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【第二部完結】俺は主人公になれない 〜〝ただの石ころ〟が、誰かの〝特別〟になる物語~  作者: 岩重八八十(いわじゅう はやと)
第1部 俺は主人公になれない

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11話 珍しい組み合わせになりましたね

 この世界は魔法の力に満ちあふれているし、魔法によって成り立っている。だからこそ、魔法によって有害事象が巻き起こされる事は日常茶飯事だ。そんな有害事象の中で最も代表的かつ身近な存在……それが、〝イーヴィル〟である。

 

 平日の午前中。教壇に立つのは教師ではなくクラス委員のリーゼことヴェルリーゼ。

 年齢の割にとても小柄で身長はなんと130cm代でクラス内ダントツの最下位(因みにワースト次点は俺だ)、肉付きも悪い。新緑の髪もやや艶が無い様に見える。けれどしっかりものの姉御肌でクラスを纏めて引っ張っていくリーダーだ。そういった特徴や性格はかつて孤児院で生活していた影響が大きいと聞く。


「今日の課題のミーティングを始めるわ」 

魔法によって引き起こされた有害事象を処理出来るのは当然魔法に精通した魔導士だけである。故に、イーヴィルの処理も魔導士の仕事の一つ。イーヴィルと対峙し、実際に対処する事で経験を積む事を目的としてこの学校は課題として学生にもイーヴィル退治が指示されるのだ。


 では、イーヴィルとは何か?

 有り体に言えば〝魔物〟の一種である。或いは〝悪しき魔導の成れの果て〟、俗に〝悪魔〟とも呼ばれている。発生原因が溢れ出した魔力にある事以外あまり詳しい事は判っていない。


 イーヴィルはその身に宿す保有魔力や危険性から現状1~3の三つのクラスに分類される。数字が大きいほど危険であり、


 クラス1は人間に子供の悪戯程度のささやかな被害をもたらし、放っておいても大した事は無いが無視も出来ない絶妙に鬱陶しい存在。


 クラス2は等人間社会で言うところの犯罪に相当する行動を行う者や俺が最近対峙した理性の無い獣のようなモノなど放置出来ない、場合によっては死傷者が出る存在。


 クラス3はその動向によって災害に等しい被害をもたらし、早急に討伐する事が求められる規模の存在。といった具合だ。


この中で戦闘を行っても比較的安全なクラス1が、4,5年生の生徒が課題で討伐する対象である。


 そして、イーヴィルには種族や同型が存在するようで仮に討伐しても全く同じ特徴、能力のイーヴィルが再出現する事も多い。


「今回の敵はいつも通り、クラス1。特に注意するべき点は無いけれど、だからこそ油断しないように。それから、正式にユウを交えた初の戦闘、つまりユウの初陣よ。ユウが組みやすいチームを模索する為に班分けを再編成して、戦闘毎にユウのサポートを変更していくからそのつもりで。今回に関しては私、ドライズ、ユウでチームを組むわ」

 ユウと初めて出会い、この学校に案内したドライズとクラス委員のリーゼは共にユウの世話係であり初陣のサポートとしては適しているだろう。


「ど、ドライズ君、よろしく……おねがい、します」

「そんなに緊張しなくても大丈夫だよユウさん」

 口元に手を当て不安そうにするユウをなだめるドライズ。 が、ここで一つ問題が生じた。ユウが来るまで、俺はドライズと二人でチームを組んでいたのだ。今まではクラスが8人で3,3,2に別れていた為である。


「え、お、おいリーゼ。じゃあ俺はどうなるんだ?」

「ファルマはナギ、マナトと組みなさい」

 う、そりゃそうなるよな……。ドライズ以外のクラスメイトとチームを組むのはこれが初めてになる。緊張してきた……。

 

「で残ったレン、エクレア、シャルネが最後の一組よ。出発は二時間後、目的地は第五火除地。いつもと違うチームだから、各々きちんと準備と打ち合わせをするようにね」

 リーゼが全体のミーティングを切り上げると、教室内では自然にそれぞれ戦闘チームに別れて集まり始める。


 俺はやや重い足取りでチームメンバーの元へ歩み寄った。普段とは違うチームでの戦い、上手くやれるだろうかと等と考えて居ると、常に笑顔を絶やさず好感を持てる黒髪の少年、マナトが声をかけてくる。

「珍しい組み合わせになりましたね、ファルマ君」

 

 そしてもう一人、

「色々とご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします」 

 短い栗色の髪で長身スレンダーな少女ナギさんがこちらも丁寧な言葉で、スカートの裾を少しだけ持ち上げてお辞儀をした。

 

 すると、マナトが距離を詰めてきて、

「ナギのフォローはホンッッッッッットに大変ですから、一緒に頑張りましょう」

 と実感たっぷりな台詞と共に俺の手を取る。

 

「いつも感謝しています、マナト」

 ナギさんはにこやかに笑って居た。

 〝普段の〟ナギさんはこんな感じで、少し堅いが穏やかで真面目な少女だ。

「ナギはお願いですからもう少しだけ自分の身体を大事にしてください」

「はい。出来うる限り最大限善処します」

「何故でしょうか。全然信用出来ません……」

 丁寧ながらもお互いに強い信頼を感じさせる砕けたやり取りに挟まれてぽつんと会話に取り残される。


「仲良いよな、お前等」

 マナトとナギさんは同郷で付き合いが長く共に死線を乗り越えた、なんて話を聞く。この二人はそこまで苦手ではないが既に人間関係が構築されている所に割り込んでいるようで、居心地が少し悪い。

 

 ぶっちゃけ付き合ってるだろこいつ等、と思ってる。


「とりあえず戦闘が始まったらナギから5メートル以上距離を取ることを意識して下さい。下手をすると巻き込まれてしまいますので」

 マナトの忠告に、俺は今更だと言わんばかりに苦笑いを浮かべた。


「いや、心配しなくてもあんな状態のナギさんに近づけるほどの胆力は持ってねぇよ」

 一緒にチームを組んだことが無くても、同じクラスで同じ戦線に立って居ればナギさんの戦いは嫌でも目に付く。そういう戦い方をするのだ。


「お恥ずかしい限りです……どうにも戦いになると昂ぶってしまって」

 ナギさんはこのクラスの中で間違い無く。


 ……戦闘面において『最強』の存在なのだから。


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