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六之夢―其の1「協力者+挨拶=交流」

いつも読んでくれてありがとうございます。


今回は交流回です。人の数だけ夢があるということです(笑)

いつも思うけど、夢を見た瞬間になって、急に世界が目の前に写るってのが意外に厄介。

この間みたいな、いきなり戦場、というのもそうだけど、ビックリするんだよね。

登場エフェクトとかあったら「夢の世界に入ったな」っていう感覚が出るのに。

さて、僕が何を言いたいのかというと……。


「こんばんは」


「ちわーっす」


「……こんばんは?」


ここはどこですか?あなた達は誰ですか?


「なんで疑問系なのかしら?」


一人は僕もご存知の、銀髪赤ドレスのロリ巨乳ことリームさん。


「ここが知らない森の中で、そこに知らない女性がいるからです」


とりあえずリームさんの質問に答えます。

リームさんの隣にいるのが知らない人。弓を持った、独特的な格好をしている女性です。


そして僕達3人は、深い森のど真ん中にいます。見上げれば青空と太陽があるのが幸いか。

周囲360度全てに木が所狭しとばかりに配置してあるからか、太陽が昇っているのに薄暗い。

まるで森という名の海に沈んだようなのに、なんていうか、神秘的なものを感じさせる。


「んふふ、この森を気に入ってくれたかな、新人君?」


……新人君?


「……それって、僕のことを指していますか?」


「そのつもりで言ったよー」


にへ、と笑って返してきた。

凛々しい見た目と違って、随分と気の緩い人だなぁ。見た目は凄いけど。


彼女も僕達と同じアニメ調で構成されていて、目がパッチリしている。

背丈も『僕』よりもほんの少し低い程度と高く、胸もお尻も控えめというスレンダーな体形をしていた。

動物の皮や骨で作られたような軽装は露出度が高く、白い肌には独特的な紅い紋様を施している。

顔つきは美しく、黒い目に長い黒髪と、どこか大和撫子を彷彿とさせる。

……実際に大和撫子を見たことはないけど。


「では、改めて聞きますけど、ここどこ?あなたは誰?」


「ここは私の夢の世界、私の夢名はミリィ」


「ご丁寧にありがとうございます」


まだ事情が飲みきれないから戸惑いが多いけど、とりあえず一礼。

夢名ってなんだろうって思ったけど、今はいいや。後で聞けるだろう。


「そんな丁寧にしなくていいよ」


あはは、と笑って彼女は手を振りながら楽しそうに言う。

ついついやってしまうんですけどね……。


「あなたに解かり易く説明すると、彼女は私達側の人間、つまり同業者よ」


唐突な解説ありがとうございます、リームさん。

当の狩人……ミリィさんは、その通りだー、と言わんばかりに無い胸を張ってドヤ顔。

なんといいますか、逞しくも美しい外見が台無しな気がします。これはこれでいいけど。


「そういえば僕以外にも悪夢を見せる役っているんでしたね。……けど、どうしてこんなことを?」


「情報の共有が主なのだけど、人間関係の円滑化や想像力の向上化を兼ねているわ。まぁ、私のような新参者が通る道だと考えればいいわ」


はー、そんな目的があるんですね……ちょっと感心しちゃいました。

ナイトメアってそういうのに関心がないと思っていたけど、そんなことなかったよ。

まぁ、情報の共有ってのが主なんでしょうけどね……って、あれ?


「じゃあ、ミリィさん所のナイトメアはどこにいるんですか?」


夢の世界が繋がったってことは、ミリィさんの夢にもナイトメアがいるって事だよね。

周囲を見渡しても、いるのはリームさんとミリィさんだけで、あとは木だけ。

ミリィさん世界のナイトメアも神様とかそういうポジションなのかな?


ふとリームさんとミリィさんを見ると、2人して笑いを堪えていた。

堪えていたんだろうけど……丸解かりですよチクショウメ。


『私ならここにいますよ』


「どわっ!?」


ゆ、弓から声が!?


驚いた僕は思いっきり跳ねてしまい、とうとう二人の笑いを買ってしまった。

恥ずかしいけど、今は自分を落ち着かせるのに精一杯。落ち着け自分。


やっと落ち着いたところで、今度は弓を凝視してみる。


『失礼。驚かせてしまいましたね。私はリクス。こんな形ですがナイトメアです』


やっぱり弓から声が出てる。喋っている、でいいんだよね?

僕とは違って凄く落ち着いた声だ。声色からして大人の男性っぽい。

にしてもなんでこんな姿に……?


「それは私の想像力のせいだからよん」


えらくあっけらかんと答えますね……ていうかなんで解かるんですか?

にっこりと微笑んでいる彼女がちょっと怖く思ったけど、悪い感じは一切無い。


「ナイトメアは夢の主の想像力によって姿が変わるものなのよ。彼女の場合、意志のある武器を望んだからこうなったと考えられるわ」


「私は現実では弓道をやっているんだけど、その影響かな?気づいたら夢の中でこの子を手に持っていたの」


『私もナイトメアとして何人か回った事がありますが、こんな姿になるのは初めてでした』


そりゃあ初めてでしょうね。物になるなんて。

気づいたらそんな姿になっているってことは、ナイトメアの姿形って無意識に決定するものかも。

僕ん所のリームさんの姿だって、本人が意図せずにロリ巨乳になったわけなんだし。


……なんですかミリィさん、リームさんと僕を見比べて。

するとミリィさんは、ニターっと意地の悪い笑みを浮かべて……まさかっ!?


「ていうことは、君はロリコンってことになるんだね」


「グフッ」


痛い所を遠慮なく突くんですねミリィさんって……言われても仕方ないかもしれないけど。

2人とも妙に親しげですね?僕を置いて胸についての苦労話しているし。現実のミリィさんは巨乳なのだろうか。

男で胸は大きい方が好きな僕には割り込めない話だから、自己紹介でもしよう。


「えっと、じゃあこちらも自己紹介でも」


「知っているよ。噂の創造主クリエイターでしょ?」


クリエイター?というか噂のってなんですか?


「なんですか、その壮大な名前」


「次々とモンスターを生み出していったからか、いつしかそんな夢名になったの。私達の間では割と有名よ?」


えーっと、確かに前回の夢ではバンバンとモンスターを造ったけど……なんか照れるなぁ。

というか、なんでそんなことになっているの?それ以前に、なんで知っているの?

事情が読めないので、リームさんの方を向いてみます。


「言い忘れていたけど、前回の夢は、何人か他のナイトメアとその協力者に見られていたわよ?」


「なんでそんな重大なことを早く言わなかったんですか!?」


察してすぐに説明してくれたのはありがたいですけど、それって大事なことじゃない!?

ていうか気づいていたのなら忘れるも何もないんじゃ……?


「だってあの時は色々と語っちゃったし、あなたの夢見が浅かったもの」


「僕だけのせいにしないでください!」


「酷いわねぇあなたは。うっかりぐらい許しなさいよ」


「うっかりにも度ってものがあります!」


あーもう恥ずかしいなぁ!リームさんも少しは恥ずかしがってくださいよ!

人が見ているって知っていたら、あんなグロいモンスターばっかり造らなかったのに!


「あはは、あなた達って面白いわねぇ」


『仲がよろしいのですね』


まぁ確かに、この人といると退屈はしないし、嫌いじゃないんですが……疲れます。

リームさんは勝手に自己完結してそっぽ向いているし、放っておこう。


それよりもミリィさんとリクスさんだ。

あの時の夢を見ていたってことは、あのグロいモンスター達を見たってことで……。


「えっと、知らなかったとはいえ、グロいモンスターばかり出してすみませんでした……気分悪くなったりしましたか?」


「全然?」


ケロっと。


結構心配していたのに、当人は全然気にしていない様子。

あれー?シリウスから散々キモい言われて、生みの親である僕ですら怖いと思ったのに。


「確かにこの間のは気持ち悪かったけど、私もモンスター好きだもん」


「そうなんですか?」


ちょっと意外。女の人なのに。


「当然かもね。協力者と夢を繋げられるのは、その夢の持ち主と似通った趣味や想像力、世界観を持つからなのだから」


リームさんがその辺に生えている花を愛でながら説明してくれた。絵になるなぁ。

ということは、ミリィさんと僕は少なくとも共通点があるわけで、それがモンスター好きってことになるのか。


「というかね……この間のモンスターを見て思ったんだけど……」


うずうず。そんな効果音が相応しいほど、ミリィさんは身じろぎしていた。

なんというか、目つきが徐々に鋭くなって、リクスさんこと弓を握る手が強くなっていく。


「すっごく狩ってみたい」


―これが、狩る者の目と気配なのか……!?


怖い。すっごく怖い。こちらを直接見ているわけじゃないけど、下手するとその弓で狙い撃ちされそう。

某魔物狩猟ゲームとか好きで、普通に上級者でいられるんだろうなぁ……僕も好きだけど。


『ミリィさんの夢の世界では一流の狩人として魔物を狩っているのですよ。悪夢の際も、勇者に先駆けて魔王を狩るなど、めまぐるしい戦果を挙げてきました』


リクスさん解説ありがとうございます。すっごく納得しました。

ゴウゴウと狩人の魂のようなオーラまで発しちゃって、すごい執着心。



―まぁ、そういうことなら……。



「なんなら、やりますか?」


僕がそう言ってミリィさんがキョトンとした直後、そいつ(・・・)は姿を現した。

こんな深い森で、ミリィさんのような弓を使う狩人がいるのなら、創造しない訳がない。

リクスさんの説明もあって、容易にこのモンスターを創造することができた。


木々を縫うようにして現れたのは、豹のような骨格を持つ緑色の大きなトカゲだった。

実際はドラゴンなんだけど、翼が無くて尾が長いので見た目はトカゲに近い。

代わりに脚力が発達しており、爬虫類でありながら獣のような身のこなしが特徴的。


名づけるならラガルザ。適当です。


「あら、随分とまともなモンスターね」


その姿を見たリームさんの評価も上々。まぁ死霊蜘蛛よりはマトモだと僕も思う。

後はミリィさん次第だろうけど……あえて言っておこう。


「狩猟してみますか?このモンスターと」


僕の傍でグルグルと鳴いて懐いてくるラガルザ。おっかないけど可愛いなこいつ。

10m以上もある大きさを持つこのモンスターを見て、ミリィさんはどんな反応を……。




「いいわね」




うわ、凄く嬉しそう。けど凄く怖いです。




動き出したら即死にそうだけど……頑張れ、ラガルザ!

むしろ挑発しているよこいつ!頼もしい奴!……殺したりしたら駄目だかんね?



「あなたどっちに賭ける?」


『もちろんミリィさんですよ』


ちょっと、賭けなんかしないでください。というかリクスさんあなた弓でしょうが。

ていうか何を賭けるんですか?


名称:ラガルザ

種族:竜種

外見:全長10m程・トカゲと豹を合体させたような姿・尾が長い

属性:地属性(獣寄り)

深い森に生息する地上型竜種。高いスピードとタフネスが自慢。

ブレスを吐く器官が無いが、身体能力が高く、視力も良い。


主人公の名前は今後も明かされません。単に面倒なだけですが(苦笑)

今回の交流会は、主人公以外にも悪夢を見せる役がいるという設定の公表でもあります。

夢の世界観も人それぞれ。作者の妄想がたんまりと含まれています(笑)


次回もどうかよろしくお願いします。

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