第五十三話「アースラント伯爵の野望」
ぼくたちは領内から飛び、ゴールデンバードの集落へと向かった。
降り立つと、グミナスさんが驚いている。
『まさか、この者は......』
「ええ、こむぎの母親です。 アースラント伯爵の城にとらえられていました」
こむぎの母親はこむぎに愛おしそうにほほを寄せている。 そしてこむぎもピィピィないて甘えるように母親に体を寄せている。
「どうやら、母親だとわかったようだな」
アスティナさんが嬉しそうにいった。
「なぜ、ゴールデンバードがここに......」
マフトレインさんにぼくはいきさつを話した。
「なるほど、そういうことか...... だが驚くべきことだゴールデンバードが人間と共存するとは」
「今はこの事を王女に伝えなくては、グミナスさんのせてもらっていいですか」
『ええ、お乗りください』
ぼくたちは王都に急いだ。
「まさか、叔父上がそんなことを...... そしてダレス」
王女は言葉を失う。
「はい、王女、私が証人です」
マフトレインさんがそうひざまずき話した。
「それで叔父上...... いえダレスはモンスターから奪った魔力をどうするつもりだったの」
「そこから新たなモンスターを産みだしていたようです。 どうやらそれを兵器として使うつもりかと」
マフトレインさんがそういった。
「モンスター兵器...... まさに古代のやり方ね。 喰魔の杖もそのために奪ったのかしら......」
「アシュテアさま!」
そのとき、慌てた兵士がかけてくる。
「なんですって!? アースラント伯爵が!」
「なんのつもりですか叔父上」
王女の前に、恰幅のよい男がたつアースラント伯爵だ。 その後ろに兵士たちがついている。
「そなたはこの城からでるのだアシュテア」
そうアースラント伯爵は尊大な態度でそういった。
「なんの冗談ですか。 ここは私の城、あなたにそのような権限はありません」
「そなたは王位についてはおらぬ。 王位は本来長兄であった私が継ぐべきもの。 それをそなたの父が簒奪したのだ」
「なにをおっしゃってるのですか。 お祖父様があなたの素行にあきれ王を解任して、我が父を王へと指名したのです」
「口の減らぬ...... まあよい。 あれをみよ」
そう窓から地平線を指差した。
「あれは...... モンスター」
それは見慣れぬモンスターの群れが、こちらに進軍してきていた。
「あれは我が軍、我が命ずればこのような城などひとたまりもない。
これは姪への慈愛だ。 降伏しこの城を引き渡し、我の王位を認めるがよい」
「くっ......」
王女は唇を噛む。
(確かにあんなものが侵攻してきたら、町がめちゃくちゃになる)
「お待ちください」
そのとき、ガルバインさまが部屋にはいってきた。
「なんだガルバイン、今私は王位の話をしている貴公のでるまくではない」
「そうはまいりません。 我ら貴族たちは王女のために馳せ参じたのですから」
「なんだと!?」
城の西から大勢の兵の隊列が並んで進軍してくる。 かなりの人数がいる。
「この数......」
「ええ、国の貴族たちをまとめ兵を挙げました。 アースラント伯爵、我らと戦いますか」
「馬鹿な...... あれだけの貴族たちが王女につくだと......」
信じられないといった風にアースラント伯爵は言葉を失う。
「この一年王女は貴族の話を聞き、その言も受け入れてきた。 各地で、領地の運営も安定してきたのです。 あなたが一時王になったとき各地の運営は傾きました。 自らのために中央への上納金を増やしたからです。 どちらにつくかは明白でしょう」
「くっ! だがまだ我が方にも貴族の兵がいる! 勝てる!」
「それはどうかな」
サイゼルスさまが部屋へはいってきた。
「なぜ亜人が!」
「友の窮地を見過ごすわけにはいくまい」
東側から亜人の軍が進軍してくる。
「そ、そんな亜人まで、しかし我がモンスターの軍が......」
「その軍も終わりのようね」
「なんだと......」
王女がみる方をアースラント伯爵がみた。
飛来した無数のゴールデンバードが上空より炎や氷、風や雷などを放ちモンスターたちを駆逐していく。
「なっ!? あんな数のゴールデンバード!! ありえん!」
「ありえるのよ。 ゴールデンバードたちは私の国にすんでいるの。 叔父上、いえアースラント、あなたはゴールデンバードを捕らえ、実験台にし虐待した。 反撃されてもしかたないわ」
「そ、そんな......」
「ガルバイン、サイゼルス捕らえなさい」
「はっ!」
力なくうなだれたアースラントを二人が捕らえた。




