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おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
元カノとヨリを戻したいのに男にモテ始めたから困ってる
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第18話_山野井が動いた


柏木の件から1か月ほど。

俺は仕事に打ち込むことで、あの件を忘れようとしていた。

梨央のことも気になっていたが、みずから動く勇気を持てないでいた。


そんな自分が情けなくて、

イライラしたり落ち込んだりを繰り返していたのだ。


ここ1か月は山野井にも冷たくしてしまった。

精神的に不安定だっだ。


そんな日々が続いていたある日のこと。

あっけなく、事件は解決へと向かうのであった。

------------------------


「上原さん、解決したと思います」

山野井が嬉しそうに言った。


「梨央ちゃんと話してこれまでの経緯は聞きました。

それで警察にも届けたんです」


「梨央に?話を聞いたって?」


土曜日の午後。

山野井に呼び出され、セルフ形式のカフェに来ていた。

カフェは公園に面していて、子どもの遊ぶ姿が見えた。


日差しは弱々しい。

季節は冬に向かおうとしていた。



「梨央は山野井に話したんだ。ぜんぶ?」

「はい。香苗ちゃんとの関係や、何が起きたのか」


俺は黙ってコーヒーに口をつけた。


「上原さんが大変な目にあったと言ったら

泣きながら話してくれました。

自分のせいだって」


「そっか......」


梨央に呼び出されてあのスナックに行き、

俺はああいう目にあったのだ。


梨央は香苗に脅されていたのだろうが

嘘をついて俺をおびき寄せた。


きっと、俺が無事かどうかは気になっていたはずだ。

俺がどんな目にあったかを聞けば

自分を責めただろう。


「梨央は、大丈夫だった?

その......精神的に?」


「上原さん。僕は冷たいかもしれないけど

梨央ちゃんにそこまで同情してないんです。

彼女は上原さんを巻き込むべきじゃなかったし、

普通に考えれば警察に行くべきだったんです」


「たしかにそれが正論だけど。

でも俺は梨央の気持ちもわかるんだ」


「どこまでお人好しなんですか」


「それで、警察に届けたんだ?」


山野井はコクリと頷いた。

「うまくやりました。

僕が梨央ちゃんにアドバイスしたことは

香苗ちゃんには絶対にバレていないはずです」


「どうやったんだ?

梨央はいつも香苗に見張られていたようだけど」


山野井はニコっと笑うと言った。


「梨央ちゃんと話さなくては!と思ったんですけど

前みたいに危ない人たちが彼女の周囲には

いるかもしれないと思って」


「うん」

俺はうなずいた。


「だから、比較的安全と思える彼女たちの大学に

潜り込みました」


「変装して梨央ちゃんたちの大学に潜り込んだんです。

それから梨央ちゃんに電話しました。

香苗ちゃんと梨央ちゃんが別々の講義を受けてる時間帯に、梨央ちゃんを呼び出したので、香苗ちゃんに気付かれるはずがありません」


山野井は見た目、若くみえるので

大学生のフリも違和感ないだろうと思った。

大学内で梨央と話せば、位置情報的にもバレない。

それにキャンパス内にまで、ヤクザが出入りして見張っていることも、まずないだろう。

香苗にさえバレなければ、うまくいっているはずだ。


「梨央ちゃんはご両親にも打ち明けたそうです。

それで、親戚がニューヨークに住んでるとかで。

そっちに留学することになったって」


驚いた。

俺が説得しても、梨央はまったく言うことを聞かなかったのに。


「お前が動くと、全てが解決に向かうな」

ため息が出た。


「いや。梨央ちゃんが動いたのは

上原さんのためだと思いますよ」


「それって、どういう......?」


「大切な人まで巻き込んで、被害が及んだことに

さすがに怖くなったんでしょう」


「うーん」

窓の外の公園に目を向ける。

子どもがバドミントンをして遊んでいた。

楽しそうだった。


「上原さんがあんな目にあったりしなければ

彼女はいまでも一歩踏み出す勇気がなかったでしょうね」


「そっか。

ちょっとでも役に立ってよかったな」


「上原さんは、大変な目にあったんですよ?

誰かのために役に立ってよかった

っていう問題じゃないです

お人好しもいい加減にしてください」


山野井は上目遣いで俺を睨みつけた。


「それでも、ムダじゃなかったってだけで

俺は嬉しい......」


俺も頑固なところがあるので、山野井の小言にたいし

すんなり謝ったりしなかった。


山野井はため息をつく。

「ここ1か月。上原さんは、落ち込んだかと思うと

急に、テンションがあがったり。おかしかった。

僕にも冷たいし。

正直、冷たくされるのが一番ショックで。

なんとかしたくて」


「うん......ごめん」

思い当たるフシはあった。

精神的に不安定だった。


「もう見ていられない。そう思って勝手に行動しました。

万が一なにか起きたら、柏木と刺し違えて会社も辞めるつもりで。

これで一件落着です。

上原さんの気持ちの整理もつきますよね?」


「山野井。差し違えるとか会社を辞めるつもりとか……本気かよ」


「僕は上原さんのためならなんでもしますよ」


山野井は静かに笑っていた。

俺のために行動してくれた。

俺のためを思って。


ここまでしてくれるものだろうか。

普通じゃない。

そんな気もするけど。

それでも山野井がいなかったら、俺は今でも一人、ウジウジと悩み続けていただろう。


「ほんとに悪かった。ぜんぶ山野井のおかげだな。ありがとう……」


俺は深々と頭を下げた。


----------------------


一刻も早く、日本を発って欲しいという

ご両親の意向で梨央は最短の日程で

ニューヨークに向かうことになっていた。


俺と山野井は、梨央を見送りに空港へ行くことにした。


実は、山野井は行きたがらなかったけど、

俺が行くというと、

「それなら僕も行かないと」

と着いてきた。


山野井は、俺が襲われた夜から

俺に対して、異様に過保護になっていた。

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