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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
社内でのゴタゴタと山野井の行き過ぎた行為
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第22話_残酷かもしれないけど

山野井は明らかに完治している自分の右手を

しつこく調べる俺の様子をじっと見ていた。


それまで、山野井が

「デートしましょう」と言っても

「忙しい」

「飲みに行きませんか」と言っても

「無理」

そしてハグされれば

「離せ」

と拒絶してきた。

でもいずれも、断っても山野井が傷つかないだろうな、

と判断してのことだった。


とにかく山野井からの誘いは断り続けてきた。

そんな俺が、いきなり手を握ってきたから

驚いているに違いなかった。


「もう、すっかり傷は治ってるようだなぁ。

あれっ、ごめん怪我したのってこっちの手だよね?」

照れくさくて、

なんとか誤魔化そうとした。


「えっと、そうです。あってます。右手です」

山野井はキョトンとしていた。


傷を調べ終わった後も、俺は山野井の手を離さなかった。

離してしまえば、きっと彼は帰ってしまうだろうと思っていた。


(なんて言ったらいいんだろう)

自分の顔が赤くなっている気がする。

バレて無いといいんだけど。

手を握って赤くなるなんて、まるで中学生の恋愛じゃないか。


山野井と視線を合わさないように、

下を向いたまま山野井の拳をさすり続けていた。


次の瞬間、山野井はソファに座っている俺を押し倒した。

そして俺に覆いかぶさり


「上原さんの気持ちがよく分からないんですけど」

と言う。


「よく分からないのに、こんなことするんだ?」

俺は山野井をまっすぐ見つめ返した。


「手を握られれば、期待しますよ」


「いや、だから、傷を調べただけだって」


「どうしてそんなに、可愛いこと言うんですか」


山野井は、俺にキスをする。

優しく、そして深く。


それから俺の目の奥を覗き込むようにしながら

聞いてきた。


「受け入れてくれるんですか?

まさか僕を傷つけまいとして

ここまで許してたりはしないですよね」


「山野井のことが嫌いなわけじゃないっていうか」


すると山野井は

「嫌いなわけじゃない......か。いや、それで十分ですよ」

と言う。


「でもここまでしか、しないからな」

俺はそう言うと、山野井の首に手を回し

自分からキスをした。


「嬉しい。

気が狂うくらい嬉しいです」


俺もどうかしてしまったのかもしれない。

意外に違和感はなかった。

山野井が笑顔になったので、

俺も単純に嬉しかった。


「泊まっていきたいけど、上原さん、僕は帰ります」

「そのほうがいいな」

終電が終わってるので、山野井は、タクシーで帰っていった。


山野井のことを嫌いなわけじゃないけど。

でもこれ以上の関係に進むのは、怖かった。

山野井が帰ってくれてホッとするような寂しいような

微妙な感覚が残った。



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