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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
サプライズではないサプライズ
79/83

第79話_逃避

ハァハァ


「明、俺はもう走れない......」


まったく自分のスタミナ不足をこの日ほど、痛感したことはなかった。


後ろを恐る恐る振り返る。

やつらは、追いかけてはこないようだった。


「あぁ、もうダメだ」

俺は道端に座り込む。

ハァハァと息が荒い。


しかし、明は汗ひとつかかず、呼吸も乱れていなかった。


「上原さんが、あんなにケンカが強いなんて思わなかった」


なんとか息を整えながら俺は答える。


「いつも言ってるじゃん。自分の身くらい守れるって。

明、信じないんだもんな。

俺は、4歳から空手やっているし、実戦的な空手も10年以上やってる」


男に殴られた頬をさする。

道場の仲間の突きに比べたら、アイツのパンチはたいしたことなかった。


「だけどこんな風に空手を使うのはよくない。

正当防衛だとは思いたいんだけど」


「上原さん、すごいです。格好良かった。ぜんぜん知らなかった」

明は、目を丸くしていた。


--------------------------


明を守ることができた。

俺は心から満足だった。


柏木のときは薬を盛られてたとはいえ、俺はヤツに好き放題された。


飯田のときは襲われはしなかったけど、俺はヤツの会話のペースにのせられっぱなしだった。

そして堂島のときはピエロにやられ、俺は人生で一番、情けない姿をさらした。


だから今回ようやく、こんな風に明を守ることが出来て、本当に嬉しかった。


「明。信じてくれ。あのお姉さんは、ホンモノじゃないんだ」

「それ、さっきから言ってるけど。一体なんなんですか?」


「あの女の本名は、青井美奈。

どうしてあの女が、お姉さんのフリが出来たのか。

それはこれから、明のホンモノのお姉さんに会って、

話を聞けば分かると思うんだ」


「えっ、ホンモノの......?」

明は、何がなんだかわからない。

そんな顔をしていた。


俺はスマホを取り出した。

ホンモノの姉を呼び出すつもりだった。

彼女の顔を見れば、明だってすぐに理解するはずだった。


----------------------------


新宿の駅で明と二人、お姉さんを待っていた。

やがてお姉さんがやってきた。

改札を通って、こちらに近づいてくる。


二人はお互いをみたとたん、何かを思い出したんだろう。

ギュッと抱き合うと、涙を流しはじめた。


俺は邪魔しないように、離れてみていた。


「姉ちゃん......本当の姉ちゃんなんだ?」

「そうだよ。明、ごめんなさい。ほんとうにごめんなさい」


俺は離れた位置にいたけど、もちろん泣いた。

こんなに感動的な場面をいままで見たことがなかった。

涙がダラダラと出る。

嗚咽が出るほど、泣いてしまった。

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