合流
第六地区。そのメインストリートで、紫銀の髪が目立つ兎人の少女が叫ぶ。
「リチャードがいなくなったぁ!!」
「……い、いきなりなに?!」
第二地区へ向かうため、メインストリートを横断しようとしていたベル、ディートリヒ、リュウガ一行。
そこで何やら周りを見渡し、何かを探している三人組を見つける。
そのあまりに目立つ行動に視線が吸い寄せられ、目を細めた。すると、三人とも知り合いだった。恥ずかしながらクラスメイトである。
ベル達三人は互いに顔を見合わせ、苦笑いを浮かべると、その目立つ三人、テレーゼ、クロエ、ゼンに話しかける。正直知り合いと思われたくなくて、話しかけるのに抵抗があったが、テレーゼの顔に余裕がないように思えた為に意を決して話しかけたのだ。すると、話しかけたのがベル達だと気づくや否や、先程の叫びである。いきなり何の前振りもなく言われたベル達からすれば、何の事かさっぱりだ。
若干混乱するベル達を代表して、リュウガが「あー……もっと分かりやすく説明してくれねぇか?」と尋ねるが、返ってきたのは「だからリチャードがいなくなったっていってるじゃん! なんで分かんないの、意味わかんない!!」という理不尽な返答だった。
意味わかんないのはこっちだ。そんな言葉が喉まで出かかるが、それをテレーゼに言っては濁流のように怒声が飛んでくるのは明白。なので、眉を八の字にしながら努めてその言葉を飲み込んだ。
そんなリュウガ達を見兼ねて、テレーゼでは話が進まないと思ったゼンが、一から懇切丁寧に説明する。
「……というわけで、ロー君が全然帰ってこなくて」
「迷子……のわけがないですね」
「アイツ引きこもりだし。疲れて帰ったんじゃねぇの?」
「リチャードに限ってそれは考えにくいのさ! 帰るにしても一言いう筈さ!」
「そうだよぉ! いつもリチャードを街に引っ張り出したって、勝手に帰るなんて事なかったもん!
でも、本当に帰ってたらどうしよう。一緒に出かけるの嫌だったのかな……」
怒声混じりで言い返したかと思えば一転。次の瞬間にはテレーゼのウサ耳が垂れ下がり、声も弱々しくなっていく。最後には視線が下を向いて、その場だけ雨が降りそうなほど暗い空気だ。
「あ〜、えっと……〈念話〉は試したのか?」
気まずい雰囲気にリュウガがそう問いかけると、クロエが首を横に振る。もう何度か試したようなのだが、一向に繋がらないらしい。
今は〈魔力感知〉を展開しながら探しているらしいが、それでも反応はないそうだ。
「匂いはどうですか? クロエなら多少なりとも嗅ぎ分けることができる筈ですが?」
「それもやってる。でも匂いがしない」
「案外元いたカフェに戻ってるんじゃないのかい?」
「そうかも。一度戻ってみよう。行こゼン君」
「え、ぼくだけ? 他のみんなは?」
ナチュラルにゼンだけを連れて行こうとしていたクロエは、視線をリュウガ達に向けると、一瞬鋭い眼差しを送る。言外に「二人の時間を邪魔するな!」と言っているようで、これには呆れた笑みが浮かんでしまう。
クロエがゼンの事を溺愛しているのはクラスでは周知の事実だが。いざ、まざまざと見せつけられると最早笑うしかない。
「付いてくるかは勝手にすればいい」
鷹揚のない声でそう言って、ゼンの手を引っ張って行く。そした、ゼンもまた当たり前のように手を引っ張られて行く。
「ちょっと待って! 私も行くってばぁ!」
離れて行く二人の気配に気づいたテレーゼは、当たり前のように置いていかれた事に驚きつつ、慌ててクロエ達を追いかけた。一方残されたリュウガ、ベル、ディートリヒの三人は微妙な表情で「どうする?」と相談し合う。
三人はこれから第二地区に用があるので、ここで別れてもいいのだが。これといって急いでいるというわけでもない。なので。三人は時間もあるという事で、クロエ達について行く事にした。
「一時間帰ってこないぐらいで、テレーゼは大袈裟なのさ」
「ですが、なんの連絡も無いというのもおかしいとは思いますね」
「何か事件に巻き込まれてたりして!」
「まさか、そんな筈ありませんよ。この学園都市は治安が良いですし、そんな巻き込まれる程の事件なんて聞いたことがありません」
「だよね〜!」
ベルは両手を頭の後ろで組むと、ふとある事に気づく。
いない。隣を歩いていた筈のリュウガがいない。先程まで横に並んでいたのだが、その姿が見えない。
ベルと同じく、ディートリヒもそれに気づき、おかしいなと思いつつ首を傾げて二人して後ろを向く。すると、リュウガが通りのど真ん中で突っ立って、建物の方に顔を向けているを発見する。いや、正確には建物ではなく、その立ち並ぶ建物が作り出す細い路地裏だろうか。
そんなとこを見て何してんだ、と思い。ベルがリュウガを呼ぶ。
「リュウガ何して、るん……だ……?」
しかし、リュウガの様子がおかしい事に気づいたベルは、声が徐々に沈む。
二人の目に映るリュウガは、怖いくらいに表情が険しかった。
短い時間ではあるが、リュウガとそれなりに交流きてきたベルやディートリヒでも、初めて見る顔である。
あんな顔をするのだ、何か異常があったのかもしれない。ベルとディートリヒはすぐさまリュウガの元へ行き、どうしたのかと尋ねる。
「僅かだが、血の匂いがする」
「血の匂い、ですか?」
「オイラ達は匂わないのさ」
リュウガはまるで別世界のような暗く細い路地裏を向いたまま答える。
「竜人の嗅覚は獣人と並ぶ。だから、人間が感じないような匂いも嗅ぎ分けられるんだ」
「へぇ、そうなのか。で、その血の匂いはあの路地裏からなのかい?」
「ああ。昨日もかいだ……良く知ってる血の匂いだ」
「リュウガまさかっ!」
嫌な予感がした。ディートリヒは信じたくないと言わんばかりに目を見開き。ベルは薄々気づいていはようで、苦々しく口元を歪める。
リュウガは無言で頷くと、震えそうになる声を努めて冷静に絞り出す。
「リチャードの血の匂いだ」
「「!!」」
リュウガは血の匂いが流れてくる細い路地裏への入口まで行くと、更に表情を険しくする。
湿気ったカビの匂いと共に鼻を通る鉄の匂いは、いつも訓練などで流す血の濃さとは違う。
「鼻血出したとかのレベルじゃねぇな。多分、剣で斬られてるか、吐血してるか……どっちにしろただ事じゃなさそうだぜ」
その後は早かった。ベルはすぐさま先に行ってしまったクロエ達を〈念話〉で呼び戻し、ディートリヒは〈魔力感知を〉広げてリチャードの居場所を探す。だが、そう簡単に見つかるはずもなく。半径百メートル圏内にリチャードの反応は見られなかった。
数分後、クロエ、ゼン、テレーゼが再び三人と合流。リュウガが簡単に説明すると、クロエが鼻を鳴らし、僅かに漂ってくる血の匂いを嗅ぎ分ける。
ネコは人間の数万から数十万倍の嗅覚を持つと言われており、猫人であるクロエも当然ながら同程度の嗅覚を持つ。
ちなみに兎人であるテレーゼは人間の十倍の嗅覚で、竜人であるリュウガは数千倍の嗅覚を持つ。
「本当だ。リチャードの血の匂い。毎日嗅いでたから間違いない」
「後半だけ聴くと、ぼく達の学校生活って血生臭いね」
「言ってる場合じゃないよぉ! ど、どどど、どうしよぉ!!」
慌てふためくテレーゼを、ディートリヒが「テレーゼ落ち着いてください!」と言って宥めようとするが、「これが落ち着けるかぁっ!!」と、顔面にキレのあるハイキックを頂く。
「ありがとうございますっ!!」
キレイなハイキックを顔面で受け止めたディートリヒは、その場で大の字に倒れ。鼻血を出しながら恍惚な表情である。
「で、これからどうするんだい?」
「どうするって……そんなの決まってるじゃん。リチャードを助けに行かないと!」
「助けるって……まだ事件と決まったわけじゃ……」
ゼンが諌めようとするが、それをあっさりクロエが切り捨てる。
「ううん。この匂いの濃さからして、かなり大きな怪我をしてる可能性が高い。だから――」
「――なんらかの厄介ごとに巻き込まれてるかもしれない。か?」
リュウガの言葉に頷く。
「うん」
この街は治安がは良いが、だからといって事件が起きないというわけではない。流血事件も度々起こる。
しかし、どれも大怪我をする程には至らず、せいぜいが鼻血が出る程度や口の中を切るだけのものだ。
街を歩けばそういった場面に――ごく稀に――出くわすこともあるが、匂いはそれほど濃くはない。
一方、路地裏から漂ってくるリチャードの血の匂いは濃い。ということはそれだけ出血しており、そういう事になる何かがあったという事を指す。
つまり、何者かがリチャードを襲った、ということである。
「血の匂いはまだしてる。だから早く助けに行った方が良い」
「だから助けに行かないとっていってんじゃん!」
「でもジンジャーさん、ぼく達武器も何も持ってないんだよ。もし、ロー君を襲った誰かがいたら、ぼく達丸腰で戦闘することになるんだよ。いくら六人いるとはいえ、それは流石に油断が過ぎると思う」
今日は休日とあって、当然誰も武器は持っていない。常日頃から帯剣しているのは、おそらくエミリアぐらいであろう。
そもそも武器を持ち歩くなど、周りから見れば物騒と思われがちなので、兵士や騎士、冒険者を除けば基本的に持ち歩くことはない。
そんなわけで、エミリアなどの少数を例外と考えるのであれば、武器を持っていないのは普通なわけで、この丸腰状態で危険と思われる場所に向かうのは無謀である。命綱無しで崖を登るのと同じだ。
「ゼンの言う通りさ。焦る気持ちは分かるけど。まず武器の調達さ。まっ、オイラとディートリヒは魔導士だから武器は己の魔力なのさ!」
「何言ってるんですか。私達も短剣ぐらいは持ってないと危険ですよ」
さっきまでハァハァしていた筈のディートリヒが、当たり前のように話に参加する。
「〜〜〜っ! わ、分かった。じゃあ早く武器を調達しに行こうよ!」
はやる気持ちを抑え、武器の調達へ向かおうとするも、一つ問題がある。それは、この第六地区には武器を販売している店が無いということ。更に付け足すならば、両隣の第五、第七地区にも無い。武器を調達するには、最低でも第四地区、それも第三地区との境目あたりまで行かないと行けない。
「遠い。行って戻ってくる頃にはリチャードの奴殺されちまってるかもしれねぇぞ!」
「それじゃ本末転倒」
「では私とベルで先行して、リュウガ達は武器を調達して、後から来るというのは?」
「いや、それはやめた方がいい。リスクが高すぎる」
「やはりそうですよね」
「はぁ〜……誰か都合よく剣を大量に持ち歩いている人がいたら解決するのさ」
「そんな奴、師匠以外いねぇよ」
リチャードの身に何が起こっているのか分からない今の状況。武器も無い。調達するにしても場所が遠すぎるために時間がかかる。行って戻って来たとして、果たして間に合うのか。なら武器無しで行くのかと言われると、それはあまりに危険すぎる。
そう考えるうち、リュウガ達に迷いが生まれる。
今こうしている間にも、リチャードが追い詰められているかもしれない。殺されそうになっているかもしれない。だが、動けない。どうしたらいいのか分からない。決める事が出来ない。
いくらヴェイドにしごかれているといっても、こんな事態に遭遇したことがないし、その時どうすればいいかなど教わっていない。つまり、経験のなさがリュウガ達の迷いを生み出してた。
緊急事態であろうこの状況であっても判断ができず、刻一刻と時間だけが過ぎてゆくなか。そこへ救いの手が差し伸べられる。
「貴方達、こんな所で何をしていますの?」
項垂れていたウサ耳がピンッと立つ。
「この声は――」
聴き覚えのある声につられてテレーゼ達の顔が上がる。
情けない話、この声だけで心に余裕が生まれ、堅くなった表情が少し和らいだ。
しかし、
「――エミリ、アァッ?!!」
顔を上げた一同は、目の前の光景にドン引きする。
「ラ、ランチェスターさん……何、それ?」
「何って、ショッピングですわ」
「ショ、ショッピング……なるほど……」
堂々とそう言い切るエミリアに、最早驚きを通り越して呆れ返る一同は、ふと後ろにいる、大量の武器を抱えた二人に目を向ける。最初はエミリアの付き人ではと思っていたが違った。
普段それほど気にしたことはないが、エミリアはちゃんとした貴族である。ましてや侯爵家のご令嬢だ。付き人が一人や二人いてもなんらおかしくはない。
だが、後ろの二人を見る限り、どうやら付き人ではないらしい。というか、良く知っている顔だった。
「ローザとシャナ、目が死んでる」
「オイラ、最初誰か分からなかったのさ!」
「ベルに同感。なんか元気ねぇよな」
「朝の市場で並んでる魚とおんなじ目してるぅ」
エミリアの後ろで荷物もとい大量の武器を抱えていたのは、クラスメイトのローザとシャナであった。
二人からは表情が抜け落ち、テレーゼが言うように、目が死んだ魚のようだった。
「どうして貴女達、そんなに武器持ってるのですか?」
「あたし達だって好きで持ってるんじゃないわよ」
「これ全部エミリアの買い物さ」
二人は揃ってジト目をエミリアに向ける。が、当の本人はどこ吹く風と受け流し、嬉々として話し出す。
「わたくし、以前師匠に色々な武器を試してみては? という事を言われましたので、こうして様々な武器を買いましたの。当初は二、三種ほどに止めるつもりでしたけど、いざ行ってみると中々沢山種類がありまして……迷った挙句全部買ってしまいましたわ!」
「……あ、そう。で、その二人が死んだ魚みたいな目をしてんのはなんでだ?」
リュウガが哀れんだ目を二人に向ける。
「さぁ? わたくしにはさっぱりですわ。ショッピングをしたいと言ってらしたから、こうして沢山しましたのに」
「エミリア、二人はもっと楽しいショッピングを期待してたんだと思う」
「あら、わたくしは楽しかったですわよ?」
多分シャナとローザの二人の想像していたショッピングは、洋服を見たり、可愛い小物を見たり、カフェでゆっくりしたりと、もっと女の子らしいものだった筈である。しかし、いざ三人で出かけてみれば、殆どがエミリアのペースに飲み込まれ、行くところは全て武器屋や鍛冶屋などの女性三人のショッピングとはかけ離れた場所ばかり。
そして、当然購入するものも剣や斧、槍に鞭などの武器類である。
洋服店や雑貨屋巡りなどを楽しみにしていた二人の目が死ぬのも無理はないといえ、同情せざるを得ない。
(オイラ達にとっては、超ご都合な展開なのさ……)
「取り敢えず二人の目が死んでんのは分かった。それで話は変わるが、緊急事態だ!」
「緊急事態?」
「ああ、実はな――」
代表してリュウガがことの説明を簡単にする。
エミリアは顎に手を添え、真剣な眼差しで話を聞き、死んだ魚のような目をしていたローザとシャナの二人は、その無表情が一転。眉を顰める。
特にリチャードの血の匂いがするというところで、三人の表情は険しくなった。
「――なるほど。確かにそれは急を要しますわね」
「血の匂いが濃いって事は、それなりの深傷を負っている、という事かしら?」
クロエは無言で頷く。
「それが本当だったら、こんな所で悠長にしてる場合じゃないじゃないのさ!」
「ええ、ローザのいう通りですわ! 助けに行きますわよ!」
エミリアは今日買った武器を全員に手渡す。
ローザは大斧。シャナは鞭。リュウガは両刃の剣。ベルとディートリヒは短剣。テレーゼは大鎌。クロエは槍。ゼンは短剣二本。エミリアはリュウガと同じく両刃の剣。
全員に武器が行き渡ると、エミリアは班を三つに分ける。まずクロエとテレーゼはその足の速さを生かして、駐屯所などにいる兵士などに町の住人の避難を呼びかけるよう要請。場合によっては一部区域を封鎖してもらうよう手配する。
そして、シャナとディートリヒは近辺にいる住人を先に避難させておく。いくらクロエの足が速いといっても、報告してから兵士達が住民を避難させるには時間がかかる筈である。仮に大規模戦闘が始まって巻き込まれないためにも、できるだけ早く避難させておく必要がある。
「エミリア、まだ情報が正確ではないというのに、これだけ大ごとにして良いのですか? ただの小競り合いという可能性も……」
「いいえ、それはありませんわね。おそらく大規模戦闘になると予想されますわ!」
「……何故、そう言い切れるのですか?」
エミリアは一瞬キョトンとした顔になると、次の瞬間には自慢げな表情で答える。
「女の勘ですわ!」
女の勘、確かにこれも理由の一つである。だがもっと明確な理由として、リチャードに深傷を負わせた相手の存在である。
自らの父であるガルフォードの強さは冒険者でいうところの白金ランクに匹敵、もしくはそれ以上である。そんなガルフォードを近くで見てきたエミリアから見ても、リチャードは強いと言える。少なくとも金ランクの実力はあるだろう。
休日故に武器を所持していないとは言え、そんなリチャードに深傷を負わせるのだ、相手は相当な実力者であると予想される。
(白金ランク、もしくはその上……しかも一人だとは限りませんわ。複数いると見て行動した方が危険も少ない筈。とにかく、戦闘になるのは必須と考えた方が良さそうですわね!)
エミリアは路地裏に目を向け、細める。
感じる。この先にいる。何か、とんでもないものがいる。
そして、本能で理解する。きっとこの暗い路地裏の先は、今いる日の当たる平和な場所とは異なる、別世界である事を……
その後、胸で僅かに騒つく不安を頬を叩いて取っ払い、入念な作戦会議を行う。
まず先行するのはエミリア、ローザ、ゼン、リュウガ、ベルの五人。テレーゼとクロエ、ディートリヒ、シャナの四人は合流次第後に続く手筈である。ただ、後の四人は数も少なく、扱う武器が狭い路地裏では不利ということもあ。もし敵と思わしき者に出会しても、逃げる事を優先として戦闘は避けるように告げておく。
「ですが、逃げられなかった場合。戦闘は避けられないと思いますわ。ですから――」
「なんらかの方法で知らせればいいのね?」
「ええ、手段は問いませんわ」
大体の作戦が決まると、確実行動を開始する。クロエとテレーゼは駐屯所に向かい、ディートリヒとシャナは避難を呼びかける。
そして、エミリアをリーダーに据え、リュウガ、ローザ、ベル、ゼンの五人は、先行して暗い路地裏に足を踏み入れる。
湿気たカビと異様な匂いと共に香る強烈な死の匂い。
間違いない。この先には命の奪い合いが待っている。訓練ではない、本当の殺し合いが。
だが、それでも一歩、また一歩と脚を動かす。この先にいるであろう仲間を助けるために。
「さぁ皆さん。行きますわよ!!」
「「「「おうっ!」」」」
こうして、エミリア達の長い一日が幕を開けるのであった。
ご愛読ありがとうございます。
第四章まだまだ長くなりそうです。あと二十話以上は続く予定です!
なので読者の皆様も根気強く読んでいただけると幸いです。
応援よろしくお願いします!




