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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
山野井の過去
59/83

第59話_疑問

夜景を見た帰り、山野井は俺のアパートの前まで車で送ってくれた。


「上原さん、おやすみなさい」


「運転ありがとう。気をつけて帰れよー」

山野井は黙ってうなずいた。

やはり元気がない。

俺が手を握ってこないのを気にしているのかもしれない。


車から降りようと、シートベルトを外すと

「上原さん。お願いです。

キスだけさせてください」

山野井が言った。

助手席に座る俺のほうに身を寄せてきた。


断れるはずがなかった。

不安を抱えながらも、俺自身の奥底は山野井を求めていた。

もう何週間も、山野井と俺は関係を絶っていた。


山野井が俺の頬に触れ、唇が重なり合う。

「ん……」

キスをしているうちに、興奮してくる。


山野井が自分のシートベルトを外して、覆いかぶさってくる。

俺の着ているパーカーの裾から手を滑り込ませ身体に触れてきた。


キスだけだと言わなかった?


もうどうなってもいい。

なんでもいい。

いますぐ明を部屋に引っ張っていって、抱きたい。

こんなに相手を求めたことは今まで一度もなかった。


だけど……。

堂島の顔が浮かんだ。


俺は山野井の肩をつかんで、なんとか自分から引き剥がした。

そして告げる。


「結婚式の二次会が無事に終わったら

聞きたいことがある。

それを聞いたら、気持ちの整理がつくと思う」


「分かりました。

上原さんがどんな結論を出そうと

僕は受け止めます」

山野井は俺を見つめ返した。


もしも。


もしも本当に、山野井が堂島春斗を

文字通り消していたらどうしようか。


「僕は普通じゃない」

そう言っていた。


自首をすすめるしかない。

そして俺は、山野井が罪を償って

もどってくるのを、何年でも待つつもりだった。


そんなドラマのようなことは、まず起きないだろう、とは思う。


だけど、山野井は邪魔な人間を排除することに

ちゅうちょしない。


殺すまでは、しないにしても


「なにをしたのか」

それが気になった。


なんにせよ、明日が終わったら聞くんだ。


もしも、結婚式の前に聞いてしまって、

その答えが衝撃的だったら

メンタル的に二次会の幹事なんて出来るかわからない。

だから、二次会が終わってからハッキリさせようと思っていた。



-----------------


その夜、俺は一睡もできなかった。


眠るとピエロの夢を見そうだったし

山野井のことを考えると、目が冴えてしまった。


山野井が子どもの頃、悲惨だったと言ったこと。

俺だけに話してくれた。


どんな目にあったのか。

どういう思いで俺に話してくれたのか。


山野井のことを考えると胸が痛くなり泣けてきた。

ヤツは、哀れみが欲しいわけじゃないって言っていた。

だから本人の前では決して泣いてはいけない気がする。


そんなことを考えたり、泣いたりしていたら夜が明けていた。


最悪のコンディション。

のろのろと布団から這い出て、身支度をはじめた。


日差しが眩しい。

春が近づいてきていた。


------------------


挙式、披露宴はさすが、プロが仕切るだけあって滞りなく進んでいるように思えた。


会社の同僚はひとかたまりの席に集められたので知っている顔ぶればかり。

リラックスした気分で過ごす。

丸いテーブル、俺の斜め前には山野井がいた。


山野井は女子たちと「キャッキャッ」と楽しそうにしていた。

「集合!」と号令をかけ、

女子社員たちの写真を撮ってあげたり、服装を褒めたりしている。


女の爪の模様まで「それいいね」と褒めている。

あいつは、女のそんなところまで見ているのか?と呆れた


俺のほうはと言うと、連日の大阪出張で

慣れないホテルぐらしが続き、寝不足だった。

安いビジネスホテルだったので、隣室のいびきの音に悩まされたりもしたのだ。


しかも昨夜は一睡もしていない。

やばいなっていうくらい眠かった。

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