表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おれたち付き合ってますがなにか?  作者: ゴルゴンゾーラ
元カノとヨリを戻したいのに男にモテ始めたから困ってる
15/83

第15話_悪夢(山野井)

しまった。

今日に限ってメッセージのチェックをしていなかった。

もともと僕はスマホをあまり見ないんだけど。


上原さん、電話してくれればいいのに。

「この店に行くのは危険な行為かもしれない」

メッセージにはそう書かれていた。


危険って?

危険でもなんでも

飛んでいくのに。

たとえ、何をしていても、どこにいても

上原さんに呼ばれれば、すっ飛んでいくのに。


梨央ちゃんとまだ会っていたのか。

そのことで胸がチクリと痛む。


とにかく、この店に向かおう。

「危険」というワードが気になった。

上原さんは、よほどのことがない限り、

僕に頼ったりしない。

悲しいけど......。


何かが起きたんだろう。

とにかく、急いだほうがいい。


スウェットの上にトレンチコートをはおり、

サンダル履きというめちゃくちゃな格好。

コンタクトは外していたから、眼鏡のまま、

僕は自分のアパートを飛び出した。


------------------------


「会員制スナック」

上原さんと梨央ちゃんは、どうしてこんなところに?


重い扉を押すと、入り口のところに

どうみてもカタギじゃない男が一人立っていた。


「すみませ~ん、会員制なのでお帰りください」


「おいっ、どうして鍵を締めとかねーんだ?」

奥から別の男の声がする。


入り口に立っていたガタイのいい男は、僕を通すまいと、立ちはだかる。

「知人が来ているはずで」

追い出されまいと、僕は奥へと一歩進んだ。


「上原さ~ん?上原さん?」

店の奥を覗き込みながら、大声を出した。


「や、や......まの、い」

店の奥の方から、かすかに上原さんの声が聞こえてきた。


聞き間違えるはずがない。

上原さんの声だった。


僕は、ヤクザ風な男を突き飛ばして、店の奥に進んだ。

元ラグビー部なので、腕っぷしには自信があった。


店の奥に入って、衝撃を受けた。


上原さんは茶色い革のソファに寝かされていた。

ワイシャツがはだけ、ベルトも外れかかってしまっている。


「そんな!」


上原さんは動けない状態のようだった。


上原さんを襲ったであろう男、そいつは

上原さんのそばに立ち、スマホを手にしていた。


「お前か!」

僕はその男に殴りかかった。

だが相手は、難なく僕の攻撃を避ける。


さらにもう何発か殴ろうとすると。

「柏木さん!」

後ろに控えていた別のヤクザが、僕を後ろから羽交い締めにする。


柏木と呼ばれた男は、

こちらを見て、ニヤリと笑った。


「なかなかいい度胸してんな」


「柏木さん、こいつ、痛めつけてやりましょう」

僕を羽交い締めにしているヤツが後ろから声をかける。


「いや。やめとけ。さっきの電話はお嬢さんからで、

最後までやるなって命令だった。

この可愛い兄ちゃん、上場企業の社員だそうだ。

巨大企業を敵に回すと厄介かもとおっしゃっていた」


柏木はため息を付いた。


「くそっ。いいところだったのに。

ここで止めろとはお嬢さんも人が悪い。

それにしても、久々にこんなに興奮したな。ハハ」


柏木は、上原さんをじっくりと見つめ

彼の顔を強く叩いた。


「うっ......」

朦朧としていた上原さんが苦しそうにうめく。

柏木はさらに彼を叩く。


「上原さん!やめろ。叩くな」

僕は叫んだ。


「上原......っていうのか。ふぅん。

お前の反応もガキみたいで面白いな」


僕は、ガタイのいいヤクザに羽交い締めにされて

身動きができない。


柏木はこちらを見ながら上原さんに馬乗りになった。

「お前の目の前で、最後までやることにしよう。

楽しそうだ。俺は巨大企業なんて怖くねえしな」


そういって、上原さんを触りはじめた。


上原さんは嫌そうに体をひねっているが、ほとんど動けないようだ。


「上原さんに手を出すな」

涙が出そうになった。

上原さん、どうしてこんな目にあってるんだ?


「今日はここまでにしてやる。次、見かけたら、お前の目の前で

薬をたっぷり打って、コイツを廃人にしてやるからな?」


柏木はそう言うと、上原さんの上から降りた。


そしてタバコに火をつけ、


「移動だ。事務所に戻るぞ」

と言った。

「はい」


やつらは店から出ていった。


僕は、足の力が抜けて、その場に座り込んだ。

よかった。

あのまま、あの男が僕の目の前で上原さんに乱暴し続けたら

僕は気が狂ってしまうところだった。

心臓が激しく脈打ち、手が震えた。


自分の着ていたトレンチコートを彼の上にかける。

ソファに横たわる彼の顔をじっと見つめる。

上原さんは眉間にシワを寄せて目をつぶっている。


それにしても、どうしてこんなことに?

まさか梨央ちゃんが仕組んだ?

梨央ちゃんが関係していることは間違いないよな。


「う......」

上原さんが苦しそうにうめいた。

僕は彼の寝ているソファのそばに、ひざまずいた。

「上原さん、上原さん」


「山野井。山野井、大丈夫か?」

上原さんが、目を開けて僕と視線を合わせた。

こんなときに、僕の心配をしている。


「あいつら、いなくなりました。

病院にいきましょう。救急車呼びます」


「いい......びょういんは、いきたくない」


「でも......。とりあえず水を取ってきますね」


僕が水を汲みに行こうと立ち上がると

上原さんは、僕の腕をつかんだ。


「行かないで」

と言う。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ