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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
社内でのゴタゴタと山野井の行き過ぎた行為
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第23話_飯田さんとの会話

「上原さんって男性も恋愛対象ですか?」


飯田悠一が俺の顔を覗き込む。

飯田さんは外部の企業との契約で

うちの会社に常駐しているエンジニアだった。

つまりは、社内で一緒に働いているが、うちの社員ではない。


飯田さんとはミーティング後に、一緒に飲んでいた。

会社の近くにある和食の店の個室での出来事だった。


突然そんなことを聞かれ、驚いた。

「そんな話を、ちょっと小耳に挟んだんですよね」

飯田さんはグラスを傾けながら言う。


「誰がそんなこと、飯田さんに吹き込みました」


「んー、ソースは秘密です」

飯田さんは、嬉しそうに笑う。


「飯田さん。そんな質問しても大丈夫なんですか」


場合によっては、

クライアントの立場である俺が

「なんてことを言うんだ」

と、怒り狂う可能性もあるのに?


絶対に確かな情報として確信があるのか。


飯田さんは俺の質問に、おかしそうに笑った。


「単純に趣味嗜好をお尋ねしただけですので。

それとも不快でした?」

飯田さんはあっけらかんとしていた。


たしかに最近、山野井とそんな関係になりつつある。

周囲から見てもそれが噂になるくらい、

明らかなんだろうか。

絶対にバレるはずがないんだけど。


誰がそんなことを言っているんだろう?

胸に嫌な予感が走った。


「それで、どうなんですか」

飯田さんは、ふたたび俺の顔を覗き込んできた。


「秘密です......」

と返しておいた。


飯田さんは30代前半で、爽やかな見た目。

清潔感があった。


でも俺は別に飯田さんに興味はなかった。

飯田さんも俺に興味はないはず。

仕事がスムーズに済むと嬉しい、

うちの会社に溶け込みたい。

そんなところだろうと思っていた。


-------------------


「僕と上原さんのことが会社でウワサに?」

その夜。

電話で俺は山野井に飯田さんに言われたことを話してみた。


「噂になりようがないと思うんですけどね。

社内では、僕もカミングアウトしてないし。

っていうかあれ以来、上原さんとイチャイチャできてないし!

僕は噂になるほどイチャイチャしたいのに」


山野井の口調が不満そうになって俺は慌てた。


俺は、山野井と二人きりで会えばまた、

この前の夜のようになってしまいそうな気がしたし、

恥ずかしくて二人きりで会えないでいた。


しかし毎晩の電話は相変わらず続いていた。


「違うと思う。俺と山野井のウワサというよりは

俺自身が、男が相手でも恋愛対象になるのかどうか知りたがっていた。

誰かからそれを聞いたって言うんだよ

一体、社内の誰がそんなこと言うのかなって思って」


「あの飯田氏がそんなことを?」


「はっきりと聞かれた。上原さんは男性も恋愛対象ですかって」


電話の向こうで沈黙が続いた。


山野井はどうしたんだろう。

眠くなってきたのだろうか。

そう思っていると。


「上原さん!飯田さんともう二度と二人きりで会わないでください!」

山野井が突然大声を出す。


「そんな大声出さなくても聞こえてる。

なんでそんなこと急に言うんだよ」


「これだから上原さんは困るんです!

それは、明らかに誘われてるに決まってるじゃないですか!

向こうは、誰かから聞いたわけじゃなくって

ハッタリで言ってるんです」


「えーっ、全くそんな雰囲気じゃなかったけど」

俺はおどろく。


「向こうはその気です。上原さんは飯田氏の質問に対して、

どう答えたんですか」


「秘密ですって答えといた。答える義務無いなと思って」


「もういやだ......」

山野井がかすれた声を出した。


「どうしたんだよ、山野井」

「秘密ですって、YESって言っているようなもんじゃないですか。

むこうは脈アリって思ったかもしれない!

そこはハッキリと否定しないと」


そこから山野井のお説教が続いた。

「上原さんは、ガードが甘すぎる」

「自分の魅力をわかっていない」

「いつかまた襲われる」

「女に対しても甘すぎる」

そんなことを30分くらいは聞かされた。


「結局、飯田氏は、今夜は上原さんを開放してくれたんですよね?」

山野井が聞いてきた。


「そうだよ。俺はガードが甘いわけじゃないよ。

もう1件行きましょうって言われたけど、ちゃんと断ったんだからな。

けど、そういえばラインは交換した」


「なにやってるんですか!」

山野井がまた怒り出した。


「ラインはやってないとか、壊れてるとか言って断りなさい。

明日にでもラインが来て、飲みに誘われますよ。

二人きりで飲みには行かないでくださいよ。

......って僕にはそんなこと言う権利ないけど」


「権利あるよ。俺は誰とも付き合ったりしない」


また沈黙が続く。


「山野井?眠くなった?」

俺が聞くと


「いま、誰とも付き合ったりしないって」


「えっ、別に山野井のためとかじゃないけどな。

なんとなく、誰かと付き合ったりする気分じゃないってこと」


「でも、僕に言う権利はあるって言いましたよね?」

「さぁ?明日早いしもう寝るわ」


「上原さ~ん」

叫ぶ山野井を無視して、電話を切る。


照れくさくて、これ以上甘い会話はしたくなかった。



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