表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
サプライズではないサプライズ
71/83

第71話_金銭問題

「あんなに高い店は無理していく必要ないと思う」

明にそう言った。

しかし、明はお姉さんと会うのを止めないようだった。


俺はあれ以来、島田さんに会いに行く明に付き添っていない。

だから、明が島田さんと会うたびにキャバクラに行っているかどうかは、わからないけど。


明と電話で話した。

「上原さん、今週の土曜も、僕は姉に会いに行きます」

「そっか~、また会えないのか」

「はい。副業も立て込んでて。会いたくてたまらないんですけどね。

まじでツライっす」


「俺が副業をやろうか?明の下請けになるよ。無料でね」


「そんな......大丈夫です。

ひと晩、徹夜すれば終わりそうな作業量なんで」


お姉さんと会うようになってから、

明はどんどん衰弱しているような気がした。

好きなランニングもしていないようだし、睡眠も十分ではない。


「明。お前の家で、なにか作らせて」

「えっ?」

「土曜日、明がいない間に料理つくって置いていくから。

日曜日にでも副業の仕事しながら、食べて欲しい」


せめて栄養のあるものを食べて欲しかった。


「マジすか!めっちゃ嬉しい」


俺たちはお互いの部屋の合鍵を渡していた。

もちろん、相手に無断で入ることはしない。


「うわー、上原さんの料理があると思うと、

仕事がんばれます」

「だから、あんま、がんばりすぎないで。

あと料理に過度な期待も禁物。失敗の可能性もある」


よし。

土曜日は半日かけて何か栄養のありそうなものを作ろう。



---------------------


土曜日。

朝イチから動けば良いのだが、俺は朝に弱い。


(うーん、今何時だぁ?)

時計を見るとすでに11時過ぎ。

(また寝すぎてしまったかぁ)


明日の日曜日は空手部のOB会があった。

朝から大学の後輩たちを指導し、夜は仲間と一緒に飲むのだ。


だから、掃除や洗濯は今日、片付けたい。

自分の部屋の片付け。

とっ散らかった衣類の洗濯。

掃除。

そんなことをしていたら、あっという間に夕方になってしまった。

(やはり俺は要領が悪いのかも)


ようやくアパートから出て今度はスーパーに向かう。

食材を購入するためだった。


明のための料理。


時間がたって冷めても美味しいものってなんだ?

煮物系だろうか。

煮物と厚焼き玉子とか、そうだなぁ、汁物でもつくろう。


--------------


明の家についたのは、18時過ぎだった。


(あぁ、間に合わなかったか)


もしかしたら、島田さんに会いに行く前に

短時間でも明に会えるかと思ったんだけどな。

俺の要領の悪さのせいで、すれ違いになってしまった。


でも明は、出かける直前まで副業をしていただろうしなぁ。

邪魔しちゃ悪いもんなぁ。


デスクの上のモニターを横目で見る。

大きなモニターが2つ、可動式のアームで支えられノートパソコンに接続されていた。

かたわらには汚れたままのマグカップが置いてある。


さっきまで明が作業していたかのようだった。



俺はまず手を石鹸できれいに洗った。

食中毒を起こされては困るのでそこはいつも注意している。


(あれっ、タオルどこだ?)

ハンカチを忘れてしまったのでタオルを探す。

タオルが入っていた引き出しは確かここだよな。


その引き出しの上には、手紙類が乱雑に置かれていた。

几帳面なはずの明なのに、だんだんと部屋も荒れ始めている気がする。


どうも島田さんは明に良い影響を与えているように思えない。


乱雑に置かれた手紙のひとつが、ぐうぜん目に入った。

「この封筒は......」

俺も見覚えがある。

大学の奨学金返済の封筒だ。


そうだよな。

明には両親がいないも同然。

大学も奨学金で出たのだろう。

その返済額は分からないが、結構な額になっている可能性がある。


それに。

明は、堂島春斗に100万円を渡していた。


そこにきて今回の島田さんとのキャバクラ同伴。


手を拭いていたタオルを足元に落とした。

そうだったのか。

呆然と立ち尽くす。


俺は気づくのが遅かったのだ。


明は、金銭的な余裕がなくなっているのだ。

だからこんなに副業をしているのか!


明は優秀なプログラマーだから、

その能力が欲しい企業はたくさんある。

明さえヤル気なら、仕事はいくらでも受注できる。


明は金に困って、自分のキャパを超えた仕事量を受注しているに違いなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ