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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
サプライズではないサプライズ
76/83

第76話_明のお姉さん

アパートは駅から歩いてすぐだった。

(ここの3階かぁ)

アパートを見上げた。


ここまで勢い出来ちゃったけど。

島田さんは、俺が土下座したくらいで明を解放してくれるだろうか。

涙で訴えてみる?


島田さんは俺にとって宇宙人と思えるくらい

別世界の人間で、何を考えているのか正直分からなかった。

どういう方向で交渉すれば良いんだろう。


アパートを目の前にして、思わず足が止まってしまったのだ。

(もう少し作戦を練るべきだったかも)

(いや、でも.....数時間後には50万円もの借金を肩代わりするっていうんだ。

考えている時間はない)


俺は、アパートの3階へ上がる階段に向かった。


そのとき、目を疑うようなことが起きた。

一人の女性が、俺の横を追い越していった。

何気なくその横顔を見た。

その横顔は明にそっくりだったのである。


「えっ?」

思わず声が出てしまった。


女性はキョトンとした顔でこちらを見た。

「なにか」


こちらを見つめる顔。

びっくりするくらい、目元と鼻、それに口、つまり全部が明に似ていた。

明の女バージョンだった。


女性がかなり不審そうに俺の顔を見る。

「こちらにお住まいの方ですか?」

そんなふうに尋ねてくる。

心なしか、声まで明に似ている気がする。


俺は

「や、山野井......山野井明をご存知ないですか」

思わずそう口走ってしまった。


女性は目を見開く。

口に手を当てて驚いている。


「明!?明なの?えっ、顔が変わっていて、全然わからなかった。

ずいぶん大きくなって」

女性は俺の顔をしげしげとみつめた。

その目はうるんでいた。


「ちがうんです!明は別にいるんです!」


もしかして、もしかすると。


島田緑と名乗っていたあの女は、明の偽の姉だったのか。



そして今、偶然に会ったこの女性が本物の、島田緑。

明のお姉さんに違いない。

だってどうみても、明の顔じゃないか。


俺はそう確信した。


---------------------


明!電話に出てくれ。

ホンモノの姉を見つけた!と、明に伝えなければ。


しかし電話はつながらなかった。


「今はとにかく時間がなくて」

呆然と立ち尽くす、ホンモノの姉にそう伝えた。


アパートの階段を駆け上がった。

ホンモノの姉も、なぜか俺のあとを追いかけてくる。


「私も、このアパートの友人に会いに来たところだったんです」

「えっ、それって、もしかして301号室の人だったりしますか?」

「えぇっそうですけど」

明のホンモノの姉は、驚いて言葉を失っている。

そりゃそうだろう。

何が起きてるのか、彼女にはさっぱりわからないだろうから。


ホンモノの姉は301号室の扉を叩いた。

「美奈っ、いるんでしょう?電話しても出ないから来たよ」

そう言いながら扉を叩く。


どうやら、ニセモノの姉の名前は「美奈」というらしい。


「ちょっと~、近所迷惑になるし、やめてくれるぅ~?」

中から気怠い声で、ニセモノの姉が出てきた。


「あれっ、上原っちも一緒じゃん。ヤバ」


------------------------


「一体どういうこと、美奈」

「ごめんって。ちょっとふざけるつもりが......」

「ふざけたじゃ済みませんよ。これは、詐欺です!」


「詐欺」という言葉に、青井美奈がビクッと肩を震わす。

「警察に届けたって良いくらいだ」

俺は、強気な発言を続けた。


やはり思った通り。

お姉さんはニセモノの姉で、今日偶然会えた女性が明のホンモノの姉だった。


「そうだっ!明は、18時に借金を返しに行くって。

もう17時じゃないか。青井さんも明と一緒に行くんですよね?」


「行かないですけど」

青井さんがキョトンとした顔で言う。

「えっ......」

「さっき、電話してお腹が痛いって言ったら、明、じゃあ僕が一人で行きますって」

「そんな」

「あんた、ほんといい弟がいたんだねぇ。あはははは!!」

青井さんはそう言いながら、ホンモノの姉である、島田緑さんの肩を叩く。


島田さんは真っ青な顔をしていた。

青井美奈は人間としてどこかオカシイ。

もはや何を言っても無駄に思えた。


明のスマホに何度も電話をかける。

しかし一向に出てくれなかった。


俺は立ち上がる。

明を止めなければ。

「借金の返済場所を今すぐ教えてください」



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