表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
山野井の過去
57/83

第57話_真実

血の付いたナイフが床に転がっている。

堂島春斗が血まみれで、マンションの床に倒れていた。


その傍らには山野井が立っている。


「上原さん。これでもう怖くないですよ?」


山野井はそう言いながら俺の方に振り返る。

その顔はピエロの顔だった。


「うわっ!......はぁ、はぁ、」

俺は飛び起きた。


夢を見ていたのだ。

時計を見ると朝の5時。


こめかみを押さえる。

あぁ、ほんとに嫌な夢だった。


山野井が殺人なんて。

そんなバカなことをするわけがない。

俺は少しでも山野井を疑った自分を恥ていた。


しかしどこかで「もしや」と思う気持ちがあるのか。

それが夢という形で現れているのかもしれなかった。


-----------------


大阪から戻り、久々に東京のオフィスに顔を出した。


「あっ、上原、おはよー。

出張どうだった?

結婚式、いよいよ明後日だよ?

荷物の搬入は、前日にするんだよね?」


出社して一息つくヒマもなく、

桜さんが俺に疑問をいくつも投げかけてきた。


「桜さん、おはようございます」

俺は大阪で購入した菓子を目立つところにおいて

「上原より」と書いたメモを残す。


「二次会の備品は、店に確認したら、前日に運び込んでいいって言うので

そうします!当日じゃ、時間的にも厳しいんで」


「だよね!あたしと金井さんは、前日動けないからさぁ、

上原ホント何から何まで悪いけどお願いね。」

桜さんは、俺に両手を合わせて拝む。


子どもがいたら、なかなか自由が効かないのだろう。

「大丈夫ですよ~」

と返事しておいた。


何人かがバラバラと出社してくる。

「お!食べ物がある、朝ごはんにしよう」

などと、さっそく俺が置いた菓子を

ガサっと持っていくヤツがいた。


やがて山野井も来た。

「あっ、上原さんおはようございます

なんだか久しぶりですね」


会社では俺たちはもちろん、普通に接している。

山野井は

「久しぶりですね」

と言いながら、寂しそうに笑っていた。


----------------


その夜、山野井からメッセージが来た。

「明日の備品の搬入、手伝います。

友だちに車を借りました。

16時頃、上原さんの家にいきますね」


「車、助かる。時間了解」

俺はそんな返事を送った。


--------------


ようやくこの部屋から、

このパーティグッズや景品が無くなると思うとすっきりする。

放置してあったものもあるから、ホコリがついてないか調べた。


100人ものパーティをうまく盛り上げられるのか

非常に不安だ。

でも新郎新婦のためには、一生懸命やるしかないだろう。


なにか抜け漏れが無いかどうか。

俺は念入りに明日の進行表をチェックしていた。

ある意味、仕事より慎重になっていた。


夕方の16時頃、山野井が車に乗って現れた。

「大介の車なんです。あいつ、車好きで。

ぶつけたりしたら殺される」


「そっか。気をつけろよ」


俺と山野井は普通に会話しながらも

ぎこちなかった。


佐々木さんとの浮気を疑われたあとに、

堂島とのあのトラブル。

そして、堂島を「消した」というメッセージ。


山野井ときちんと話し合って向き合わなければ。


とにかく、明日の結婚式が終わったら、

きちんと話し合おう。

いまは慌ただしすぎる。


俺はそう思っていた。


---------------


二次会の店の倉庫のようなスペースに

備品を運び終えた。

漏れがないかどうか、チェックリストで一つ一つ確認する。

ビンゴの景品、30個、クイズの景品20個......。


山野井はその様子を、退屈そうに眺めていた。


「足りなかったら、足りないで、

すみません~で、いいんですよ。

僕たちプロじゃないんだし。みんなも、それは分かってるんだし」

山野井はそんなことを言う。

「いや。俺は完璧に仕上げたいんだ」


どうやら幹事4人のなかで、俺が一番真面目なようだ。

明日は一体、どうなることやら。


俺と山野井は店の人に挨拶し、

また、車に乗り込む。


しばらくすると、山野井が口を開いた。


「上原さん。僕のこと嫌いになりました?

束縛がすごいとか。浮気をすぐに疑われるとかで」


運転をしながらふいに、山野井が俺に聞く。


「嫌いになってない」

即座に俺は答える。

なにも考えずに自然と口から出てしまった。


「じゃあどうして、最近......。

ピエロの件、怒っているんですか?」


「えっ?怒っているって?」


「僕が春斗にピエロの件を教えたって、

きっと上原さんは、それで怒ってるんですよね?」


山野井はハンドルを握り前方をみたまま、そう言う。

道は空いていて、順調に進んでいた。


「堂島さんは、俺の弱点が書かれた山野井の日記を見ちゃったんだよね?

山野井が、わざとあいつに知らせたわけじゃない。

ぐうぜん、知ってしまったんだし仕方ないよ?

そんなことで怒ってない」


「上原さんの弱点を記録していたわけじゃないですけど」

山野井がフフフと笑った。


「上原さんの態度がぎこちないっていうか。

なんかまだ怒ってるんですよね?」


「怒ってはいないんだけど」


堂島春斗を一体どうやって消したのか?

それが気になっているのだ。

聞いてしまえば良い。

だけど聞く勇気が出なかった。


「上原さん、このままドライブしましょう!」

山野井が突然そんなことを言いだした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ