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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
山野井の過去
45/83

第45話_展開

俺は、ウェルカムボードを取りに

佐々木さんの住まいへ行った。


ウェルカムボードは大きく重量もある。

だから

「家まで取りに来て欲しい」ということだったのだ。


日曜日の午後、取りに行くと佐々木さんは

「わざわざ来ていただいて、ほんとすみません。

お手数掛けました!

あの、よかったらお茶でもどうですか。

娘もいて騒がしいですけど」

と言うのだった。



佐々木さんは、話してみると

男っぽいというか、サバサバした女性だった。


「いや~。なんか会社でウワサになってますよね?」

彼女は、頭をかきながら言う。

「会社、どんな感じですか?

休暇取ってて、会社に行ってないから気になっちゃって」


どうやら佐々木さんは会社の様子が知りたくて、俺を部屋に招き入れたようだった。


「金井さんや桜さんは、全くそういう話題には触れてないですね」

「あの二人、優しいからなぁ」


佐々木さんの背後では子どもが走り回っていた。

「こら、お客さん来てるしジッとしてなさい」

佐々木さんが叫ぶ。


「上原さんに言うことでもないですけど、

今回、離婚することになってよかったと思ってて」


-----------------------------


佐々木さんはやはり、離婚することになったようだった。

今後は、娘と二人で実家の親に頼りつつ、やっていくつもりだという。


「不安はありますけど自由になった気もします」


佐々木さんの話を要約するとそんな感じだった。

しかし飯田は、佐々木さんが離婚は困ると泣いていたと言っていた。


実は密告したのは山野井です。

それに社内で噂をひろめたのもあいつです。


俺と山野井は、のちに、佐々木さんに正直に話して謝罪することになる。


しかしこのときは、言えなかった。


言わなくていいのか。

謝罪すべきではないか。

許してもらえるかどうかわからないけど。


このとき俺は、佐々木さんは少なくとも元気そうだ。

不幸せじゃ無さそうだと、自分を納得させていた。


もしかしたら、強がっているだけ。

体面を保っているだけ。

そんな可能性もゼロじゃないけど。


佐々木さんの笑顔が、俺の気持ちを少しだけ軽くした。


----------------------------------



「もしも~し!山野井?」

「あっ、上原さん」


その日、俺はひとりで残業をしていた。

山野井はすでに帰宅していた。


人気のないオープンスペースで作業中、

ふと山野井の声が聞きたくなって、電話したのだった。


「俺まだ会社でさ。ちょっと声が聞きたくなって」

「まだ仕事してるんですか。

もう止めたほうが逆に効率いいっすよ」

そんなことを言う。


そうなのかな、ってちょっと思う。


山野井の後ろでガヤガヤと雑音が聞こえる。

「山野井。今外か」

「はい。ラコンテに来てます」


ラコンテと言うのは、例の出会いを求めるバーだった。


----------------


俺は山野井のアドバイス通り、仕事を終わらせることにした。

たしかにダラダラ続けていても意味ないよなぁ。


そうだ!

今から俺もラコンテに行ってみよう。

山野井に会いたくてたまらなかった。

山野井はおどろくに違いない。


…………

俺はラコンテのドアを開けた。

店は適度に混んでいた。

人気のある店なんだなぁ、と思う。


飯田に連れてこられた夜は、男の客ばかりだったが

今夜は女性客もチラホラ見える。


山野井は店の奥にいた。

若い男と飲んでいた。


「山野井!仕事終わらせて来た」

「上原さん」

山野井は想像通りびっくりしていた。


「あら、こないだ飯田さんと来た方ね」

店の人は俺のことを憶えていた。


「自分は、大久保大介って言います。

大介って呼んでもらっていいですよ。

この店で働いてます」

大介くんは20代前半の若者で、茶髪。

ピアスをしていた。


「山野井さんの同僚で上原蓮、っていいます」

俺は自己紹介をする。


「同僚......っていうか、恋人ですよね?

明に聞いてます」

大介くんはニコっと笑うとそう言った。


恋人と言われ、俺はドキッとした。



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