第21話.活路
僕たちは暗闇の中を走りながら、戦いを繰り返した。
「アルビン君、まだ行けるか!?」
「はい!」
召喚獣たちが1匹か2匹ずつ僕たちの前に現れる。するとケイト卿が素晴らしい剣術でやつらを切り倒す。そして僕が倒れたやつらに短剣で止めを刺す。それをもう何度も繰り返した。
最初は弓も使ったけど、すぐに矢がなくなった。矢を回収する暇もなく前進しているから僕にはもう短剣しかない。
短剣を使うのは初めてだけど、力を込めて刺したらそこまで難しくなかった。召喚獣たちの返り血が僕の体のあちこちに付いたが、その黒い血はすぐ蒸発してしまった。
戦いが少し収まった時、突然道が二つに分かれた。右と左……どっちに進めばいいんだ? どっちも暗くて先が見えない。
「左へ進みましょう!」
魔法を使った女性が決断を下した。もちろん彼女もここの構造を知っているわけではないから、直感で判断したんだろうけど……今はそれを信じるしかない。
左の道を選んでしばらく走ると、永遠に続きそうだった通路が終わって……広い場所に出た。しかし暗いからどれだけ広い場所なのか知る由もなく、僕たちはひたすら壁に沿って歩いた。
「あそこに!」
魔法を使った女性が暗闇の真ん中を指さした。その方向には……小さくて白い光があった。
「あそこへ向かいましょう!」
あれはまさか出口? じゃなければ他の何か? とにかく今は行ってみるしかない。僕たちは壁から離れて、白い光に向かった。
僕は病にかかった時の夢を思い出した。その夢の中でもこうして光に向かって歩いていた。しかしあの時とは違って、今は生きるために光に向かっている。
「アルビン君、警戒を怠らないように!」
「はい!」
壁から離れたから、僕たちももう暗闇の真ん中だ。四方を召喚獣たちに囲まれて攻撃されることもありえる。しかしだからといって前進を止めるわけにもいかない。注意しながら進むしかないけど……。
「うっ!」
突然の苦痛に、僕は低い悲鳴を上げた。苦痛は左腕から全身へ広がった。
「アルビン!」
ケイト卿が僕の前を塞ぐように飛び込んで、召喚獣と対峙した。僕はやっと何が起こったのか理解した。左後方の死角から召喚獣が音もなく突然現れて、僕の左腕に傷をつけたのだ。
「はっ!」
召喚獣が動こうとした瞬間、ケイト卿の剣が曲線を描いた。黒い血が飛び散り、召喚獣が倒れる。
「アルビン君、大丈夫か!?」
「は、はい……!」
痛い。左腕から血が流れてくる。だけど今は立ち止まっている場合ではない。僕もケイト卿もそれを理解している。
「悪いが、今は我慢してくれ」
「はい!」
僕は右手で左腕の傷口を塞ぐように掴み、また走り出した。せめてあの白い光のところまで行かなければならない。もう少しだ……!
しかしやっと近くまで行ってみたら、それは単なる光ではなかった。それは……人だ。しかも全身から白い光を発している……美しいエルフ族の女性だ。
「誰だ!」
ケイト卿が鋭い声で質問した。しかしエルフの女性は何の返事もしない。いや、返事をしないどころか、僕たちに振り向きもしない。ただ虚空を見つめているだけだ。まるで幽霊みたいだ。
僕は周りを警戒しながらも、そのエルフの女性を観察した。腰まで届く長い金髪と、布を巻いたような服装……美しくて神秘的なその姿に、今の状況を忘れて見入ってしまいそうだった。
「この人は……」
魔法を使った女性が口を開いた。
「この人は………古代エルフです」