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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
山野井の過去
42/83

第42話_さらなる束縛

山野井とひと晩過ごした。

やつは終わったあとも、ぴったりと俺にくっついて眠っていた。

寝顔が可愛い。


(俺で満足したのだろうか)

ふとそんなことを思う。

お互い気持ちよくなったとは思うけど、

男と寝たことがないので、これで良かったのか。

手順も、なにもよく分からなかった。


山野井は、いろいろな男と付き合ってきたのかな。

もしかしたら、不慣れな俺に飽きるかもしれない?

そんな不安がふと起きる。


もちろん体の関係だけが全てじゃない。

そう思いたいけど。


やったら終わり。ってのは男同士でもありそうだ。

いや、男同士のほうがそういうの多そうな気がする。


だがそれは杞憂だったとすぐに分かった。


------------------


(まもなく東京方面行きの電車が参ります、きいろい線の内側に~)

駅のアナウンスが響く。

「もしもし。あっ、山野井か、

ごめん、今外で。電車来ちゃったわ。かけ直す」


「わかりました」

山野井からいつもの夜の電話だった。

ケンカしたときに電話はピタリと止んだんだけど、

また復活していた。


その日俺は、大学時代の友人が開いたパーティに

呼ばれた帰りだった。

友人は起業してそこそこ成功していた。

ちょっと違う世界を覗いてみたい。

そんな軽い気持ちから参加してみたのだった。


異業種の人たちと交流し、俺はそれなりの満足感を得ていた。


アパートに着く。

すると家のまえに山野井がいるのだった。

「上原さん。心配で来ちゃいました」

と言う。


「そっか。来るのはかまわないんだけど、寒くなかった?」

その日は底冷えするような気温だった。


(山野井に家の鍵を渡すべきなんだろうか。

いや、鍵を渡すなんて、重いかな)


(そうだった、部屋が散らかってるんだった)

俺は焦った。

きれい好きな山野井がみたら気を失うかもしれない。


「や、山野井......。うち、散らかってるんだった。

とても見せられない」

「えっ」

山野井は目を見開く。

「そんなの気にしないですよ。

それともまさか、部屋になにかあるんですか?」


「なにかあるって、一体、なにがあるっていうんだよ」

「今日はどこに行っていたんですか」

「今日は友だちのところだよ」


山野井は黙り込んだ。

「とにかく部屋がやばい状態だから」

そう言ってるのに、納得してない様子だった。


「なんか、怪しいっす。部屋を見せてください」

と言う。

「なにがどう怪しい?

俺は、汚い部屋を見られて、

山野井に嫌われたくないだけなんだけど」

必死に説得する。


だが、山野井が帰ろうとしないので、俺は諦めた。

「絶対におどろくなよ」


「部屋のドアを開ける」

あれっ。


部屋はきれいに片付いていた。

「えぇっ!?今朝は泥棒が入ったみたいな感じだったんだけどな」

「おかしいですね」

山野井は目を細めている。


「あっ、そうか、実家の親だわ」

俺は手をたたく。

「今週、東京に用事があって、俺の部屋も覗くようなこと言ってた」

「上原さんの実家って、埼玉の?」

「そう。親が勝手に入って片付けてったんだわ~

服のたたみ方とかそうだし。他に考えられない」


「ご両親に鍵を渡しているんですか」

「ん。まぁ一応。新卒で入ったときからここに住んでるし。

そのときが一人暮らし初めてだったから。

でもそろそろ恥ずかしいし、鍵を返してもらおうかなぁ」


俺はコートを脱いだ。

山野井は俺の脱いだコートをハンガーにかけてくれる。

そんなことまでしなくていいのに。


ふと山野井が俺のコートの匂いをかぐ。

「上原さん以外の匂いがする」

そんなことを言うのだ。


「俺以外の匂い?」

「香水の匂いが......」

「あぁ!」

俺はまた手を叩いた。

「今日はホテルのパーティに参加してきたんだ。

クロークにコートを預けたから、他の人の香水の匂いがうつったんだろう」


そう言ったのだが。

どうやら山野井には、全てが怪しくうつったらしい。


「上原さん、友だちのところに行ったって言ってませんでした?

ホテルのパーティってなんですか?」

「だから、友だちの開いたホテルのパーティだよ」

「普通の人がホテルでパーティなんかするんですか?」

「友だちは起業家なんだよ。名刺見せるから待って。

あれ?あれ?」

ポケットを探ったが、もらった名刺はどこかに消えていた。


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