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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
山野井の過去
50/83

第50話_佐々木さんの訪問

同僚の結婚式まであと数週間。

司会は先輩女子二人と、山野井の3人に任せた。

俺は景品を用意したり、ゲームの準備をしたり。

黒子のような役割をするようだ。


2次会は、新郎新婦ともに知人、友人が多いみたいで、

総勢100名くらいが参加する規模が大きめのパーティだった。

パーティの景品やグッズだけで結構な量になる。


ヤバい。

もしかしたら司会の方が楽なのかも!?

俺一人でてんてこ舞いになるだろう。

もともと要領の良い方ではないしなぁ。


100人もの人間をまとめ、盛り上げることが素人にできるのかどうか

まったくもって謎。

グダグダになるのではないかという恐ろしい予感さえした。


------------------


佐々木さんからスマホに連絡が入った。

「ウェルカムボードの新郎の名前を間違えたかも」

というのである。


そのとき、ちょうど自分のアパートにいたので、

あわててウェルカムボードの現物を見る。


「おっと。ほんとですね!

HIKARU & KANAってなってます」

俺は返信を打つ。


新郎の井口は、井口光と書いて、「ひかり」と読む。

「ひかる」では無いのだ。

これは間違いやすいだろう。

俺も気づかなかった。


「意外に、気づかれないんじゃないですかね?」

俺は、面倒くさいな~と思って、そんな返信をしてしまった。


すると佐々木さんは

「本人は、絶対に気づきますし。

ペンキで塗りつぶせば、なんとかなると思うんです。

それで、上原さんの家にお邪魔していいですか?」

と言ってきたのだった。


「直るものなんですね!じゃあ、お願いします。

今日は家にいますんで」


---------------------


佐々木さんは3時間後くらいにやって来た。


「お休み中なのにほんとにすみません。

直したらすぐに帰りますんで!

あっ、これつまらないものですけど」

と手土産まで用意してくれたようだった。


「そんな!いいのに。じゃあ、いただきます」


佐々木さんは、うちのリビングで作業を始めた。


「ペンキを使うので、換気しますね!」と言って窓を開けておく。

床に養生をし、さっそく作業を始めた。


俺には全く絵心がないので、こういう作業ができる人が羨ましい。

凄いなーと思って、その作業を眺めた。


「これよかったらどうぞ」

とペットボトルの水をそばに置く。

「あっ、ありがとうございます。

いや~それにしても、気づいて良かったです」

佐々木さんはそう言いながら、器用に手を動かしていた。


こんなにサバサバした女性が

どうして飯田なんかと浮気したんだろう?

ふと疑問がよぎる。

佐々木さんは浮気なんかしそうに見えない。


(どうして浮気なんかしたんですか?)


まさかな。

口が裂けてもそんなプライベートなこと、聞けないけど。

俺のなかで浮気する女性と言ったら

なんとなく魔性の女といったイメージが出来上がっていたのだ。


「あとはこのプリザーブドフラワーをこっちに移植すれば」

「あとちょっとっすね。いや~でもすごいな。ほんと器用だな」


「上原さん。ようやく終わりです!きれいに直った」

「ほんとですね、誰も気づきませんよ」


佐々木さんは道具を片付けはじめた。

ほぼ片付け終わったところで、ペンキの筆をしまう際に


「あっ!」


佐々木さんの手が滑って、俺のシャツにペンキが飛び散ってしまった。


「うわ!どうしよう。えっ!どうしよう」

佐々木さんは大慌てで、俺のシャツを調べる。

「いいですよ、大した服じゃないんで」

と言ったのだが。

「いや!すぐに落とせば、落ちます。

時間が経つとマズいんです。

私も前にやったことがあって!

ちょっとそれ脱いでください!」

と言う。


「あ、じゃあお願いします」

と俺はシャツを脱ぎ、佐々木さんに渡した。


佐々木さんは、俺のシャツに付いたペンキをキッチンの水道で、

一生懸命落としてくれていた。


「洗剤ですぐに落とすと、落ちるんです。ほんとすみません」

キッチンの洗剤を使って、ペンキのシミを落とす。

「落ちたと思います。あとは普通に洗濯してください」

佐々木さんは、ふぅっ、とひたいの汗を拭った。


そのとき。

「上原さ~ん」

という声とともに山野井がやって来たのだった。


「ドア開けっ放しでしたよ」

と言いながら入ってきた。


「あっ、山野井」


これは勘違いされるシチュエーションだと思った。

真冬なのに俺は、シャツを脱いでノースリーブのインナー1枚で

佐々木さんのそばに立っていたのだ。

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