第1話 可愛い赤ちゃん
あぁ…投稿してしまった……。
書きたいシーンまではがーっと書き上げて投稿出来ると思います。多分。
気が付いたら目の前に赤ん坊がいた。
ぱっちりとした碧色の目に薄っすらと生えた金髪。外国人の赤ん坊だ。
生後7、8ヶ月程度だろうか。適当だけど。
ガラス張りの向こう側にいるようで、きょとんとしてこっちを見ている。
首を傾げたら、赤ちゃんもこてんと同じ方向に首を傾げた。
か、可愛い…!
思わず笑顔になると、赤ちゃんもにっこり。
やっぱり可愛い…!
手を合わせようと腕を伸ばすと、赤ちゃんも同じように同じ大きさの手を伸ばしてきて―――え?
びっくりして固まっていると、やっぱり赤ちゃんも疑問符を浮かべたような顔で固まっていて――――あれぇ?
「あらあら、マリーったら、鏡が不思議なのね? ふふ、その中に映っているのはね、貴女自身なのよ」
ガチャ、という音と共に部屋に入ってきたドレス姿の美人さんは、そう言って私を抱き上げた。
―――――はい?
***
あれから数週間が経った。
どうやら私は赤ん坊になったらしい。転生というやつなのかもしれない。
というのも、どうもここは地球ではなさそうなのだ。
魔法が存在しているし、話し言葉は日本語でも英語でもない。それ以外の言語は知らないからもしかしたら地球にある言語なのかもしれないが、話している言葉が理解できるのだ。
赤ん坊であるはずの私が、専門用語やしきものや地名人名を除いて、ほぼ完璧に。
そんなわけでここはどうも異世界で、私は貴族の娘として産まれたのだと判断したわけです。
貴族だと判断した理由?服装とメイドさん執事さんの存在かな!
あとやっぱり定番でしょ?貴族の娘に転生って。
あ、ちなみにあの美人さんが私のお母様でした。
お父様も美形だったよ!
どうもこのお二人、私のことを可愛がってくださるのだが、あまり仲が良くないみたいなのだ。
決して二人一緒に私のもとには来ないし、たまたま私の部屋で鉢合わせても会話もしない。
目の前で喧嘩されるよりは余程いいですけどね、目も合わせないほどって何があった。
そんな仲の悪い二人も私にはでろっでろに甘い。
「ただいま、お姫様。今日も一日元気にしていたかな?」
そう、こんな風に言いながら頬ずりしてくるくらいには。
顔が近すぎて眼福どころではないし、せめて無精髭剃ってから出直してこいやと言いたいが、まだ年端もゆかぬ赤ん坊。あーとかうーとかしか喋れませんって。
「うぅ〜! やーあ!」
髭が痛かったのでお父様の顔を押して拒否する。チクチクするんです!
「……!? ま、マリーに嫌われ……!? ど、どうしよう、どうすれば……!」
「落ち着いてください旦那様。畏れながら、お嬢様は頬ずりがお嫌だったのかと」
途端にうろたえて始めたナイスミドルなお父様に、容赦なくツッコむ有能(そうな)執事のルイさん。流石です、大正解!
「すまない、可愛いマリー……許してくれるかい?」
「ぁう〜!」
しょぼんとしながら許しを乞うお父様。
仕方ないなあ……別に高い高いに機嫌を良くしたわけじゃないんだからね!
「ほーら、たかいたかーい」
わーい楽しーい!
***
「ただいま、ルイ。今日も可愛いわねぇ」
お父様がルイさんに促されて出て行ってから数十分後。
今度はお母様がやってきてくださいました!
あ、ちなみに赤ん坊の私にも私専用のお部屋があります。私が起きているときはメイドさんが常に2人いて、時々いなくなっちゃうけど乳母さんもいるんだよ!
私が自我(?)に目覚めた時には既に離乳食になっていたから、乳母さんっていうより専用保母さんみたいなものだけどね。
「あう~!」
お母様、抱っこ~!
念を送りながら両手をお母様に伸ばしたらあっさり抱き上げてくださった。
ちゃんと受信してくれた!さすがお母様!
幼児退行してないか?気のせいですって。
だって赤ん坊って視線が低いんだもの。床近いし皆大きい!
「あらあら、おねむかしら?ゆっくりおやすみなさい、マリー」
ん~、お母様に抱っこされて揺すられてたら眠くなってきちゃった…ふぁ~あ。
おやすみなさーい。
「ごめんなさいね、愛しい我が子…」
意識が暗闇に飲まれる直前、そんな言葉が溶けて消えた。
わりとざっくりあっさり進みます。
主人公は色々適当な子。