があって来ていたんですか?」

俺は島田さんに尋ねた。

もし今日、島田さんに出会わなかったら、全てが悪い方向に進んでいただろう。


「ほんとに偶然なんです。キャバクラ時代の同僚の子が、美奈に貸したお金が返ってこないっていうものだから、説得しに行ったんです」

「あいつ、ホントにだらしがない人間なんだな」


あいつが、ホンモノの姉じゃなくってよかった。


「青井美奈は金に困って、ふと明のことを思い出したんだな。

これは利用できるって思ったのかもしれない」

「ほんとうにごめんなさい。こんなことになるなんて思わなくって」


「姉ちゃん、良いんだよ。姉ちゃんは悪くない!」

明は、もう姉にメロメロだった。


「本当に失礼なお願いなんですけど、

なにか身分を証明できるものはありますか」

俺は思い切って聞いた。

またダマされた!じゃ、笑えないから念のためだった。


「上原さん!そんなの失礼だよ。この人は間違いなく......」

「当然だよ。明、お前、本当にいい友だちがいるんだね」


お姉さんは財布から身分証を取り出した。

「これが社員証です。いまは契約社員で働いていて。

それとこれが保険証。私は運転免許を持ってなくって」


身分証にはたしかに「島田緑」と明記されていた。


「安心できました。すみません。

明はどうして、青井美奈に身分証を要求しなかったんだよ」


「だって、姉ちゃんだと思ったら嬉しくて。それに、父親に殴られたこととか、

押し入れに一緒に隠れたこととか、あいつは、そんなことまで知っていたから」


「全部、私が美奈に話してしまったの。ごめんなさい」

「姉ちゃん!いいんだよ。相手が悪かったんだ」

明は姉の手を握った。


「面影とか、顔でも分かんなかったんだな」

俺はコーヒーを飲みながら首を傾げた。


20年近く前。

しかも当時子どもだったのだから、顔が変化していて当たり前だけど。


「あいつ、青井美奈はプチ整形した、なんて言ってたから。

いつも化粧が濃かったし。姉ちゃんの面影が無いのは仕方ないと思ってた」


「たしかに。素顔がわからないほどの化粧だったもんな」


それでも、いつもの冷静な明なら、絶対にしない失敗だった。

簡単に人を信じてダマされるなんて、明には有り得ないことだった。


それだけ、明にとって「姉」という存在は、神聖なものだったのだ。

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