鏡に向けたエール
今
この場所で
お前に向けたこの声は
近い将来
記憶に埋もれて
いつか自分の手柄のように
自慢するためだけに
掘り出されて
雑で無責任な逸話に汚されて
笑い話に貶められる
そんな大人になりたくなんて
そんな大人にしかなれそうもない
どうか
ここにいる全ての者が
等しく思う真心が
微かでいいから
何かに刻まれることを
願って
エールよ届け
この瞬間に
何もかも出し尽くしても
立ち向かうお前に
エールよ届け
この瞬間に
奇跡起こすためだけに
明日費やすお前に
それから
時間ばかり過ぎて
鏡の前の
ショボくれた自分は
月曜を恐れて
『いつか』なんてもう考えたりもせず
時間が過ぎるのを待って
心塞ぐのに慣れて
お茶を濁すためだけに口を開き
顰蹙以外与えられずにいる
そんな大人は嫌いだった
そんな大人になってしまった
せめて
どこかにいる誰かに向けて
光輝く宝物を
ひとつでいいから
どこかに残れば良いと
願って
エールよ届け
鏡に映る
何も無い出涸らしの
それでも死ねない自分に
エールよ届け
鏡を見る度
その影に
嫌悪する誰かに
昔に
何度か行ったスタジアムで
一方的な結末を
静寂が染めようとしていた
未だに
諦めず立ち向かう
赤の他人の眼差しは
弱さが起因する俺の全てを
根拠も無く
洗い流そうとしている
彼らは子供でしかないのに
彼らはなりたかった大人に見えた
どうか
ここにいる全ての者が
等しく思う真心が
せめて
光輝く宝物を
ひとつでいいから
エールよ届け
何も無い俺の
絞り出す声が
ふさわしいものでありますように
エールよ届け
ここからの
結末が
挫折でありませんように