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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
社内でのゴタゴタと山野井の行き過ぎた行為
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第30話_理不尽

「山野井、山野井」

ずんずんと先を歩いて行く山野井を引き留めようと声をかけた。


飯田さんとの話し合いは、思うような結果にならなかった。

それでも、俺が飯田さんを嫌っていることは伝わったと思う。

嫌がっている相手に、さらに迫るなんてこと無いだろう。

しかも会社で。

学生じゃないんだから。


飯田さんは他にも遊び相手がいるみたいだし、

ターゲットを他に移せばいい。

今後、俺へのしつこいアプローチは

きっと減る、そう思った。


「飯田さんには、俺が困っていることは今回で、伝わったと思うよ」

後ろからそう話しかけると、山野井は立ち止まった。


「僕には飯田さんがそんな生やさしい相手に思えませんでした。

ヤツはうちの社員じゃない。外の人間だから、怖いものなし。

やりたい放題なのかもしれない。

技術者だから、最悪フリーランスにもなれる。

だから、自分自身の所属している会社さえどうでもいいのかも」


「深読みしすぎじゃないか」

「......でも普通じゃないですよ。隠し撮りなんて」

山野井は目を細めた。


「僕と付き合うのは、上原さんにとってマイナスかもしれない」

山野井が突然そんなことを言いだした。


「えっ」

俺は山野井の言葉にびっくりした。


「今まで自分のことしか考えなかったけど。

上原さんは普通に女性と恋愛して結婚して。

それで会社で出世して。

そんな人生を送るべきなのかも。

上原さんは、いい大学出て、いい会社にはいったエリートなのに

僕が邪魔している気がしてきた」


山野井は、遠くを見つめていた。

その表情はみたこともないくらい、暗かった。


「そんなこと言う?」

俺が呆然とつぶやくと山野井は


「だって、僕と一緒にいると

上原さん、ロクな目に合わないですよ」

そう言って、俺にくるりと背を向けたのだった。


「山野井......」


俺が、飯田さんにはっきりと

「山野井のことが好きだ」

そう言えば良かったんだ。


言えなかったから

だから、山野井は、こんなに酷いことを俺に言うんだろう。


どうして俺は飯田さんに言えなかったんだ。

ひどく後悔した。

言うのが、恥ずかしかったのだ。


--------------------


山野井の言う通り、飯田さんは生やさしい相手ではなかった。

3人で話し合ったことは、彼にはなにも響かなかったらしい。

話し合いの前と後で、飯田さんの態度は全く変化がなかった。


飯田さんが隠し撮りした写真。

あれをみんなに見られたら、どうなるんだろう。

おそらく今の時代、差別はあってはならない、と言う考えから

「そういうこともあるよね」

と理解を示してくれる人が大半だろう。


だがきっとそれも表面上のこと。

中には拒否反応を示す人や、必要以上にスキャンダルに感じる人も

いるかもしれない。


俺自身はどうなんだろう。

山野井とそういう関係であることを周囲に知られたら?

恥ずかしく思うのだろうか。


飯田さんに「山野井のことが好きだ」と恥ずかしくて言えなかったように。

俺は自分の気持ちを恥じるのか?


相手を好いている。

だが、その気持を「恥ずかしい」と感じるということは、

相手に対しても失礼にあたいする。

不倫してるわけでもないのに堂々と言えない。


どうすればいい?


考えれば考えるほど、迷宮に落ちていくようだった。

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