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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
サプライズではないサプライズ
67/83

第67話_誰かが

その日。

俺の誕生日だった。


俺は目付きの鋭い男に、胸ぐらをつかまれ、締め上げられていた。

「うっ」

俺の足が中に浮くかと思うほどの腕力だった。


「止めろ!上原さんには手を出すな」


明の叫ぶ声が聞こえた。


---------------------


その数ヶ月まえ。

俺と山野井は平和な生活を過ごしていた。


週末になるとどちらかの家へ泊まりに行く。

週に1度は、夕飯を作り、どうすれば効率的に

うまいものが作り出せるのか、研究を重ねていた。


といっても、もっぱら作るのは俺で、山野井は食べるほう専門だった。


俺自身は食べ物には興味がなかった。

だが素材が変化していく様子は興味深かった。

山野井は俺がつくったものをいくらでも食べてくれる。

そして味にうるさいので、その感想が楽しみだった。


作り甲斐があった。


平和だった。

ある時点までは。


----------------------


「そうかぁ、来週はあえないのかー」

がっかりした声が出てしまった。

「はい。ちょっと用事ができちゃって」


その日は山野井の部屋に遊びに来ていた。

俺のアパートよりも山野井の部屋のほうがキッチンが広い。


「来週はおでんに挑戦しようかと思っていたんだけどな」

「おでんか!くっそ。食べたかった」


「調べたところ、大根は別の鍋で下茹でという工程が必要らしい。

なぜだと思う?」

俺はネットの情報を披露した。

「僕にそんな高度な質問しないでください!」


「山野井、最近忙しいんだね。

確か先週もなにか用事があるって」

俺はスマホのカレンダーをみながら言った。


「寂しい思いをさせてすみませ~ん」

山野井がおどけて言う。


「あぁ。やっぱり上原さんには言おう。

実は、最近になって姉から連絡があったんです」


「えっ......」


----------------------


山野井はお姉さんと、幼いときに離れ離れになったらしい。


山野井が6歳くらいのときに両親が離婚。

お姉さんは母親に連れられて、山野井は父親のもとに育てられた。

そのお姉さんが、最近になって山野井に連絡をしてきたという。


「父親が乱暴な人だったんですけど。

姉が、よく僕をかばってくれたんです。

連絡をくれたときは嬉しくて!」


「そうだったんだ。よかったね、会えて」

「そうなんです。それで週末に会いたいって言われることが多くて」

山野井はしばらく口を閉じて考え込む。


「そうだ!よかったら上原さんも一緒に会いませんか」


「えっ!でも水入らずのところ、悪いだろう」

「姉には事前に、連れてっていいかどうか、聞きます!

僕は会って欲しいなぁ」


「実は僕がゲイだって言うのは姉に言ってあるんです。

だから、僕の恋人だって紹介してもいいですか」


「えっ!恋人かぁ」

思わずドキッとする。


「やっぱり抵抗ありますか」

明が不安そうに聞く。

「そんなことない!ぜひ紹介して欲しい」

「よかった」

明は嬉しそうに笑った。


フト考える。

自分の実家の親に、山野井を恋人だと紹介したらどうなるだろう。


まぁ、普通にショックを受けるよなー。

だが俺自身は気にしない気がする。


山野井が床に座る俺を、後ろから抱きしめる。

「うわあ。大きな犬が抱きついてきたー」

「なんですか。それ」


山野井は可愛くて忠実な犬……。

俺を守る番犬みたいに、ときには周囲の人間に牙をむく。

喜んで俺に飛びついてくる山野井はまさに「犬」を連想させた。

俺の中でときどき頭に浮かぶ山野井のイメージだった。

本人には秘密にしている。


「上原さん」

山野井が首筋にキスをしてくる。

「俺のこと名前で呼んだら?

敬語も止めたって良いんだし。

俺も二人のときは、ずっと明って呼ぼうかなぁ」


自分を抱きしめる明の腕に手をかける。


「会社でも出ちゃいそうじゃないですか。

いいです。僕はこのままで。

上原さんはぜひ、僕を名前で読んで下さい」


首筋にしつこくキスされてくすぐったい。

「やめろって。くすぐったい……あっ……」

体がビクッと反応してしまった。

「ここが良いんですね?」

「ちっとも、よくない。あっ......止めろ」

ゾクゾクしてくる。


もう止めてほしくて、俺は明を押し倒した。

「言うこと聞かない後輩にはお仕置きしないと」

俺の言葉に、明は嬉しそうな顔をした。

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