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第五十七話「無限の魔玉」

「ここが、エクロートだったところか」


 ぼくはこむぎと姿を消してエクロートのかつて王都だった場所にきた。 町は無惨に崩れた建物の瓦礫の山があった。 そこを兵士たちが撤去していた。 見たことのない異形のモンスターが周りにいる。


「ひどいな......」


「ああ、モンスターにほとんど壊されちまった」


「一日ももたなかったからな。 我々が出るまくもなかった」


 そういって、瓦礫を運びながら、兵士たちは話している。


「ただ薄気味悪いな。 このモンスター襲ってこないだろうな」


「ああ、普通のモンスターより恐ろしい」


 そうモンスターを見ながら言う。


(確かにこのモンスターたちから感じるのは、破壊の黒い魔力でも、創造の白い魔力でもない。 空虚な魔力だ)


「おい、滅多なことを言うな。 ダレスさまに聞かれたらどうする」


「そういえばダレスさまの姿がみえんな」


「王と共に遺跡の方にいったらしい」


(遺跡...... 探知してみるか)


 ぼくは魔力で探知を広範囲に行う。 遠くに魔力の多い人々の姿をみつける。


(あれか、かなり遠いな)


 ぼくたちはその場所に向かった。



「かなり険しいな」


「ピィ」


 深い森があり、イビルモンスターも数多くいる。 


「ここは深域か......」


「ピィ!」


 こむぎがなにかをみつける。


「あれは」


 そこには遺跡らしきものがある。 奥へと人々の魔力を感じる。


「入るか...... こむぎまだ魔力は大丈夫だよね」


「ピィ!」


 ぼくたちはその遺跡へと入っていった。


 そこかしこにモンスターが倒されている。 そこには見慣れないモンスターも倒れていた。


「モンスター...... イビルモンスターと空虚な魔力のモンスター。 多分産み出されたモンスターか」


「ピィ?」


 奥へと進むと、大きな扉の前に大型のモンスターを数体引き連れた一団がいる。 そのなかにダレスの姿をみた。


(あれか......)


「ダレスよ。 本当にこの先に古代の宝があるのか......」


「ええ、タルタニア王」


 威厳のある老人にダレスがいった。 


(あれがタルタニア王か...... あれは?)


 そのそばにはベライドでみた魔法使いたちがいる。

 

(あいつらエクロートじゃなくて、タルタニアの魔法使いだったのか! なら裏で手を引いてたのがタルタニア。 エクロートとベライド...... いやバルチアと戦わせるつもりだった......)


 ダレスが杖をつくと、扉が開きあいた。 


 魔法珠をもってることも考慮しつつ、近くへと向かう。


 ダレスが扉をあけると、そこには目も眩むような黄金と宝石が部屋を埋め尽くすようにあった。


「おおお!!」


 タルタニア王含め兵士たちが宝に群がるなか、ダレスはそれには目もくれず、奥にあった水晶のような珠をつかんだ。


「ダレスよこれだけの財貨があれば世界を支配することも可能だ! よくやった」


 そう王は満面の笑みで背を向けるダレスを誉めた。


「いえ、こちらこそ......」


 そうつめたい声で王にダレスは振り向くと、とても邪悪な顔をしていた。


「......ダレス、それは」


「ああ、これは【無限の魔玉】、魔力を無限にためられる魔法道具です」


(無限に魔力をためられる魔法道具......)


「おお! それはすごい! さあこちらへもってくるのだ」


「......これにためるため、私はモンスターより魔力を奪う技術を得ました。 もちろん魔力の多いものを狙ったり無駄も多かったですがね」


「ほう、それでモンスターを産み出したのか...... さすればそのモンスターたちから魔力を奪い、その魔法道具の糧とすれば、モンスターの兵士を無限に作り出せる。 この世界の王となれる!」


「......かつてこのディシディアは国を滅ぼされた。 いえ、この魔法道具に魔力を貯めるため犠牲になったのです」


「何をいっておるダレスは...... ディシディアは連合した国に滅ぼされたのではなかったのか......」


「いいえ、それは後世が書き記した伝承です。 ディシディアはこの魔法道具で滅んだ」


「だれかが魔力を得るため、国を滅ぼした......」


「ええ......」


 そういいかけたダレスの持っていた無限の魔玉が、どす黒く輝きを放つ。


(なんだあの魔力...... すごく嫌な気配がする。 奪いたいが、あの数の兵士とモンスターから逃げられない。 どうする......)


 その黒い光は周囲を包んでいく。


「これは......」


 タルタニア王や兵士たちモンスターたちの様子がおかしい。


(なんだ......)


「ピィピィ!!」


 こむぎが慌てたように引っ張る。


「どうした...... 今はまだかえれない」


「ダレス...... なにかおかしい、それを止めよ。 早く......」


 タルタニア王はそう手を伸ばす。


「申し訳ございません。 あなたたちには糧となってもらいます」


「か、糧......」


「この無限の魔玉は魔力を欲しています。 あなたたちの魔力を全て奪い私の願いを叶えてもらう。 その為に糧となってもらいたい」


「ふ、ふざけるな...... 貴様! やれ!」


 兵士たちや魔法使いは魔法を放つ。 


 しかし魔玉に吸いとられように魔法は消えていった。


「なっ......」


「はははっ、そのような魔法などただのエサにしかなりません」


「き、貴様......」


 次々と他の兵士やモンスターたちとともに、タルタニア王は倒れた。 


(このままだと、魔力の全て飲み込まれる...... 何とかあれを奪う)


「こむぎ......」


 ぼくはこむぎに頼みごとをした。


「ピィ...... ピィ!!」


「頼む、こむぎ」


「......ピィ」


 いやがるこむぎに頼むと、覚悟を決めて近づいた。



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