表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

常に煽ってくるネトゲ仲間を全力で煽り返したら、キレて翌日にそのネトゲ仲間がVTuberに転生してゲーム配信を始めた話

作者: tama

前作はこちらです→https://ncode.syosetu.com/n4106hp/


前作が5万PV越えかつ評価ポイント9000を突破する事が出来ました! 沢山の方に読んで貰えたようで本当に感謝しております!


ということで今回は前作を楽しんで頂いた皆様に感謝の気持ちという事で、オマケとして前日譚のような話を作ってきました。


前回の因縁は格ゲーだったので、今回の因縁はFPSを題材にして書いてみました。 そして今回はゲームと煽りが大好きなゴリさんがメインの話となっておりますので楽しんで貰えれば幸いです!

 金曜日の夜11時、その日も俺とゴリさんはとても仲良さげにFPSゲームの協力プレイを楽しんでいた。


『いやだから! 何でクロちゃん一人で前に突っ込むん!? 一人で勝手に突っ込んで一人で勝手に死ぬんじゃねぇって! ちゃんと生きて戻って来い殺すぞ!』

「いや違う違う! ゴリさんがカバーに来てくれないからじゃないっすか! あんなん一人で突っ込んだらハチの巣になるに決まってるじゃないっすか!」


 これは今から1年くらい前。 ちょうどゴリさんとフレンドになって1年くらいが経過した頃の話だ。


 この日も俺とゴリさんは、お互いに喧嘩(リスペクト)しあいながら巷で流行っているFPSゲームのLPEXをプレイしていた。


『わかってんならそもそも突っ込むなこのタコ! 大体あんなん後ろにも別チいたんだからアタシ達が最初に突っ込む旨味ないだろ!』

「いやでも全部倒したらキルポうまー出来るじゃないっすか! 俺達若者に一番必要な栄養素はキルポっすよゴリさん! 待ってるだけじゃキルポは増えないんすよ!」

『アタシよりも思考が脳筋ゴリラじゃねぇか!! もう名前変えちまえ!!』


 1年前もそんな感じで毎日罵りあいながらゲームをしていたのだけど、ゴリさんとの仲はすこぶる良好だったし、当時からお互いにお互いの事を一番仲の良いネトゲ友達だと思っていた。


◇◇◇◇


 その日もいつも通り喧嘩しながらランクマを潜り続けていると、いつの間にか深夜2時を過ぎていた。


『ふぁあ……今日はこれくらいでやめとこか、流石にもう眠いしね』

「了解っす。 何だかんだ言って今日もポイント盛れましたね」

『何で盛れてるのかよくわからないけど……まぁ結果良ければ全て良し!って事にしとこう』


 ちょうど数日前から新シーズンが始まったので、ここ最近は学校から帰宅したらいつもLPEXのランクマッチに籠っていた。


「俺達最近ずっとLPEXしてますけど、他に何か面白そうなゲームとか無いっすかね? ゴリさんはやりたいゲームとかあります?」

『うーん、アタシは何だかんだ言ってFPSが一番好きだからなー。 撃ち合いをしてる時がやっぱり一番生を実感出来るしね! クロちゃんは何かやりたいゲームとかないん?』

「俺っすか? うーん……あ、そういえば今やってるソシャゲがあるんですけど」

『うんうん』

「そのソシャゲを元にした格ゲーが出るんすよね。 俺そのソシャゲが好きだから買おうかなって思っている所です」

『ほうほう格ゲーかぁ。 え? クロちゃんは格ゲーはやる方なの?』

「いや全然、やった事も無いっすよ! でも何か初心者にもやりやすいように調整するって運営が言ってたし買ってみようかなーって」

『……へぇ、初心者なんだぁ……ふふ、そっかぁ。 あ、ちなみにそのゲーム発売日はいつくらいなの?』

「えぇっと……あ、でもまだ発売日だいぶ先っすわ。 発売日はちょうど1年後くらいかな」

『ほうほう、発売日まではまだ先なんだぁ……なるほどなるほど……! 早く発売されるといいねぇ、ふふふ……』

「う、うん? そ、そうっすね?」


 何でかわからないけどゴリさんがいやらしげに笑っている……え、なにこれ普通に怖いんだけど、ゴリさん何か企んでる?


「あ、そういや1年っていう単語で思い出したんすけど、俺とゴリさんがフレンドになったのも、今からちょうど1年くらい前なんすね」

『あぁ、確かに言われてみればそうだね。 時が経つのは早いなー』

「本当にそうっすね。 まさかゴリさんとこんなにも長い間ずっとゲームをやり続ける仲になるなんて思わなかったっすわ」

『それはアタシだってそう思うよ! いやぁ、こんなクソ生意気な子と未だにフレンド続けられてるなんてアタシは奇跡だと思うわぁ』

「あはは、その言葉そっくりそのまま熨斗つけてお返ししますわ♪」

『あはは、てめぇ殺すぞたこ♪』


 という事で今日も楽しくお互いに罵り合いが始まった。


「いやでもゴリさんって昔に比べると、圧倒的に口悪くなりましたよね」

『いやいや口悪くなったって言うならクロちゃんもだいぶ酷くなってるからね!』

「いやいやいや! 確かに俺も自覚はありますけど……でも俺“殺す”なんてパワーワードは一度も言った事ないっすからね!」

『え!? そ、そうだっけ……? あ、あれ……え??』

「そうっすよゴリさん。 今までの俺達の会話を思い出してみてくださいよ」

『そ、そう言われてみれば……あ、で、でもさ! アタシだって……そ、そんな酷い言葉……一度も言った事無くない? 無いよね?』

「え? もしかしてゴリさん1分前の記憶すら既にお持ちでない??」

『さぁって今日も遅いし寝ようかな、ふぁあー』

「無視の仕方が雑い!」


 ゴリさんはわざとらしく欠伸をしながらそう言って無視してきた。


「いやぁ、でもそんなんだと、きっとリアルのゴリさんも口が悪いんだろうなぁ。 大丈夫っすかぁ? ゴリさん友達に口悪いなって言われたりしてないんすかぁ?」

『は、はぁ!? そんなわけないじゃん! リアルのアタシは清楚で可憐かつ品行方正なJKとして有名なんですけど?』

「ぶはっ! 何それどこの漫画の世界の話っすか?」

『現実現実! クロちゃん残念だけどこれ現実の話なんすよ!』

「いや清楚かつ可憐を100万歩譲って認めたとしても、品行方正だけは絶対嘘でしょ! だってこんなに死ね死ね言ってくる脳筋ゴリラが品行方正な訳がな――」

『あ゛あ゛ん゛っ!?』

「うわビックリした!」


 メチャクチャ低いトーンでゴリさんが唸り声を上げた。 普通にビビった。


『……ふ……ふふ。 流石のアタシもキレちまったよ……』

「え? ど、どうしたんすかゴリさん……?」

『ふ、ふふ……ふふふふっ……! そこまで言うんだったらよぉ……クロちゃんに見してやるよぉ……!』

「み、見してやるって……何を?」

『アタシの本気の擬態ってやつをよぉ……クロちゃんに見してやろうじゃねぇか!』

「ぎ、擬態?」

『おうよ。 明日……アタシはToutubeでゲーム配信をしてやるよ、しかも対人ゲーだ。 暴言出さねぇ方が難しいよなぁ……?』

「配信!? ゴリさん配信勢だったんすか?」

『いや違うよ、やった事すらない』

「違うんかい! え? じゃ、じゃあなんでまた急に?」

『いやゲーム配信って知らない人からも見られるわけじゃん?』

「それはまぁ、そうですけど」

『だからアタシはゲーム配信中……全力で品行方正のキャラを演じ切る。 んで、もしその配信中にアタシが一度でも“殺す”って言ったらアタシの負け。 最後まで言わずに品行方正を演じ切ったらクロちゃんの負け。 これでどうよ?』

「え? 何それ絶対に俺の勝ち確定な未来しか見えないんすけど」

『あ、その代わり、アタシの配信は必ず最後まで見ろよ。 それが勝負の条件だからな』

「そ、それはいいっすけど……え? でもゴリさん何時間くらい配信するつもりなんすか?」

『良し決まり! 明日の準備しなきゃだからアタシ先落ちるね乙!』

「えちょ待っ――」


――― ゴリ林さんとの通話が終了しました ―――


 俺の質問をガン無視して通話が切られた。 こういう時のゴリさんは100%悪巧みをしてる。 俺は若干の恐怖を感じつつも翌日の土曜日を迎えた。


 そして少し時間が経過し夕方になった頃、ゴリさんからメッセージが届いた。


“おらっ! 今日夜9時から配信してやんよ、テメェがふっかけてきた喧嘩なんだから最後までちゃんと見ろよ!”


 続いてURLが貼られた。 Toutubeのチャンネルページのようだ。


「ほ、本当にやるのか……あの人行動力の化物すぎるだろ! いやでもゴリさんって話は普通に上手いし、本気で配信をするんだったら結構面白いかも――」


 俺はそう思ってとりあえずURLをクリックしてみた。







『リアルJCゴリラのゴリ・ゴ・ゴゴ・リゴ(⋈◍>◡<◍)。✧♡Ch』







「……はい?」


 ゴリさんによる狂気の1日限定ゲーム配信が幕を開けるのであった。


◇◇◇◇


「はーい! どうも初見の皆様始めましてー☆ 今日から配信を始めてみました、リアルJCのゴリ・ゴ・ゴゴ・リゴって言いまーす☆ 当チャンネルにようこそー☆」


 そこにはいかにもなフリー素材のようなゴリラのガワを被った、自らをJCと偽るJKゴリラがそこにはいた。


『痛い』

『ばか草』

『ww』

『ヤバそう』

『絶対JCじゃない』


「おっとー! 始めたばかりなのにこんな沢山のコメントありがとうー☆ 皆のコメントがこんなに沢山きて僕嬉しいよー☆」


『ネタに極振りしすぎだろ』

『初見バイバイすぎんかこの配信……』

『まさかの僕っ娘!?』

『おいおいパワーワード詰め込みすぎだって』

『いやもしかしたら男の娘ゴリラの可能性も?』

『親が見たら泣くぞ』←俺


 今現在のチャンネル登録者数及び同接人数は共に6人……いやよく見たら視聴者全員身内だわ。 だってゴリさんと一緒にやってるLPEX仲間達とHNが同じだし。


 そんな感じで挨拶的な雑談をしていると、ちょこちょこと初見の人達が配信を見に来てくれていた。 同接も気が付いたら10人を超えて、もうすぐ20人になりそうだった。


『初見です。 このチャンネルはどのような事をするチャンネルなんですか?』

『名前が厳つすぎてわろた。 名前の由来はなんなの?』

『本当にJCなんですか? 何歳ですか?』

『ボイチェン男? それともガチの女?』


「初見さんありがとうー! こんなに質問を貰えて僕も嬉しいよぉ☆ でもよくある質問に関しては予め全部概要欄にまとめてるから、そっちを見てからコメントしてね☆ JCとの約束だぞ☆」


『今日から始めたばかりのChなのに準備が良い!』

『はーい! わかりました!』

『初見に優しいチャンネルで感動した』

『あまりの優しさに泣きました、チャンネル登録します』


 俺もゴリさんの準備の良さにビックリした。 俺も早速画面をスクロールして概要欄を見てみた。







“概要欄:答えを求めてんじゃねぇよタコ。 考えるな、感じろ”







『おい待てゴリラ』

『視聴者バカにしとんのか』

『こ れ は 酷 い』

『清々しいクズさに惚れた、チャンネル登録しました』


「本当に視聴者さんの皆ありがとー☆ これからは質問してきた人達には、皆で概要欄に誘導してあげてね☆」


『はーい』

『了解です』

『わかりました』

『おい待てコイツ、今後来る質問全部答えるつもりないだけだぞ』

『流石ゴリラ汚い』


「という事で自己紹介も終わったし、今日の配信のやる事を紹介するねー☆」


『おー、楽しみ!』

『どきどき』

『わくわく』


「まぁやっぱりねぇ……配信の王道って事で今回はゲーム配信をしていこうかなと思ってるよー!☆」


『まぁやっぱりそうよね』

『ゴリラのクセにやる事が王道だった』

『何のゲームやるんだろう?』

『楽しみー!』


「皆反応ありがとうー嬉しいー☆ それじゃあ早速……24時間耐久LPEXをやっていくよー!」


 ……は?


『おぉ……え?』

『24……時間……?』

『JCなんだからもう寝ろ』

『同接たったの25人如きでやっていい企画じゃない』

『ゴリラ……お前……逝くのか?』


「いや皆の言う事もわかるよ? でも聞いてくれ! やっぱりね、JC常々考えていたわけよ、JCの成長の秘訣は質の良い睡眠なんかじゃない……キルレだろうがよ! ってね☆」


『いきなり口調変わってばか草』

『一人称が僕からJCに変わって草』

『JCはキルレなんて考えない』

『おい本当にコイツJCか?』

『絶対に脳筋ゴリラだろコイツ』


「ということでねぇ……皆にはJCの24時間耐久配信には付き合って貰うからね、あははっ! もし見てくれてなかったら……ふふ、どうしちゃおうっかなぁ?☆」


『何という恐ろしい企画』

『唐突に試される視聴者達』

『いや途中で絶対に寝るだろ』

『すいません無理です嫌です』←俺

『もう既にボクっ娘要素消えてる件』


「HNクロちゃんさんコメントありがとう! “すいません無理です嫌です”との事でーす☆ あははー、なるほどなるほどー!そっかそっかぁ☆ ……てめぇふざけるなよ?」


『ひぇ……』

『いきなりのガチトーンで恐怖した』

『絶対にカタギじゃない声だったぞ』

『嘘です最後まで必ず見届けます』←俺

『この凄みは絶対JCじゃねぇだろ』


「あははっ! うそうそ、冗談だよぉ☆ いやぁでも嬉しいなぁ……最後まで見てくれるなんてさぁ……!」


『俺は途中で抜けるけどクロちゃんさん頑張ってください』←身内①

『一人だけ言質取られてばか草』←身内②

『誰か知らんけど24時間一緒に頑張って起きててあげてください(笑)』←身内③

『クロちゃんさんって人がんばえぇ! あ、一足先に寝ますおやすみなさい』←身内④


 くそっ……ハメられた! 何が勝負だよ! この人……俺も一緒に地獄に叩き堕としたいだけだ! 絶対に俺の土日休みを潰す事しか考えてねぇじゃん……!


 こうしてゴリさんによる悪夢の24時間耐久ゲーム配信がスタートしたのであった。


~~ 1時間経過 ~~


「いやぁん☆ 負けちゃったぁ悔しいなぁ~☆」


『ぶりっこきちい』

『いや自らをJCを名乗る奴だし、そりゃぶりっこくらいするだろ』

『実際にJCだったとしてもキツイだろ』

『ってか誰もJCだと思ってなくて草』

『いやどうせコイツ男だろ、皆騙されるなよ』

『女である事も否定されたらコイツに残るのゴリラだけになるぞ』


「うわ~い、応援コメントも沢山ありがとぉ! 皆の応援の力で残りも頑張っていくよ~☆」


『ポジティブすぎだろこのゴリラ』

『無敵すぎて逆に応援したくなってきた』

『ネタ配信だとしてももう少しまともなキャラ設定にするだろ』

『でも順調に同接増えていってるな、今50人だよ』

『最初同接6人だったのに、ゴリラを見守る視聴者が50人になってるの笑うわw』


~~ 3時間経過 ~~


「あ、みんな~日付が変わったよぉ~☆ 日曜日が始まったね~☆」


『え? もうそんなに時間経ったんだ』

『配信してから3時間も経ったのか、なんか時間経つの早く感じるな』

『全部クセしかないからイロモノ系の配信だと思ってたのに意外と面白くてついつい見続けてた』

『↑同じく。 すぐにブラバしようと思ったのに意外とゲーム上手くてついつい見続けてた』

『残り21時間配信がんばえぇ』

『え!? このゴリラあと21時間もやるの!?』

『あと残り21時間って実際に言われるとやっぱり狂気過ぎるだろこの配信!』


「……あっ! ごっめーん☆ ちょっとだけメタい事を今から言うねー☆ ……これあと21時間もやるって馬鹿じゃねぇか?」


『急に声のトーンメチャクチャ下がってビックリした』

『高い声から一気にマジトーンに戻さないでくれ怖いわ』

『メタ発言すぎて笑うわ』

『そんなん最初からわかってたやろがい!』←俺

『もう配信飽きとるやないかい』


「いやオメェも最初から気が付いてたんなら最初に言えよこ……」


『こ?』

『こ……ってなに?』

『いきなり黙ってどしたの?』

『放送事故?』


「……え!? い、いや……え、えーっと、こ……コーンフレークが食べたいなーって☆」


『脈絡無さすぎて草』

『配信中に食べて良い食事じゃない件』

『コーンフレーク咀嚼ASMR配信待ったなし』

『いや待て絶対にコイツ放送禁止用語言いかけただけだろ』

『じゃあ次に続く言葉は“ろすぞ”だったな』


「えー?☆ 皆何言ってるのー?☆ JCがそんな汚い言葉使うわけないじゃん☆ あははー☆」


『すっかり忘れてたけどそういえばJCって設定だったな』

『そもそもだけど何でゴリラが日本語喋ってるの?』

『あかん……つっこみ所が多すぎて未だにこの配信どういう見方をしたらいいかわからん……』

『↑おい! この配信の見方はちゃんと概要欄に書いてあるぞ! しっかり読んでこい!』

『おー、親切にあざす! さっそく見てくるわ!』

『そのやり取りは流石に草しか生えんわw』


~~ 6時間経過 ~~


「やった~チャンピオン取れたよ~☆ ……っておーい、皆~起きてるか~い?☆」


『チャンピオンおめ』

『ネタ配信だと思ってたのに意外と上手くてビビってる』

『ってか深夜3時だっていうのにこのゴリラ元気すぎんか?』

『もうそろそろ寝たい……寝てもいい?』

『眠くないの?』←俺


「え~? JC眠くないのかって~? あはは、何言ってるの、眠いに決まってるじゃーん!☆ そんな当たり前の事を聞くんじゃないぞ☆」


『草』

『我慢してただけかいw』

『やっぱりゴリラも眠いんじゃん!』

『ってか初配信で6時間もやってるの頑張りすぎだろ! ゴリラ凄い、凄すぎる!! だからもう寝ましょう!!寝ませんか?』←俺


「え~? 嫌だよぉそんなのっ☆ ……だってJCはさぁ……君達の日曜日を全力で潰すためだけに配信してるんだからさぁ……!」


『やだこのゴリラ怖いんだけど』

『ひぇ……』←俺

『なんでこんな狂気の配信に同接200人も来てるのだろうか……』

『でも何故かブラバ出来ないよくわからん魅力があるのも事実』

『これでゴリラが寝落ちしたら全力で笑う自信しかない』


「あははっ☆ JCが皆を残して先に寝るわけないじゃん!」


『圧倒的なフラグにしか聞こえないぞ』


~~ 7時間経過 ~~


「おいおいちょっと待って! 今のあれ絶対にチートじゃん! はぁ、むかつくんやけど!! なぁおい! ウチ許せへん存在が1つあるんやけど皆きいてくれへんか?」


『いきなり大声で発狂しだして草』

『いや突然の猛虎弁で草』

『エセ関西弁にも程がある』

『関西圏の人達に怒られてしまえ』

『↑しょーがねーだろゴリラなんだから』

『許せないのってなに?』

『なんだろ?』

『どうせチーターって言う』

『チーターだろどうせ』

『チーターって言うに1000ベリカ』


「んなの無線でオンラインに籠る奴に決まってるだろ! おいこの仲間絶対に無線だろ! さっきからずっと落ちたり復帰したりを繰り返してるよぉおおおお!誰か助けてくれえええええ!」


『全然チーター関係無くて草』

『草』

『草』

『ww』

『でもわかる』

『それは確かに許せない存在やわ』

『嫌なら固定メンツでやれよカス』


「あぁん!? 仕方ねぇだろ24時間耐久ペクスを一緒にやってくれる友達なんていねぇよコーンフレーク食わせるぞテメェ!」


『落ち着けJC』

『コーンフレークを隠語にしてて草』

『コーンフレークって言えば許されると思ってない?』

『謝罪のコーンフレーク咀嚼ASMR待ってます』


「……ったくよぉ……ふぁぁ……」


『……あれ?』

『え?』

『は?』

『もしかして……欠伸……?』

『これはまずい』

『悲報:まだ7時間しか経ってない件』


「はぁ!? 欠伸なんてしてねぇだろ! 嘘つくんじゃないよ! てめぇらにもコーンフレーク食わせるぞ!」


『絶対にコーンフレークって言いたいだけだろ』

『いや普通に考えて眠いだろ』

『俺も眠いもん』

『初見、何この地獄の配信は?』

『視聴者全員の土日を潰そうとするJCゴリラの24時間耐久配信だよ』

『やっぱり地獄じゃねぇか!』


~~ 10時間経過 ~~


「眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い!!」


『あかんついに壊れた』

『ゴリラの言語がゲシュタルト崩壊してる件』

『いやそらそうやろ、もう朝だもん』

『なのに同接500人に増えてて草』

『普通に面白いから友達にこの配信宣伝しといたわ』

『トイッターから来ました! 発狂してるJCゴリラが見れると聞いて!』


「もう無理辛い眠いって!! ってか何で同接500人も来てるんだよ馬鹿かお前ら寝ろ! もしくは仕事しに行け!」


『日曜に配信してるゴリラが悪い』

『残念ながら今日仕事休みなんだ☆』

『ごめん今日学校休みなんだ、あはっ☆』

『おかしいな……つい数時間前までは“テメェらの日曜を潰す”って豪語してたはずなんだが?』


「ごめんって! 悪かった! アタシが全部悪かった! 謝るよ! だから……もうやめてもいいでしょうか……?」


『は?』

『は?』

『え?』

『嘘だろ??』

『何言ってんの?』

『ここまで煽っといてそれは無いよなぁ?』

『オメェが始めた喧嘩なんだから最後までやりきれよ』←俺


「う……うがぁあああああ!! いいよわかったよ! テメェら……こうなったら最後までちゃんとついて来いよなぁ!!」


『あ、ごめん寝るわ』

『お休み~』

『じゃあ塾に行ってきまーす』

『テート行ってきま』

『やっぱり仕事だったわ』

『勉強しなきゃ』

『朝飯食ってくるわ』


「ふざけんなテメェら!!!」


~~ 12時間経過 ~~


「……ねぇ、もしかしてなんだけどさ……これってスナイプされてる? さっきから初動被せられたり、待ち伏せされてたりするんだけど、これって気のせい……?」


『スナイプってかゴースティングされてね?』

『同接増えてきてるし多分ゴリラを狙ってる奴いるな』

『配信遅延モードとかにした方が良くね?』

『気づいたら同接800人じゃん、あと少しで4桁いくぞ』

『そんだけ見てる奴いるなら複数の愉快犯に狙われてるかもね』


「はぁ? ランクマでそんな事する奴おるんか?? 初動被せてくるならキルポだけ置いてけよな!」


『言ってる事が完全にドチンピラ』

『すっごい今更だけど最初のJC(笑)口調どこいった?』

『もうJC騙るつもり一切無い件について』

『むしろこっちの口調の方が清々しくて好きだわ』


~~ 14時間経過 ~~


「あのヤローーーーー!! おいアイツ!! さっきもあのHN見たぞオイ!! ゴースティングされてんじゃねぇかよクソがよぉおお!」


『まずい! JCがご乱心だ!』

『おいJCゴリラ冷静になれ。 お前は今JCなんだろ』

『化けの皮が剥がれてるぞ』

『初見です、発狂ゲーム配信が見れると聞いて来ました』

『同接1000人越えおめでとう!』

『ここから初見の皆様、信じれないかもしれませんが、配信主は最初“僕っ娘JC”を装って配信してました』

『↑いやそれ開始3分くらいで既に崩壊してたけどね』


「うがあああああああ! 許せねぇ! 絶対にコイツらだけには屈しねぇからな! JCの本気と意地を見してやんよ!」


『カッコ良すぎる』

『何だか主人公みたいなゴリラ』

『ついに本気を見してくれるんですか?』

『きっとこのゴリラならやってくれるはず!』

『どうしよう、このゴリラに惚れそう』


「スナイプでもゴースティングでもかかってこいや! アタシは逃げも隠れもしねぇ!!」


『うぉお! がんばえぇ!』

『残り10時間応援してます!!』


~~ 16時間経過 ~~


「……ぅぁ……ぇぁ……」


『おいこのゴリラついに喋らなくなったぞ』

『何でかわからないけど即堕ち2コマ思い出した』

『眠気にも屈したゴリラ』

『初見です。無音配信部屋ですか?』

『初見さんいらっしゃい! よくある質問は主さんが概要欄にまとめています! それを読んで見てください』

『親切にありがとうございます! 早速確認してきますね』


『おい待てこら』

『嘘じゃねぇかなんだこの概要欄』

『わろたw』

『草』


「……ぅぁ……チテ……コロチテ……」


『あかん……このゴリラもう限界や』

『あと9時間も残ってるのに大丈夫か?』

『大丈夫、このゴリラならきっとやってくれるはずだ(腕組後方彼氏面)』


「……すぅ……すぅ……」


『あ』

『あ』

『まずい』

『落ちたなこれ』

『お疲れッした』

『さてと、今日の晩御飯何食べようかなー』

『あ、牛乳をかけて食べると美味しいあれとかどうかな?』

『コーンフレークやないかい!』


~~ 18時間経過 ~~


「てめぇらあああああ! なんで起こしてくれなかったんだよおおおお!」


『草』

『草』

『草草』

『こんなん草しか生えんわ』

『w』

『ww』

『落ち着けJCゴリラ』


「いやでも二時間も惰眠を貪った事で……もしかしたらスナイプしてきてた奴ら全員いなくなったんじゃない?」


『確かに』

『ありうるな』

『それを狙ってわざと寝てたんですねわかります』

『策士なゴリラじゃったか』

『ってことは……ついにブチキレないゲーム配信が始まるって事ですか?』

『ここまでJC要素皆無だったけど……いよいよJCの配信が見れるってま?』

『今までゴリラ要素しかなかったもんな……』


「じゃあ残りの7時間はJCらしいゲーム配信を心がけるねー☆ 皆も僕の応援よろしくー☆」


『17時間ぶりに本来の性格を思い出したゴリラ』

『17時間ぶりの僕っ娘でわろた』

『久々過ぎてその口調違和感しかない』

『早く元のゴリラに戻して』

『どうせ2時間もしたら戻るよ』


~~ 20時間経過 ~~


「スナイプばっかじゃねぇかよカスがよぉおおおお!」


『草』

『ばか草』

『こんなん笑うわ』

『おかえりゴリラ』

『本当に元に戻るの早い』


「うわあああああああ! もう無理だああああああ!!」


『ど、どうしたJC!?』

『おいゴリラ……弱気になるなよ……!』

『まだ大丈夫! JCならまだまだいけるって……!』


「うわあああ……ああぁぁ……ぅぁ……ぁぁ……もう……ダメ……だ。 あと少しで……ダイヤ帯なのに……なのに……! 眠すぎで集中力切れてるし……スナイプされるし……そもそもアタシが弱すぎるのが……問題だし……あ……あぁ……ぅぁ……ぁぁ……」


『お、おい! 頑張ってくれよ!』

『そんな悲しい声ださんといてくれ……』

『俺達はそんなゴリラが見たいんじゃないんだぞ!おい!』

『JCゴリラの弱気発言初めて聞いた……』

『おい本当に弱ってるじゃん! 大丈夫か!?』

『おう、もう休め、お前は頑張ったよ』

『ゴールしてもええんやで』


「……いやだ! だって……だってもうすぐダイヤ帯に到達出来るのに……! こんなことでアタシは屈したくないんだ!!」


『ゴリラ……』

『どうしよう泣きそうになってきた』

『ちょっと待ってカッコよすぎだろ』

『最初は絶対にネタ配信だと思ってたのに……すっごいアツイ配信じゃねぇか』

『応援してるぞ!』

『頑張れ!』

『残り4時間、最後まで見届けるぞ!』

『頑張れぇ!』


「み、みんな……ありがとう……! それじゃあ……テメェら! 今度こそ……最後までちゃんとついて来いよなぁ!!」


『おうっ!』『頑張れっ』『応援してます!』『いけぇ!』



~~ 23時間56分経過 ~~


「……ぐすっ……ぅぁ……ごべぇんんみんなぁあああ! アタシが弱いばっかりに……! 皆にダイヤ昇格見せるごとができがながっだよぉおおおお!!」


『GGだろ! 本当にお疲れ様!』

『泣かないでくれよ……JC……』

『JCの頑張りに感動した! 圧倒的GG!』

『俺も画面の向こう側で泣いてるぜ……24時間お疲れ様! GG!』

『同接3000人が全員泣いてるぞ、本当にお疲れ様!』

『本当に頑張ったよ! JCゴリラマジでお疲れ様!』

『うぁああああああ何でスパチャ出来ねぇんだよぉおおおお!!』


「ぐすっ……ぅぁ……みんな……ありがとう……あぁ……いよいよ9時になっちゃうね……ぐすっ……」


『あぁ、24時間放送が……終わってしまう……』

『JC……お前……消えるのか……?』

『最初はどうせクソ配信とか言ってごめん……メチャクチャ楽しい配信だったぞ!』

『最高の日曜日を味わえたわ! 本当にお疲れ様!』

『この得も言われぬ感動をどう伝えればいいのだろうか』

『なんでこの配信にスパチャできないの? 感謝の気持ちを伝えられなくて悔しいんだが』

『おいゴリラ!投げ銭実装はよしろよ!』


「ぐすっ……ふ、スパチャなんてよせやい……あたしゃ何処にでもいるただのJCゴリラさ」


『泣きながらもカッコいい事を言い続けるゴリラ』

『いやこんなキャラ濃すぎるゴリラがあちこちにいてたまるか!』

『ただの……JCゴリラ……?』

『こんなゴリラが何処にでもいたらきっと楽しい社会になってるな』


「こんな普通のJCゴリラにスパチャなんて、そんな野暮な事しなくていいんだよ。 それにアタシはダチからお金は貰わない主義なんだ。 だからそのお金で今日は旨い物でも食って寝てくれい!」


『やだ……このゴリラ男らしい』

『私女だけどこのメスゴリラに惚れそう』

『こんなゴリラとダチになれただけでも今日は見に来て良かったわ』

『皆忘れてるかもしれないけど、このゴリラ最初は僕っ娘JC路線で配信してたよ』


「……さて! 湿っぽい空気は苦手だし、サクッと終わらしちゃいますか!」


『いやだいやだいやだ』

『あと24時間延長してよ』

『もうJCゴリラの配信が無いと生きていけない』

『すっごい楽しかった!』

『本当にお疲れさまでした!』

『今日はゆっくり休んでください!』


「うん、皆今日はありがとね、楽しかったよ、んじゃまたねっ!」


『お疲れ様でした!』

『乙!』

『こちらこそ楽しかった!』

『本当に楽しい日曜日を過ごせました』

『次の配信も楽しみにしてます!』

『乙ー』








「……あ、忘れてた、ゴースティングしてきた奴ら絶対に許さねぇからな……いつか必ずブチころ――」


 ――― 本日の配信は終了致しました ―――


『最後不穏すぎ』

『最後の最後でそれは草』

『最初から最後までネタタップリ過ぎてト〇ポみたいな配信やったわ』

『この24時間……それだけはずっと言わずに我慢してたのにww』

『いやでも“す”を言わなかったから実質JCゴリラの勝ちだろ』

『いやいや“コロ”ンブスって言おうとしただけかもしれないし』

『確かに!』

『いや確かにじゃねぇだろw』

『乙』

『最後まで面白かったわ、本当にお疲れ様です』

『次の配信も楽しみにしてるわー!』


◇◇◇◇


 そんな感じでゴリさんによる24時間耐久配信が無事(?)に終わった。 最初の同接数はたったの5人(全員身内)だったのに……最終的に同接3000人にまで膨れ上がる事になるとは誰も予想してなかった。 この人本当に色々と凄いわ。


 そして数分後、ゴリさんから一言だけメッセージが届いた。


“……アタシの負けだ”


「いやもうアンタの勝ちだろ!」


 やっぱりこの人もう色々と凄すぎるし、メチャクチャ面白い人だと再認識した一日であった。


“今から反省ペクスすべ、通話よろ”

“は!? まじっすか!? ゴリさん人間やめたんすか!?”

“うっせぇ! やるぞ!”


 ゴリさんとフレンドになる事が出来たのは本当にたまたまだったけど……でも俺はこの人の事をとても尊敬しているし、これからも出来るだけ長い間、一緒に笑い合って遊べる仲を続けていきたいなと、俺はそう願った。


『うぃーっす』

「お疲れ様でしたー! ちゃんと最後まで見てましたよ! 最高に面白かったっすわ!」

『ありがとー、でもガチで悔しいから今日中に絶対にダイヤ帯昇格させる! 手伝ってクロちゃん!』

「了解っす! お供しますよ!」


 でもこの時の俺はまだ知らない。 こんな凄くて面白い人と、まさか本当に一生のお付き合いをする事になるのを……俺はまだ知らない。

(前日譚:終)

ということでオマケの前日譚でした。

もしもゴリさんがゲーム配信をしてみたら? という妄想をしながら書いてみた話です。 それではキャラ紹介どうぞ。


・ゴリ・ゴ・ゴゴ・リゴ

彗星の如く現れた自らをJCと名乗る正体不明のゴリラVtuber。

突如配信を始めた理由は不明……というのは建前で、実際の理由はクロちゃんの土日を潰すためだけに始めたただの嫌がらせ。


「ちょいゴリさん! なんでカバーに来てくれないんすか!」

「別ッチいるのにテメェ何一人で突っ込んでるんだよバカカス死ね! 絶対に生きて戻ってこい!じゃなきゃ殺す!」

「要求が無茶すぎる!?」


が日常茶飯事の会話。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「ちゃんと生きて戻って来い殺すぞ」 この台詞だけで最高にゴリさんを思い出させてくれる。初っ端から笑わせて貰いました。
[良い点] ゴリさん良き。 [一言] このページ開いたら、広告がね。 「ゴリラの神が私を加護!?」 とか出てるんですよ。なんだこのゴリ圧…。ゴリさん押し強すぎ。 ちなみに「ゴリラの神から加護された令嬢…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ