表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
サプライズではないサプライズ
74/83

第74話_借金

明は相変わらず、週末の夜は姉に会いに行った。

その頻度はどんどん増していく。

そして副業に割く時間も、比例して増していった。


明は疲れ切って、いつもの明るささえ失いつつあった。

筋トレやランニングに行く余裕もないのだろう。

背中を丸め、家にこもりパソコンに向かうことが増えていた。


明は自分の体を動かし、鍛えることで

精神的な健康を保っている面もあるように思えた。


家にこもって体を動かさないと、誰だって心が病んでくる。

明の場合は、トラウマがあるだけになおさらだ。


このままでは鬱状態になるのではないか。

そんな気さえした。


心配でたまらなかった。


だけど、明の過去の話。

幼い頃の虐待。

そこから守ってくれた姉の存在。

明はつらい過去を抱えている。


どうしたら良いんだろう。

俺にできることはあるのか。



--------------------


その日は俺の誕生日だった。


明は「サプライズがある」って言っていたけど。


サプライズなんかよりも普通に一緒に過ごせれば良い。

心からそれを願っていた。


電話が鳴る。


「上原さん!今日の誕生日なんですけど」

「どうした?」

「実は姉ちゃんに急に頼まれたことがあって。

あっ、でも夜には帰れると思うんです。だから」


「そうなんだ......」


また「お姉さんに頼まれごと」か......。

俺は、明のお姉さんの存在に、うんざりしていた。

お姉さんは、明を苦しめているとしか思えない。


「誕生日なのに。楽しみにしていたのに。一緒に一日過ごせないの?」

明にワガママを言ってみる。

お姉さんのところになど、行ってほしくなかった。


「ほんとにごめんなさい」


「許す。そのかわり、お姉さんとどこにいくのか?

なんの用事なのかを、正直に全部話しなさい」


交換条件を出した。

最近の明は、お姉さんに振り回されすぎている。

一体、二人の間でなにが起きているのか、

正確に把握しておきたかった。


明は黙り込んだ。

おそらく言いづらいことなのだろう。

それなら、なおさら聞いておいた方がいい。


「正直に話して。口出ししないし、怒ったりしないから」

明の答えを促す。


明はしばらく黙ったのち

「姉は借金を抱えていて。僕が出向いて

借金を返す約束をしたんです。」


「えっ」



しばらく息を呑む。


明を責めてはいけない。

強く反対してもいけない。


強く反対すれば、明は口を閉ざすだろう。


いまは、とにかく話を聞き出すべきだ。

そう判断した。


「お姉さんの借金か」

「はい。知り合いに借りているみたいで。

今日が返済の期限で困っているって言うから」


「そうか......。それで、どこまでいくの?」


---------------------


明が言うには、新宿のとある雑居ビルに

借金の返済相手がいるので、そこまで現金を届けに行くというのだ。


そんな話だった。


「借金の肩代わりをするってことだよな?

いったい幾らなんだ?」


「50万だそうです」


「......」

頭痛がしてきた。


「それを明が返すの?」

「実はもう貯金はないんですけど、

今日、副業先から80万円くらい入金があるはずなんで」


まるで自転車操業じゃないか。


「ほんとにそれでいいの?」


明はしばらく黙ったのち

「でも僕は、そうしないと一生後悔すると思うんです」

と言った。


「俺も一緒に行って良い?」

「ダメです。危険かもしれない」


「明。心配だから、その事務所の地図を送って欲しい」

明に頼んだ。


「ダメです。上原さんが来てしまったら困るから。

借金の相手は普通の人間じゃないみたいなんです。

夜には必ず戻りますから。待っていてください」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ