9 帝都
―――帝都サンミリオン
貧民街の一角のとある建物。
外装はどこにでもあるボロい建物だが、中の内装は驚くほど綺麗だ。
真っ白い部屋、まだ昼間ということもあり窓から入る光で部屋は異常に明るかった。
部屋の中央には大きなテーブルとそれを挟むようにソファーが置いてある。
扉を叩くノックの音がし扉が動く。
案内され入ってきたのは中年の黒のスーツを着た男だ。
その後ろに黒のローブを羽織った人物が続く。
ソファーに座り待っていたのはメガネをつけた長髪の男、部屋と同じ真っ白のスーツを着ている。
「やぁミスター、遅かったじゃないか。まあ座りなよ。」
白スーツの男はソファーに座りながら向かいのソファーに座るように促す。
「遅れてすまなかった。いろいろ事情が立て込んでいてね。」
「別に構わないさ約束のカネさえもらえれば。」
「ああ、そうだったな。これがカネだ。」
テーブルの上に硬貨の入った小さな袋が置かれる。
「中身を確認させてもらうよ。」
白スーツの男は袋の紐を緩め袋の中を覗く。
「約束と違わないか?俺がもらうカネは金貨1000枚だったはずだぜ?この中には200枚もないじゃないか。」
「約束が違うのは貴方たちでは?私の依頼はアイツを消すことだったはずですが?」
「……どうやら噂はそちらさんの耳にも入っていたらしいな。だが、待ってほしい俺らはアイツを消すことができなかった、そこは認めよう。
だが、アイツの武器を2つ奪うことに成功したんだぜ。」
「フン、2つ…ですか。だがヤツは十本もラグナロクを持っているんですよ。それをたかだか2本奪ったところで」
「いやいや、ところがだ。今のあいつは1本もラグナロクを使うことができないって言ったらどうする?」
「ん!…それはどうゆうことです。」
「俺達が奪った1本にはブラッドコネクションが含まれているんだぜ。これであいつは他のラグナロクを使うことができない。これは…ほぼあいつを無力化したと言ってもいいんじゃないか?」
「なるほど…それは報酬に上乗せをしないといけませんね。」
ミスターと呼ばれた男は”パチン”と指を鳴らすと横に立っていたローブの人物が懐から硬貨袋を取り出す。
「この袋には大金貨が100枚入っています。これで合計で金貨1000枚以上価値があると思いますがどうでしょうか?」
「フフフ…あんたも人が悪い。最初からそうするつもりだったんだろ?」
「さあて?なんのことやら。」
「で、俺は2本のラグナロクをあんたに渡せば取引完了てわけだな?」
ミスターの口が笑みでつり上がる。
――「よい取引ができました。」
ミスターの腕には2本の刀が抱えられている。
「これからもよろしくお願いしますよ。」
「ああ…こちらこそこれからもお願いします。」
二人は握手を交わミスターとローブの人物は建物から出て行く。
「よかったの?こんなに簡単に渡してしまっても?」
白い部屋に新たに現れたのは白いドレスを着た美女。
「もーっと値段を吊り上げることだってできたでしょ?」
「ローブのやつの目つきが怖くってね~。」
「…目なんか見えなかったじゃない。」
「フフフ……あの刀は災いを呼ぶ。さっさと手放したかっただけさ。
…あいつらにはお互い潰しあってもらわな困る。」
「さぁステラ。雑魚だけ残して撤退だ。昨晩獲物がエサに食いついたからな、すぐにこちらに向かってくるだろう。」
大金貨は金貨の10倍の価値て設定