F.O.R.の少女セシア
今回はラストに第1話でのある事に対しての答えがあるので、気軽に息抜きにどうぞ
大樹は少女に手を取られて、人混みの少ないコンクリート壁に囲まれた駐車場に連れてこられた。
「はぁはぁ…お前早えーよ」
「だって、そうでもしないとあんた目立つでしょ?血まみれだし」
そこで大樹は服が血まみれなのを思い出した。
「あ〜…確かに」
「ほら、服渡すから着替えな」
少女はリュックから服を取り出し大樹に手渡した。
「お前はいつもそんなん持ってんのか」
「ええ、だってレジスタンスだもん」
「は?お前レジスタンスだったのかよ!」
レジスタンス。他の宗教を弾圧、改宗させ自国民として取り込む行為に意を唱えそれに反抗する組織がこの時代に、数多く存在する。
だが、大抵のレジスタンスは規模が大して大きくなく三国が保有する異能者により編成された軍隊に駆逐されていた。
「ええ、私達は世界から自由を開放するもの…その名もF.O.R.(フォール)!」
「は、はぁ…」
「あ、その服着たらフォールの仲間入りだから」
「はぁ!?」
胸元に小さくFREEDOM OF RELIGION(宗教の自由)と、書かれた服を着た大樹は何かとんでもないものに巻き込まれた気がしたが、もう既に遅い事を思い出し諦めた。
「というか、あんたの異能である瞬間移動を逃したくないのよねー」
「異能?瞬間移動?」
「あんたそんなのもわからないの?それぐらいは勉強してると思ってたけど」
「わりーな。生憎俺は宗教とかなんにも興味は無いんだ」
「とにかく、あんたの能力は利用価値が高くて手放したくないのよ」
少女は指を指して大樹に宣言した。
「それにあんたは同じ宗教信者である異能者を殺してしまったんだから、どのみち私達の仲間になるしかないのよ」
「そうか…俺…人を殺してしまったんだよな…」
大樹は自分に重くのしかかった責任感に潰されそうになった。
「ま、私はあんたに感謝してるんだけどね。そうじゃなきゃ私が死んでたし」
「でも俺…人を殺してしまった…」
「あのね、あんた。人生は生きるか死ぬかなの。あんたは今まで自分が生きる為に頂いた命も無駄にする気?大切なのは、自分の都合で消してしまった命を敬いその命の分まで自分の命を全うする事でしょ?」
その言葉に大樹は少しは楽になった。その言葉に違いは無いし正しかった。
「そうか…気持ちが楽になったよありがとう。お前、名前はなんていうんだ?」
「私は草崎セシア。あんたは?」
「俺は加藤大樹。それじゃこれからよろしく頼むセシア。今から俺はフィールの仲間だ!」
「…フォールなんだけど…」
その時。大樹の家では、帰りの遅い大樹を心配し大樹の部屋を調べていた母がベッドの下から、襲われる女性の大人向けな本を見つけていた。
「それじゃ、もう家にはしばらく戻れないな…(あ、ベッドの下のアレは見つかるなよ。俺の好みがバレるからな…仏様…頼む)」
さて、第1話でのセシアが男に襲われてるシーンで大樹がレイプと判断したのは単なる大樹の性癖だったという事ですね。そういう年頃か思春期から来る勘違いですね。
というのも、襲われてるからといってもそれがレイプとは限りません。またこの世界観では異教徒を狩られるのも多くはないので、普通ならそう判断するはずです。
例え、それが少女が男に襲われてるとしてもです。
ぶっちゃけラストのあのシーンは要らないんですけど、少しクスりと笑える思春期でありがちなシーンにその意味を込めました。
何人かは実体験があるのではないのでしょうか。それではまた次回もお楽しみください。