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四之夢―其の1「戦場+魔物=勇者」

やっと他人の夢と融合します。

四之夢では自分側と相手側の視点が交互に移る予定です。今回は『僕』視点。


僕の目の前では、大規模な戦争が繰り広げられていました。


「こんばんは」


ごめんなさいリームさん、こんな状況だと挨拶より先に言わせて欲しいことがあります。


「……なんですかこの光け、ひゃわっ!?」


あっぶな!?すぐ横を矢が掠ったよ!?僕そのものじゃなくて男性キャラだけど!

今回ほど第三者視点の立場でよかったと思ったことはないよ!よかったねボク(男性キャラの仮名)!


「あなた達の世界ではそう返す習慣があるのかしら?」


「そんなわけないでしょう!?」


挨拶を返さないのは悪いかなと思ったけど、聞かずにはいられなかったから仕方ないじゃない!

ていうか状況解かっていないんですかって、ギャーッ!火柱がぁぁぁ!

なんでこのナイトメアは、すぐ後ろで火がゴウゴウと燃えていても平然としていられるの!?


「あっはっは。こんな状況でよくギャグ漫画みたいなノリが出来るわね」


「なんであんたそんな暢気なんですか!?」


確かにあなたも僕も漫画のような姿をしていますけどね!

ほんっとうに楽しそうに笑うんですね!? 怒号と悲鳴と断末魔と爆音と金属音が響いているってのに!

初めてあなたが人じゃないんだって認識できましたよ!どうしてそんなにマイペースなんですか!?


「だってこれ、夢だもの」


「あ、そっか」


思わず手ぽむしちゃいました。

リームさんの一言で納得しまう辺り、今の僕は夢の住人なんだなぁって思っちゃう。

前回の死霊蜘蛛もそうでしたけど、リアリティーのある夢ってこういう弊害もありますね。


けど取り合えず。


「五月蝿いし、とりあえず隠れましょうか」


「御尤もですね」


いつまでも戦場のど真ん中だなんて落ち着きませんからね。移動移動っと。

丁度いい事に大きな岩があったから、その陰にでも隠れよう。……あちこちで死体が目立つけど。

幸いな事に、周りの人間やら亜人やらは互いを殺し合うことに夢中のようで、僕らには気づいていない。

ていうか、周りが僕たちを認識していないというか……好都合だからいいけど。


「……で、ここはどこなんですか?なんで戦場なんですか?」


これでようやくちゃんと質問できますね。周りは僕たちに気づいていないし。


「他人が見ている夢とあなたの夢を繋げたのよ。つまりここは、あなた以外の人間が見ている夢の世界ってこと」


ふーん、こんな曇り空の下、岩山を眼前に荒野で争いを繰り広げるのか。

よく見れば、山から出てきている軍勢の殆どは魔物で、荒野から来ているのが人間の軍勢みたい。

魔物といっても人に近い姿をしていて、けれども人よりも大きな体躯を持っている。まさに魔族って感じ。

対する人間の軍勢はそんな魔物の軍勢に押され気味で、弓や魔法で応戦しているみたい。

剣や盾、弓はもちろんのこと、魔法も飛び交っているし、ファンタジー路線なのは確実だろう。


戦場、魔物対人間、剣と魔法の世界……。

ここまでくると、この夢の持ち主がどんな人なのかおおよそ解かった気がする。

後はいつ頃この戦場に出てくるか……って。


「居たわ」


リームさんがそう呟いた後、それをかき消し、空気と地面を大きく揺らす程の爆音が轟いた。

こ、鼓膜どころか体中が、ビリリってした……びっくりした、すごくびっくりした!


「あれがこの夢の主よ」


未だ爆風が治まっていないにも関わらず、リームさんは涼しい顔でその先を見て言う。

治まって緩やかに弱くなっていく爆風に安堵しつつ、リームさんが見ている先を見る。




――居た。あそこって、さっきの爆発の震源地じゃないですか。


「無駄無駄ぁぁ!」


そう叫んでは長さ1mもある巨大な剣を振り回し、魔族達を薙ぎ払う一人の青年。

赤毛に青い目を持つ、イケメンと言われても納得できるほどの美青年だ。20歳ほどかな?

いかにも勇者だと言わんばかりの豪華な鎧を身に纏い、中央に宝玉が嵌められた剣を片手で軽々と振り回している。


まるで遊びであるかのように眼前の魔族を斬撃で切り裂き、衝撃波が周囲を吹き飛ばす。

剣から魔力らしきオーラも纏っているとはいえ、片手でこれってやりすぎじゃない?


そんな調子に乗っている彼の後方からは別の魔族部隊。地中から奇襲してきたようだ。

大きな腕と鋭い爪が襲い掛かる……寸前に青年は一瞬で翻り、もう片方の手を魔族達に突きつける。


業火灰塵拳イフリート・ナックル!」


うわ、中二くさい名前……じゃなくて。

拳が真っ赤に燃えて炎を纏い、それが魔族達に打ち付けられ、一気に爆発。

それが爆炎となって青年の目の前に居た魔族達を焼き尽くす。さっきの爆発はこれだったんだ。

そんな剣と拳を振り回しているもんだから、飛び道具も風圧と爆風で弾き返されるのがオチ。

青年を中心に屍と炭が大量に転げ落ちているようになって、やっと魔族達は後退りしだす。


「このまま一気に敵軍を殲滅するぞ!俺に続けぇぇ!」


青年が後方に下がっていた軍勢にそう告げると、人々は怒号を上げて青年の後に続く。


「無双英雄シリウス様、万歳!」


「トパーナ王国に栄光を!」


「我らが勇者様に勝利を!」


まるで雪崩のように人々が走り出し、青年ことシリウスに称賛の掛け声をかける。

そんな軍勢……というかシリウスが迫ってくるのを見て魔族達は一転して慌て出す。

それでもシリウスは容赦なく、それでいて遊んでいるかのように剣を振るい、薙ぎ払っていく。


まさにワンサイドゲームに相応しい光景だった。




……いや、なんていうか……えー?やりすぎじゃない?

色々とぶっ飛んでいるけど、剣を振るだけで一部隊全滅とか、想像以上にチートすぎて逆に萎える。

それに技名も凄い。まさに中二病って感じ?よくは解からないけど、とにかく名前が凄い。


そしてなんといっても……彼の自己中心的な印象が拭えない。完全に戦闘マニアだ、あれ。


「えっと……あんなのと戦うんですか?」


解かってはいるんだけど、一応リームさんに質もnって、うわ凄い顔。

リームさんも予想以上に厄介な相手だと認識したのか、凄く面増臭そうな顔をしている。


「まぁ……頑張りなさい」


「……はい」


投げやりな言い方が少しショック。せめて同情の一言ぐらいは貰いたかったな……。

けど諦めるしかないのも事実。あの人を止めないといつか死んじゃうんだし。


「じゃあ、私は一足先に忠告しに行くわ……無駄だろうけど」


そう言うとリームさんは日傘を広げ、フワリと浮いて空を飛んでいく。

面倒くさいでしょうけど、一応お願いします。話が通じる相手だといいですね……。


それにしても、いざやるんだと思うと、少し怖くなってきた。

感覚は最初の頃からあったけど、今になって爆風だの危機感だの色々と感じたからなぁ。

それに現状を考えると、僕は一人で、あちらは軍勢も含めて多数。多勢に無勢じゃん。

よく考えたら多人数相手もありえたよね。うーん、なんとかこちらの想像力を駆使するしかないか。



さてと……頼まれたからには、頑張らないとね。僕の夢だけど。

現実で目覚められないだろう彼の為にも、とびっきりの悪夢を想像してやろうっと。


この作品は中二病やチート厨を追い詰めるという捻くれた作品です。

ですが中二病ってどんな感じに書けばいいのかちょっと解からなくなる時があります。


一応考えてはいますが、よろしければ上記に関するご意見がありましたら寄せてください。

こんな中二病をコテンパンにしてくれ!なんてのがありましたら(コラ)


次回は相手視点で続きが始まる予定です。

今後もどうかお付き合いしていただけるとありがたいです。では。

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