第1章 渡邉玲香は友達に戻りたい(1)
その日、その話は晴天の霹靂のように唐突に始まった。
「それで・・・友達に、戻れないかなって思って・・・どうだろ?」
突然のことで頭の中で言葉の理解が追い付かない。とりあえず時間を稼ごうとゆっくりスプーンを置き、玲香の目を見て、今言われた言葉を再度脳内で再生した。フム・・・。なるほど・・・。戻るとは・・・。
「それは、もう別れたいっていう意味・・・?」
あまり考えず、反射的に言ってしまった言葉に玲香はうなずいた後、「あっ、違う」と笑顔で言って首を振った。そうか、違うのか・・・。
「別れるっていうか・・・大学1年のころ関係みたいに戻りたいみたいな・・・。一緒に映画見に行ったり、アニメ見たり、同人誌サークルやったり・・・。あの頃は楽しかったな~。」
大学1年のころは・・・たしか付き合う前・・・そこに戻りたいということは・・・つまりどういうことだろう。なぜだ、どこで間違えた?最近は大きなケンカもしてなかったし、何の予兆もなかったはずだ・・・。今日一日を思い返しても、二人でコラボカフェに行って、推しキャラがなかなか出ないと嘆き、その後買い物に行ってグッズを爆買いし、それで1年目の付き合った記念日としてこの店に食事に来て、ムード壊しちゃうから次の販売会のサークル出店の打ち合わせはあえて避けて・・・・。玲香もずっと楽しそうだったはずだ。いや、時々、少し考え込んだ顔を見せてたかも・・・・。
「どうしてなの?」
悩んだ末に、やっと絞り出した言葉は我ながら極めて凡庸だった。
「なんというか・・・うまく言えないんだけど、友達だったころの方がうまくいっていたというか・・・潤のことは好きだけど、友達として付き合ってた頃の方がお互い自分らしくいられてたというか・・・。」
童顔の玲香の糸目がさらに細くなり、そのままう~んっと首を傾げていた。いい表情だなと思って見とれていたら、その後の玲香の言葉はほとんど耳に入ってこなかった。引き止めた方がいいかなと思ったが、特によい策は思いつかなかった。こういう時はどんな言葉をかけるべきだろう?どんな表情をすべきだろう?
僕がしばらく黙って静止していた様子を見て気を遣ったのか、玲香は明るく笑って言った。
「デザートのアイスが溶けちゃうよ。食べよ食べよ!わ~っピスタチオケーキおいしそ~」
その後、どんな話をしたのか、また玲香からどんな話をされたのか覚えていない。デザートを食べ、お会計をして、玲香を家の近くまで送り、自分の部屋に帰りつくまでミュートになった動画をぼんやり見ているかのような感覚だった。
「あっ、そうか姉さまには伝えておかないと・・・。」
ベッドに寝転がり、スマホを手に取り、姉さまに『別れることになったよ』とLINEでメッセージを送った。すぐには既読にならなかった、きっと姉さまは就職したばかりの製薬会社の仕事で忙しいのだろう。そのとき、LINEにメッセージ通知があった。玲香からだった。
『ねえ、高野監督の新作映画、やばいよ~』というメッセージと予告動画のリンクが送られてきた。
どれどれ・・・。ふむ30秒ほどの動画か・・・。まあPVはいいところばかり切り出してまとめるし、30秒じゃわかんないよね・・・って、ん?
『やばい!どんだけ作画コストかけてんの!』
『原作見て、このメカ書きたいって引き受けたらしいよ』
『原画もやってんだ!まさに趣味の人。』
『高野監督だからきっと原作を好き勝手改変しちゃってるよ』
『もはや原作レイプ』
『ラッシュで原作者が激怒したシーンがあるらしいよ』
『3年ぶり4回目』
『来週金曜日からだって!限定の特典イラストもあるから早くいかないと!』
『やばいな、何種類あるんだろ。』
『潤のコンプ前提の発想がヤバい。じゃあ初日に一緒に行こうよ!』
「んんんん???」
思わず続けたチャットの最後のメッセージを見て思わず僕はベッドから飛び起きた。あれっ?さっき別れを告げられなかったっけ?あれは勘違い?どっきり?からかわれてる?
『OK!18時10分からの回でどう?』
疑心をもちながらも、一縷の望みを感じて震える手で返信した。
『いいよ~。じゃあ大学終わったら一緒に行こ!』
やっぱり別れてなかったも?そう思った直後、次のメッセージが届いた。
『やっぱり持つべきものはオタ友だね!!!』
オタ友とは・・・オタクの友達?つまりあなたのカテゴリーが変わりましたと念押しの追い打ち?
潤は、残りのライフを振り絞り、辛うじて『いいってことよ』スタンプを押し、再びベッドに倒れこみ、うつぶせになって、近所迷惑にならないよう枕を顔に押し付け叫んだ。
「なんで~~~~~だ~~~~。」
うん、いや、足をバタバタさせた方がそれっぽいかもしれないと思い、もう一度、足をバタバタさせながら「なんで~~~~~だ~~~~。」とやってみた。うん、こっちの方がメタ的に見たらそれっぽいかも。作画の参考になるように動画に撮っておこうかな・・・。
そのとき手に取ったスマホが震え、姉さまからメッセージが届いた。まるで僕の叫びを聞いていたかのようにそこにはこう書かれていた。
『そらそうでしょ・・・』
★
翌週の金曜日の夜。玲香とともに無言のまま映画館を出て少しの距離を歩き、周囲を見回して人がいないことを確認した後、二人で同時に一気にしゃべりだした。お互い安定の早口だ。
「いやすごかった、あそこまで原作改変するなんて!」
「原作はたしか、宇宙艦隊を慰問する少年少女合唱団の話だったんでしょ?」
「そうそう、戦争の悲惨さにショックを受ける子供たちの心の動きと成長を丁寧に描いた作品なんだけど。それなのに高野監督は宇宙艦隊の戦闘シーンとか爆破シーンばっかり描いて、主役の合唱団は最初の5分で退場!爆撃で消滅!」
「メインキャラ消滅させたら、そら原作者もキレちゃうよ~!」
「原作者かわいそ~。」
「好き勝手し放題の監督うらやましい~。」
そのまま、駅から離れた経営が心配になるくらい客が少ないファミレスを見つけ、その中でもさらに他の客から離れた席を選んで、そこで熱く玲香と感想を語り合った。
「特典イラスト見せてよ!」
「見たまえ!この精密なメカの描写を!きっとこれは高野監督が原画を担当したに違いない!」
「うらやまし~!帰り道に追い剥ぎに気を付けたまえ!」
「被疑者は一人しかいないだろ!」
ケラケラと笑う玲香。この好きなことを語っているときの笑顔は大好きだったんだよな・・・ボブの黒髪の少しアニメっぽい声も・・・。
日曜日に別れを告げられた後、月曜日にキャンパスで会った玲香は、それまでと同じように、いやそれまで以上に潤にフレンドリーだった。きっと、潤の友達も、文芸サークルのメンバーもまだ、二人が別れたなんて思ってもいないだろう。
「そういえばさ、原作はライトノベルなんだっけ?マンガ化もしたけど。」
玲香が唐突に話題を変えたので回想から引き戻された。
「そうそう。全35巻もあるの。外伝も合わせると。高校の時にハマって必死で集めたよ。」
「じゃあ貸してよ!全35巻!一気に!」
「いや、一気読みは無理だって!」
「だ~れ~が一気読みするって言った?部屋に置いておいて、少しずつ読むのだよ。」
「じゃあいつ返してもらえるんだよ!」
「お葬式でお棺に入れてあげるよ。」
ふいに脳裏に、年老いた玲香に看取られる姿が脳裏に浮かんだ。きっとそんな日は来ない。
「潤だってさ~、私が貸したパタリロ返してくれないじゃん!」
「あっ!ごめん返した方がいいよね?」
「?」
急に真顔になった潤に、玲香は不思議そうな顔をした。
「まだ読んでないんでしょ。いつでもいいよ!私たちの仲じゃん。」
「うん・・・」
「と~もだち、だろ!」
明るく言ってハイタッチを求める玲香。
「トモ・・・ダチ・・・」
「とうとうAIに感情が生まれる日が来たのか!」
玲香はハイタッチのため振り上げた手で勢いよく潤の頭をはたいた。
「ガガガガ・・・・」
「バグかよ!」
またしてもケラケラと笑う玲香。この関係でも悪くないかな。でもそうすると、あの件だけは確認しておかないと・・・。
「そういえばさ、5月の同人誌の即売イベントどうする?」
「む~。進んでるよ。頭の中では。構想はあるから、後はそれを形にするだけさ!」
「つまり、全然進んでないってことだね。」
「そうとも言えるし、そうでないとも言えるね・・・。」
「じゃあ、が~んとファンを引き付ける衝撃の新展開待ってますよ、玲香先生!」
「任せなさい!過去最高傑作よ!まだ描いてないけど。」
「その後の続編ももちろん・・・?」
「もちろんそれが最高傑作よ!常に歴代最高を更新し続ける女!それが渡邉玲香の生きざまよ!」
「さすが!今のセリフは将来、ドキュメンタリーが密着したとき用に取っておきましょう。じゃあ、10月のイベントも抽選予約しておくね。」
「うん、よろしく~。」
よかった・・・どうやら同人誌サークル活動は続けてくれるらしい・・・。
結局、この日は終電近くまで二人で話して、解散となった。駅で別れた帰り道、潤はLINEにメッセージが入っているのに気付いた。一通は姉さま『明日香に話しといた』というメッセージ、もう一通は明日香から『姉さまに聞いたぞ!』というメッセージだった。
明日香は小学校のころからの同級生で、去年、潤に1年遅れて同じ大学に入ったが、潤よりも姉さまと仲が良く、きっと姉さまと飲みに行って、潤の悲恋話がネタになったのだろう。
少し考えてから、明日香に先に返信することにした。
『力不足でした。無念。』
すると深夜にもかかわらず、すぐに既読がついて返信があった。
『元気だしな!一緒に高野監督の映画に行ってあげるよ。もう一緒に行く人いないでしょ。でも代わりに買い物に付き合ってね』
「慰めてくれるなんて、明日香も優しくなったな。」
幼いころから乱暴者・・・長じた中学高校ではスクールカーストトップの体育会系ギャルであった明日香からは、オタクとからかわれ、やたらと厳しく当たられていた記憶しかない。心理的にも物理的にも・・・。でも、こんな配慮してくれるようになって・・・人って成長するんだな。
『心配ないよ。高野監督の映画も、今日玲香と観てきたばっかりだし。』
こう返信すると、スマホが震えた。明日香からの通話のようだった。
「なんだろ・・・。」
通話ボタンを押すと、すごい勢いでまくしたてる明日香の声がした。
「ちょっと!どういうこと?別れたって聞いたけど?」
「うん、そうなんだ。別れたんだよ。ごめんね。」
「じゃあ、なんで一緒に映画に行ってるのよ?」
「それはまあ、友達として・・・。」
「どこのパーティーピーポーだよ。別れたら普通はしばらく距離置くもんだろ。気まずくないのかよ?」
「まあ、現実に一緒に映画に行ってるし・・・その後もゆっくり話したけど、気まずいというよりも、むしろ前よりもうまくいってるというか・・・。」
「おかしいんじゃないの、あの女!潤はうまく利用されてるんだよ。」
「そんなことないと思うけど・・・。」
「潤に飽きて、他の男を探したくなったけど、とりあえずは遊び相手にキープしとこうって腹だな!腹黒い!」
「そんなことないから、それに前みたいな友達に戻ろうって言われたし。前みたいに戻っただけだって。」
「ないない!人生は一方通行。一度付き合って友達に戻れるなんてないない。そんな関係期待したら、また悲しい思いするだけだよ。元カノが近づいてくるなら潤から距離置きな。距離を置くべきだ。置かねばならぬ!絶対に!」
「う~ん・・・。それは違うと思うんだけど。」
「傷つくのは潤なんだからな。よく考えな!じゃあ、明日15時に下北の駅のロータリー前ね。映画はいいから買い物だけ付き合って。」
そう言って明日香は一方的に通話を切った。いつも思い込みが激しいな、ヤレヤレ・・・。
「あれ?慰めるための映画がなくなって、代わりに買い物付き合う部分だけ残ったの・・・?」
何か釈然としない気持ちのまま、駅からゆっくりと家に向かって歩いた。
★★
翌日、明日香の希望の服を探すため下北沢をさんざ歩き回った後、夕方に姉さまから渋谷にあるいつもの焼肉店に呼び出された。
「二人ともどんどん食べな~。いつもの小汚い店でも、初任給で食べる肉はおいしかろう。」
「姉さま、ありがとうございます。ごちになります~。」
明日香が調子よく答える。ちなみに、明日香は『姉さま』と呼んでいるが血縁はない。ただ、中学のころ、バレー部の先輩である潤の姉を慕って『姉さま』と呼ぶようになり、それがいつの間にか定着した。あまりに定着したため、実の弟である潤も使わせてもらっている。
「しかし、社会人一年目、どうですか?もうすっかり大人の女じゃないですか~。仕事とか語っちゃいますか?」
「まだまだ研修中だし、語れるような仕事なんか何もしてないわよ。」
「来年あたりにはインターンに応募しますので、ぜひ働かせて一緒にください。」
「ぜひぜひおいで~。決める権限ないけどさ!」
相変わらず仲がよさそうな姉さまと明日香を見ながら、潤は会話に入るきっかけがなく、トングを持って静かに厚切りタンを育てることにした。姉さまは実の弟より明日香と話す方が楽しそうだし、今日は黒子に徹しよう。
「今日は潤と二人で会ってたの?珍しいわね。」
「はい。潤が落ち込んでいるから元気づけてあげようと思って。」
「ありがとうね。明日香。」
「いや、ほとんど明日香の荷物持ちだったんだけど・・・しもべみたいに荷物持って、気が向くままに歩く明日香にかしずいて付いていくだけみたいな。」
『ガスッ!』
テーブルの下で明日香が潤のすねを蹴った。サンダルのつま先の鋭利な部分が弁慶の泣き所にヒットして痛い。ちなみに、昼に一緒に買い物していた時も、少し潤がスマホに気を取られただけで脳天にズベシッとチョップを見舞ってきた。長身の明日香が放つ、バレーのスパイクで鍛えたチョップは強烈で目から火花が出るくらいの衝撃だ。
「まあ、二人が仲良くしてるようでよかったわ。潤も思ったより元気そうね。」
早くも姉さまが一杯目のジョッキを空けたので、体育会系の鑑である明日香が素早く店員を呼びに行った。
「潤が彼女と別れたって聞いたから、落ち込んでるかと思ってたけど・・・。」
「いや、まったく落ち込んでないよ。」
「またそんな強がって・・・。素直に感情を表に出さないのはよくないわよ。周りが心配になっちゃうじゃない。」
「本心だって。玲香とも、前みたいに楽しく遊べる友達関係に戻れたっていうか・・・。」
「そうそう、友達に戻りたいって言われたんだろ?あれか、やっぱり満足させられなかったんだろ?」
戻ってきた明日香が自然に話に割り込んできた。
「いや、そんなことないって。」
「あいつにいろいろと卒業させてもらったんだろ。まっ、その経験を次の彼女に生かすんだな。いろいろと教わったテクをさ。それだけでプラスと割り切ろうぜ。」
「ちょっと、明日香!肉親のそういう話は肉がまずくなるから、や~め~て。」
「さーせん。」
少し静かになってよかった。明日香は付き合いが長いので、姉さまの怒りの気配にも敏感だ。
「いや、でも本当に前と同じなんだって。もともと趣味が合う友達だったんだけど、それに戻ったっていうか。」
「そうなんですよ。潤のやつ、別れてすぐなのに元カノと一緒に映画行ったり、通話で盛り上がったり。今日も一緒に買い物行ってあげてるのに、元カノからのメッセージの通知がものすごくて。しかもいちいち律義に返して・・・スマホよりも目の前の美女に集中してよって感じで。」
机の下で明日香にまたすねを蹴られた。この痛みは・・・青あざですむだろうか・・・。
「まあ、潤がそれでいいならいいんじゃない?でも、『友達に戻りたい』って言葉を文字通りとらえ過ぎてない?そもそも、元カノさんはなんでそんなこと言い出したのかな?ちゃんと話してみた?」
姉さまは、タンをすべて回収して明日香と僕の皿に配った後、トングでホルモンをつかみ、網にのせて焼きながら核心に切り込んできた。
「そんなの、他に好きな人ができたとか、そういうのに決まってますよ。それで、あわよくば潤をキープしたまま新しい男に乗り換えようとして、『友達に戻ろう』って都合のいいこと言ってるんですよ。それで新しい男とうまくいったら、友達としてもポイですよ。ポポイのポイとゴミ箱行きですよ。」
「憶測でものを言っちゃだめよ、明日香。潤は元カノさんときちんと話したの?どうしてそんなこと言い出したの?それで元カノさんはどうしたいの?潤はどうしたいの?」
姉さまはトングで焼けたホルモンをつかんで、潤と明日香の皿にのせてくれた。
「なんか、付き合ってるのがしっくりこないというか、そういう話だったような・・・。」
「まあ、友達としてはしっくりくるけど、恋人としてはということはあるからね。」
「やっぱりテクの問題だったんじゃないの~?」
「明日香!肉食べてるときにそういう話はやめてって言ったでしょ!」
「さーせん。」
姉さまは、潤と正対して目を合わせた。
「潤が何でそうなったのか理解して、納得してこれからも友達として付き合っていうならいいわよ。でも、なんで別れたのかわからないまま、ダラダラ友達付き合いしているとお互いによくないよ。潤にとっても、相手にとっても、次の人が現れた時に足枷になるわよ。」
「う~ん、もともと別に恋人がほしいとかそういうのはないから、そのあたりはどうでもいいんだけど、どうして急にそういう話になったのかは気になるんだよね。どこを間違えたんだろうって。姉さまは、なんでだと思う?」
「わっかんないね~。人生いろいろ、理由もいろいろでしょ。正解がわかるのは潤と元カノさんだけでしょ。潤が元カノさんと話して答えを見つけないとね。」
「・・・・・・・。」
網の上のカルビから脂が落ちてジュージューと炎が上がってくる。姉さまがすぐに氷を網の上に置いて鎮火した。
「そういえば、姉さまは元カノさんと会ったことないんですか?名前も知らないみたいですし。」
「うん、潤とルームシェアしていたころも潤が会わせてくれないし、その子の話はあんまりしなかったからね。たしかマンガ描いてる人だっけ?そのくらいしか知らない。それに去年からは別々に住んでたしね。ん?元カノさんと付き合うようになってから別に住むようになったんだっけ?ということは・・・・。」
「姉さま、その話題は肉を食べている時にはどうでしょうか・・・。さあ、ホルモンも焼けましたよ!」
★★★
「じゃあ、私は明日香と少し話があるからもう少し飲んでくわね。潤はまっすぐ帰りなさいね。」
そう言うと姉さまと明日香はセンター街の方へ歩いて行った。
さて井の頭線に乗ろうとマークシティのエスカレーターに乗ったところで、玲香からメッセージが届いていることに気づいた。潤は、すぐに返信すると、岡本太郎作『明日の神話』を横目に見ながら東横線の方へ向かった。