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四之夢―其の2「相手+転生=我侭」

今回は相手側の視点です。調子にのった勇者的な存在です。

こんな粗雑なキャラしか設定できませんが、ご了承ください(汗)

俺の名はシリウス=ブラッド。いわゆる転生者って奴だ。

転生前の名前?そんなの忘れたね。それだけ、転生前の俺の人生はつまらないものだったさ。

学校も、社会も、家族と言うべき男女も、誰も俺の真の実力を認めようとしない。

そしてついには、不慮の交通事故でお陀仏。とうとう世界ですら俺を拒み始めやがった。


意識が途絶えた直後、俺は五体満足な身体で白い空間に立っていた。

そこに突然現れた神様って名乗る爺から事情を聞いて、俺は愕然とした。

俺の死因が神様のミス?輪廻転生に支障が出るから現世に生き返らせるのは無理?

ていうか俺の魂そのものが、本来この世界にいるべきではない、だ?ふざけてんのか?


そんな爺が謝罪にと、俺に力を与えて異世界に転生させる約束をしてくれた。

元々から俺は異世界の英雄として生まれるはずだったから、受け入れる準備は出来ているという。

これを聞いて食いつかない男はいない。寛大な俺は爺の失敗を許し、転生をお願いした。


そして俺は神童として異世界に生まれ、20代でトパーナ王国の英雄となり、世界を脅かす魔王を討伐し世界を救う役目を与えられた。

神より授かりしこの炎を用いて敵を尽く殲滅してきたのだから、短い期間で英雄となるのは無理もない。

今では無双英雄と称えられ、王国一の美女である姫様と幼馴染の美人騎士に婚約を求められる毎日。

俺って勝ち組だよな。チートにハーレム万歳!夢はでっかく、一国の王だ!


だが、そんな俺を疎ましく思う連中がいる。

魔族はもちろん、魔族に情報を漏らした薄汚い大臣や、欲に目が眩んだ屑の貴族共もそうだ。

そして何よりも腹立たしいのが……この世界をただの夢だと言いやがる馬鹿な奴らだ。

真の英雄を名乗る奴、自称転生者、神の代行人……これらは全て、この世界が俺の見ている夢だとぬかしやがる。

まぁ、俺の前でそんなことを抜かす奴は、この手で尽く消し去ってきたからな。

この世界で必要とされているのは俺だからな。俺以外の英雄や転生者は、要らない。


ただ聖剣エクスカリバーを振り回して敵を倒すだけで俺を英雄と称える、希望と女に満ちたこの世界。

この世界こそが、俺の居るべき場所、俺のあるべき姿なんだ!誰にもこの座は渡さない!渡してなるものか!

これがただの夢だなんて、誰にも言わせねぇよ!


「ところがギッザギザ。これは夢よ」


誰だよ、微妙に解かりづらいネタを言うのは!?

まぁ解かっているがな!ギャグの元ネタも、そんなギャグを言う馬鹿がどこにいるのかも!


「こんばんは。目覚めさせに来たわよ、夢の引きこもりさん」


空から聞こえる声。やっぱりそこにいやがったか。

見上げてみれば、そこには紅いドレスを纏った……チッ、ロリかよ。ていうか胸デケェ!

可愛いなりの癖にアンバランスすぎだろうが!胸はストライクだがロリはアウト!

美少女は16歳からが正義だろJK!


「あら?挨拶を返さないでジロゾロ見ているだなんて、失礼な殿方ね」


「ロリに興味はない。あるのは胸だけだ」


キリッと告げる。さぁ、俺に惚れろ。


「ロリニキョーミハナイ?珍しい挨拶ね?何語?それともこの夢の世界の挨拶かしら?」


「ちげーよ!ふざけんなコラ!」


「普通に挨拶を返して欲しいだけなのに、あなたが的外れなことを言うからよ」


「さっきのが挨拶じゃねーって自覚してやがんじゃねぇか!」


こいつのキャラ解かりづれぇ!ていうかこの俺に惚れないとか飛んだイカれた女だな!

ロリでそんな格好なら、ツンデレか高飛車とかにしとけや!


「あなたのキャラ付けの希望なんてどうでもいいの。それに私はこの姿が気に入っている。それで充分。はい終わり」


面倒くさそうな顔を浮かべ、自分勝手に区切りやがった……!

つくづく腹の立つ女だな……自分から余計な事をベラベラと喋ってきた癖によ……!


「それにね、そんな事はどうでもいいのよ。これはあなたが見ている夢なのだから」


さも当然と言わんばかりに告げ、空高くから俺を見下ろす少女。

やっぱり気に入らねぇな、この女……俺を上から見るんじゃねぇよ!


しかし、さっきから話を聞いていれば、コイツの正体を掴む事ができた。

いつものアイツ(・・・)だな……ったく、いつも五月蝿い奴だったよな。


「また姿を変えて挑むたぁ飽きねぇ奴だな……催夢将軍メア!」


「……はぁ?」


そんな風に恍けても無駄だぜ?俺には全てわかっているんだからな。


「メ、メア!?三大魔将軍の一人の!?」


説明ありがとう、モブ兵士その1君。


催夢将軍メア……執拗に俺の命、というか英雄の座を狙う悪質な夢魔で、魔王軍の幹部の一人だ。

陰湿な奴で、ことあることに姿を変え、この世界は夢だ、お前を目覚めさせに来たとほざきやがる。

さっき言っていた似非勇者や似非英雄が俺に差し向けられるのは、全てこいつの仕業だ。

その度に俺は似非共ごとメアを殺しているんだが、幻術で尽く生き残り、姿を変えて何度も俺の前に立ちふさがってくる。


つまり、この女はメアの新たな姿ってことだ。

そうと考えれば、さっきのムカツク喋りや小馬鹿にするような態度も納得できる。


「いつもいつも俺の邪魔をするどころか、夢だ幻だと惑わし、偽者の英雄や勇者を差し向けやがって……いつまで俺に倒されたら気が済むんだおい!?」


「……なるほど、そういう設定なのね」


設定とかほざいているのも今のうちだ。すぐに化けの皮を剥いでやる。

ついでに物理的に剥いでやるか。主に性的な意味で。ロリはアウトだが、胸はストライクなんだよな。

決して正体を暴く為であって、いやらしい目的ではない。


「シリウス様!あのような妖しき者の言う事を聞く必要はありませんぞ!」


「無双英雄の裁きを!」


「世界の平穏を妨げる者に鉄槌を!」


「シリウス様!」


騒ぐんじゃねーよモブ共。きっちり仕事してやるから急かすなっての。

後ろで騒いでいる兵士達を余所に、俺は剣を両手で握り、いつでも剣を振るえるように構える。

すると兵士達は言われずとも後方へと下がっていく。俺の攻撃に巻き込まれない為にな。


「話を聞く気がないのなら……仕方ないわね」


元々、てめーみたいな奴の話なんざ聞く気ねぇっての。

俺の構えを見ると、奴はふわりと風に流れるようにして俺と距離を取る。

徐々に姿が空の彼方へと消えていく中、奴はスカートを摘まんでお辞儀をする。



「では……とびっきりの悪夢、ご堪能あれ」



ゆっくりと微笑を浮かべた顔を上げると、少女は霞のように消えていった。

その直後だ。地面が揺れたのは。そして目の前の死体の山から何かが這い出てきた。


「来たかって、キモっ!」


な、なんだよこの馬鹿でけぇ蜘蛛!?

大きいだけならまだよかったが、体中のあちこちに死体を貼り付けているとか、趣味悪っ!

奴の笑みからして手下が来るってのは予想していたが、まさかこんな化物が相手なんて予想できねぇよ!

いつもの似非転生者とか似非英雄はどこに行ったんだよ!?こんなの初めてだぞ!


……ああもう、ごちゃごちゃ考えていても仕方ねぇ!ぶった切る!

デカイ腹を持ち上げて威嚇する死体蜘蛛を前にして、俺は剣に力を込め、炎を纏わせる。


「抜刀!ひえn」


―ベショ


「飛炎剣」と告げて力を解放しようとした途端、目の前に腐った死体が飛んできた。

で、そのままぶつかって、俺は後方へと吹っ飛んで、地面に激突したと。死体がくっついたまま。

どうやら蜘蛛が体についていた死体に粘液を纏わせて投げつけたようだな……。


……臭ぇ。生暖かい。ベトベトする。気持ち悪ぃ。つーか怖ぇ。


とりあえずベトつく死体が邪魔だから、消し炭になるまで燃やす。俺に引火することはない。

墨になった死体を払い落として、俺は蜘蛛を睨みつける……俺を前にして死体漁りたぁいい度胸だな……。


「し、シリウス……様?」


おうおう、俺の怒りの炎のオーラを見てビビっているのか、モブ兵士その2君。

ふふふ、心配するなモブ兵士諸君。てめーらにこの怒りはぶつけねぇよ。

ぶつけるべき相手は……あのクソ蜘蛛なんだからよ!!


「殺す!!」


ズタズタに切り裂いて消し炭にしてやる!かかってこいや屑蜘蛛野郎!!

大体、技名を叫んで発動時は攻撃しないってのがセオリーだろうが!空気読めよカス!


主人公様に逆らうモンスターは皆殺しって相場が決まっているんだよ!!

モンスターはモンスターらしく、無様に死にやがれ!!


こんな調子に乗った口の悪い主人公、私は嫌です(コラ)


いつも小説サイトで小説を探すたびに「テンプレ多いなぁ」と思う私。

そんな私が雑なテンプレしか想像できないという。悔しいものですね。

作品の数だけ世界観や文章力が違い、それを真似することは出来ないのだと実感いたします。

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