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昔の焼酎

作者: 榛名



読んでいた本を置いて部屋の電気も落とし、横になる。

枕の端にカーテンから漏れた月の光が走っているのを見てから目を閉じる。



が寝れない。


明日も朝からバイトなのに思えば思うほど寝れない。

それどころかしなくていい心配事まで浮かんでくる。


たまにどんなに努力しても寝れない日があるが、今日はその日みたいだ。


「嫌なことばっかり考えちゃってやなんだよな」


私はしばらく布団の中でじっとしてから「お酒を飲めば寝れるかもしれない」と思い切って布団を剥いだ。


「さむ」

私は肩を抱いて震えながら自室から抜け出て、リビングに降りた。


冷蔵庫を開けてみるがビールもチューハイもない。

仕様がないのでお父さんの酒が入っている棚を開けてみると、ウイスキーとかめいりの焼酎があった。


ウイスキーの瓶を開けて匂いを嗅ぐ。つんとするようなアルコールの匂い、これは飲めなさそう。


そこで私はかめいりの焼酎を持っていくことにした。


お猪口に澄んだ液体を注ぎ、ベッドまで持っていく。


布団を腹までかけ、さっき読みかけで置いておいた本を取りながら焼酎の匂いを嗅いでみる。

何とも形容しがたい、でもさわやかな感じがした。


一口含むと鼻から匂いが抜ける。

こくりと飲み込むとなんだかきゅんとした味。


昔よりおいしく感じるかも、そんなにアルコール臭くないし。

私も大人になったんだなあ。


お猪口はすぐに飲んでしまい、読書もそこそこに私は眠りについた。


本の主人公もお酒好きで、アマレットロックを飲んでいた。





それから数日がたった頃。


「ビールないのか」

お父さんが冷蔵庫を開けて言った。


「あ、ごめん。買っとくの忘れた」

お母さんがあっけらかんと言う。


「たまには残ってる焼酎でも飲むかな」


そう言ってかめに残った焼酎を全部グラスに注ぎ、一口大きく飲む。


「ん、これアルコール飛んでるじゃん」



やっぱりまだまだ子供舌。

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