表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
山野井の過去
61/83

第61話_困難をのりこえて

新郎新婦に関するクイズが始まって、また景品の列が出来る。

山野井は、司会を先輩たちに任せて、

俺の方を手伝ってくれていた。


腕時計を見る。

二次会もあと少しで終わる。

めちゃくちゃ順調だった。

案外なんとかなるもんなのだ。


睡眠不足と立ち仕事、慣れない肉体労働で

極度の疲労を感じていた。

めまいもしたし、体調も崩していたのかもしれない。


新郎新婦の締めくくりの言葉が始まった。


「今日はありがとうございます」

「幸せになります」

そんな言葉が続く。

みんなの拍手が響く。


俺と山野井は、紙吹雪が吹き出るクラッカーを何発も鳴らしていた

俺はクラッカーを鳴らしながら思わず

「うっ......」

と声が出てしまった。


「どうしたんですか、上原さん?」

山野井が俺の方を見る。

「やばい、感動した」

俺は紙吹雪クラッカーを鳴らしながら、危うく泣きそうになっていた。


「またですか?午前中も泣きそうになってたじゃないですか」


午前中、泣きそうになったことバレていたのか。


「どういうことです?僕には理解できない。新婦の父親気分ですか?」

「そうじゃない。

二人で頑張っていきます、みたいなのに弱いんだよね。

お前は、これをみて感動しないの?」


紙吹雪クラッカーの仕事が終わると

山野井と俺は受付コーナーに二人で並んで立った。

みんなは新郎新婦の方を見ていて、俺たちに背を向けている。


「どんな困難なことがあっても、

今日のことを思い出して、二人で協力していきます。

これからも温かく見守っていてください」

新婦がそんなことを言う。

感動的な音楽が鳴り響く。


「......っ」

口に手を当てて涙をこらえた。

隣から冷めた視線を感じたが、もう気にしてる余裕はなかった。


これから二人は大変なこともあるだろうな。

結婚はゴールじゃないっていうよな。


俺と山野井は、この二人よりも、さらに困難なことが多いだろう。

そんな気がする。

いまでさえ、こんなにいろいろ起きてるのに。


でも俺たちなら乗り越えられる気がする。


感動的な音楽が流れ、スポットライトが

新郎新婦に当たった。

二人は見つめ合っている。


俺と山野井はこんなふうに

祝福してもらうことは無いだろう。

スポットライトを浴びることもない。


いや、むしろ浴びてはいけない気さえする。


でもそんなこと重要だろうか。

周りに祝福されるかどうかなんて。


山野井は幼いころ親に苦しめられた。

俺はその傷を少しでも癒せるものなら癒したい。

今後もケンカしたりすれ違うこともあるだろうけど。

乗り越えていくんだ。


俺は隣にいる山野井の手をそっと握った。


山野井はびっくりしてこちらを見る。

いつも通りの反応だった。


ヤツのおどろく顔に、笑いがこみ上げてきた。

感動して涙もでるし、おかしな精神状態だった。


山野井がヤクザと喧嘩しようが

不倫の密告をしようが

人殺しだろうが。


殺して無いにしても、なにをしていようが。


俺は一生、味方でいる。

そばにいていつも見守る。


「上原さん、雰囲気にのまれましたね?」

山野井が小声で言う。

相変わらず、さめたヤツだ。


会場は大音量でBGMが流れているので俺たちの声は他のみんなには届かない。

みんなは新郎新婦に注目しているので、

誰も俺たちのことなんて気にしていなかった。


「雰囲気のまれたんじゃないって。

そんなんじゃないって」


俺は、涙をこっそりぬぐいながら、

山野井の手をさらに強く握った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ