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泡沫に神は微睡む  作者: 安田 のら
六章 塞道回峰篇
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1話 移ろう華蓮に、日々を報せて2

 ――珠門洲(しゅもんしゅう)、洲都華蓮(かれん)、第8守備隊屯所。

 明けて早朝。屯所の道場では、変わることなく朝錬が行われていた。


「攻め足、揃え。上段ッ、構えっ!!」

「「「押ォオ忍ッッ」」」


 早朝の道場内に軒昂と号声が響き(わた)り、一糸乱れず練兵たちの爪先が揃う。

 少年たちの姿が映り込むほどに磨き抜かれた床がざらりと軋み、竹刀が木目の波打つ天板を指した。


「打ちこみィ、100本ッッ」

「勢ェリャァアァッ」


「「「勢ィ、勢ィ、勢ィィッ!!」」」


 防人と生え抜きの正規兵たちの竹刀が風を切り、寸毫の後に年若い竹刀の切っ先が旺盛にその後ろを追った。

 次第に道場へ熱気が立ち込め、身体からしとどに伝う汗が床に滴る。


 その最前線。奇鳳院(くほういん)家の神域で一晩を明かした晶の、共に竹刀を奮う姿が在った。


 練兵たちが竹刀を奮う傍らを正規兵の男たちが眼光鋭く過ぎる度、言葉もなく少年たちに緊張が奔る。

 限界まで肺腑を絞り、全身から響く気合い。僅かでも遅れと見做されれば、その班全員が連帯で特別訓練(シゴキ)を受けるのは身に染まされた実体験だ。


 時代遅れと揶揄されつつも、基本的に守備隊とは男場の仕事である。

 それは、任務が危険であると云う現実とは別に、こう云った身体や安全を使い捨てにするような訓練が日常であることも理由の1つであった。




 麗かな春の陽気が(わた)る中、隊全体は恙なく朝錬を終える。

 汗を拭った少年たちが振舞われる握り飯にかぶりつく横で、防人たちは軽く話し込んでいた。


 精霊遣いとなって初めて知った事だが、防人たちも別に暇なわけではない。

 丁稚を兼ねる練兵たちとは違い、本職の身には守備隊を維持するための細々とした雑事が後に詰まっているからだ。


 日々の計算や書類の整理。第8守備隊の隊長である阿僧祇(あそうぎ)厳次(げんじ)を見ても判る通り、上位であればあるほど現場に出る機会が少なくなると、自分の立場になって晶は漸く知った。


 自分も何れはそうなるのか、もう(・・)、そうなっているのか。未だ答えを出せずに、防人たちの後で業務報告を聞く。


「晶。――否。夜劔殿()だったか」「この場は何方(どちら)でも。俺も慣れてませんので」


 不意に、防人の1人が、最後尾に立つ晶へと視線を投げた。

 物云いた気な雰囲気を務めて取りあわず、軽く肯うだけに応じる。


「暫くは第8守備隊に詰めるのか?」

「はい、その予定であります」


 ――そうか。眼前の防人の口がそう動きをなぞり、視線が泳ぐ。

 焦っている。理由は判らないまま、晶は確信を呑み込んだ。


 気持ちは判らないでもない。


 第8守備隊に()ける晶の立ち位置は、非常に複雑である。

 練兵だった少年が見做しの衛士となり、今や武家筆頭たる八家の当主だ。


 本来ならば意見1つに気を遣う位階だが、相手は半年前まで顎で扱き使っていた相手。

 対応に困るのも、当然だろう。


「冬越えで妙覚山の穢獣(けもの)も殖えている頃合い。お前の帰還を機に、叩いておきたくてな」

「山狩りですか」

「ああ。だが、阿僧祇(あそうぎ)隊長と新倉(にいくら)副長は、ここの所、忙しくしておられる。

 方々の武威に、期待はできんのだ」


 愚痴交じりに提案された山狩りは、第8守備隊の最大戦力である衛士の阿僧祇(あそうぎ)隊長を抜いたものであった。


阿僧祇(あそうぎ)隊長が落ち着かれた頃を待てば、良いのでは?」

「先日、麓で鹿(しか)を見かけたと。どうやら、妙覚山に瘴気溜まりが湧いたようだ。

 冬越えに飢えて餌を求めるのは、時間の問題だと見ている」

「そうですね」


 その防人へ曖昧に同意を返し、晶は残り全員の表情を窺った。

 不安に剣呑としたそれら。だが、彼らに表だった動きは見られない。


 彼らの本音は焦りと嫉妬によるものか。晶は内心で予想(アタリ)を呟いた。

 戦力を待つ時間がない。それ自体は事実だろうが、動く理由にしては少々弱い。


 晶の立身出世の煽りを最も喰らったのが、他ならない第8守備隊の防人たちである。


 第8守備隊に所属する衛士(上位精霊遣い)は4名。

 隊長である阿僧祇(あそうぎ)厳次(げんじ)と副長の新倉(にいくら)信。そして夜劔晶と輪堂(りんどう)咲がその内訳だ。


 本来、守備隊に所属する衛士が2~3名なのに対し、第8守備隊だけは4名。しかも、隊長は天覧試合で準位を獲った実力者であり、若手の半分は八家の直系である。


 この過剰な戦力を前に、防人たちへ降りる評価が雀の涙ほどでは焦るのも当然だ。

 故に、阿僧祇(あそうぎ)厳次(げんじ)の動けない隙に、防人たちで山狩りを強行したのだろう。


 しかし、冬越えに気が立っている穢獣(けもの)を相手に、防人のみでは心許が無く。晶と云う衛士を持ち出す事で、厳次(げんじ)を抜いた戦力の穴埋めを狙ったのだ。


 この手段は、今しか使えない。それが彼らの焦りの理由だろう。

 晶は今でこそ新参として扱えるが、来年にどうなるか誰にも判らないからだ。

 ――それこそ、第8守備隊を通り越し、更なる高みへと昇っていてもおかしくないほどに。


阿僧祇(あそうぎ)隊長には?」

「既に話を通している。晶がいれば大丈夫だろうと、後押しも受けた」


 来年には、晶を頼れないかも知れない。その現実は、厳次(げんじ)も危惧しているのだろう。

 迷いのない防人の返事からも、その類の思惑が透けて見えた。


 断るのは難しい。それに冬眠からの起き抜けを叩くのは、練兵の負担を減らす意味でも晶は賛成できる。


「判りました。日程は、」

「――話は終わったか?」


 応諾を舌に乗せかけた晶の背に、野太い声が投げられた。

 振り返る視線の先に、阿僧祇(あそうぎ)厳次(げんじ)新倉(にいくら)信の簀子(すのこ)で草履を脱ぐ姿が映る。


 腰を上げかけた少年たちを掌で遮り、晶たちの輪へと加わった。


「……押忍。第8守備隊の代理(・・・・・・・・)として、今しがたに」「良し」


 会話の終わりを見計らっていたのだろう。短く確認の文句を交わし、緊張の面持ちで並ぶ防人たちを見渡した。

 晶の方に視線は無い。それは、この件に関する戦功を、眼前の代理に(わた)すと云う無言の意思表示か。


「俺と新倉(にいくら)は妙覚山の件に関与しない。それで良いな?」

「はい」


 再度の念押しに、それでも防人たちは一斉に首肯した。

 彼らの決意に揺らぎはない。そう見届けてから漸く、厳次(げんじ)は晶の方へと向き直った。


「晶」「――押忍」


 両手を伸ばし、直立不動で厳次(げんじ)の前に立つ。伸び盛りの少年が精一杯に己を立てる姿に、名目上は未だ上位である第8守備隊の長は口元を綻ばせた。


「此方の準備は終わっている。3日後にお前を待って、山狩りを決行する」

「承知しました」


 次第に緊張が抜ける少年の姿勢に、野太く顎をしゃくって見せる。

 その先には、道場の中央線が並んで引かれていた。


「丁度、身体を動かしたかった処だ。

 報告がてら、久しぶりに相手をしてやる。――付き合え」


 窮屈な日々に、鈍った身体を持て余していたのか。

 有無を云わさぬ口調に、それでも晶は迷いなく肯った。




「雄ォオッ」「――チィェリャアァァッ」


 少年たちが丁稚先に向かい、気を遣ったのか防人たちの姿も無い。

 人の気配が掃けた後の道場に、猛然と衛士2人の気合いが行き交った。


 晶が攻め足を先んじ、木刀の切っ先が袈裟懸けに厳次(げんじ)の肩口を狙う。

 見え透いた狙いに半息を吐いて、厳次(げんじ)は木刀で斬閃を受けた。


 がし。鈍く衝撃が両者に返り、少年の攻め足が止まる。

 その機を逃さずに、厳次(げんじ)は上段から斬撃を叩き墜とした。


「勢ィッ」


 巍々と揺らがぬ大上段(火行の構え)に、少年の足元で樫材の床が撓む。

 ぐぅ。と若い咽喉(のど)から漏れる苦鳴。生まれた隙を逃さず、阿僧祇(あそうぎ)厳次(げんじ)は畳み掛けた。


「勢ィッ、勢ィッ、勢ィィィィイイッッ」

「く、そぉっ」


 枝垂れと大上段(火行の構え)から落ちる斬撃は、晶に否応なく退き足を選ばせる。

 審判がないまま、やがて道場の端まで数歩と云う距離まで追いやられた。


「どうしたぁっ。年越しの帰郷で鈍らせたか!!」

「ま、だ。まだまだァッ」


 軒昂と少年が咽喉(のど)から呼気を吐き、厳次(げんじ)の猛攻に食らいつく。

 全体重で押し込まれる斬断は、樫の鈍い音と共に少年の眼前で止まった。


 くるりと晶の体勢が(ひるがえ)ると同時、その切っ先が厳次(げんじ)の木刀を垂直に跳ね上げる。

 一瞬で入れ替わる攻防に、厳次(げんじ)は吃驚を呑み込んだ。


「お、 、」「――疾ェイッ」


 逃さず前のめりに、晶が攻勢を叩き込む。

 上段と見せかけつつ、絡みつくように小手を狙い。その実、本命は逆胴。万華のように彩る連撃を、しかし厳次(げんじ)は受けきった。


「妙な技を覚えてきたな。……晶。この冬は何処に行ってきた?」

真国(ツォンマ)です」

「ふん。天覧試合の余興で真国(ツォンマ)の使者と立ち回ったと聞いたが、出処はそれか」

「はい」


 今年の天覧試合。阿僧祇(あそうぎ)厳次(げんじ)の出場も求められたが、処務を理由に今回は出ていない。

 しかし顛末は聞いていたのか、中らずと(いえど)も遠からずの推測を口にする。


 実際の処は、シータから盗んだ潘国(バラトゥシュ)の剣術だ。しかし、それを(おくび)にも見せずに、少年は肯いだけを返した。


「技術の模倣はお前の特技だ、が。……1つ、忠告だ」

「?」


 そう言葉を残し、厳次(げんじ)は晶の木刀の腹へ、己の木刀の切っ先を中てた。

 こつりと返る手応えには、威力は疎か殺気すら籠められていない。


「情報を知るだけなら構わんが、行使は高天原(たかまがはら)精霊技(せいれいぎ)に留めておけ」

「それは」


 何故かと少年が問うよりも(はや)く、阿僧祇(あそうぎ)厳次(げんじ)の身体が僅かに沈んだ。

 精霊力を行使する揺らぎは勿論。危険すら感じないその所作。

 だが。


「こうなるからだ」

「――が!」


 短いその宣言と同時に、晶の木刀が砕けた。


 厳次(げんじ)が中てた切っ先を中心に、木刀は内側(うち)から弾けて芯鉄が露わとなる。

 くの字に拉げたそれが地面に落ちるよりも早く、晶の身体を激甚(げきじん)と衝撃が襲った。


 何時かの仕合と同じく、二転三転と晶の身体は跳ねるように杉板の壁へ激突。道場自体が僅かに揺れて、やがて静けさを思い出す。


 ややあって、少年が呻きながら身体を起こした。


「何をされたか、判らなかっただろう」

「…………お、押忍」

精霊技(せいれいぎ)とは即ち、それまでの試行錯誤と研鑽の積み重ねに他ならん。

 刹那の判断と、身体の管理。その積み重ねを、技術に昇華したものだ」


 晶が正座をして、その途の先達たる厳次(げんじ)の言葉に耳を傾ける。

 真剣な少年の双眸を前に、厳次(げんじ)はどかりと胡坐を組んだ。


「他者の技術を。その歴史まで読むお前の特技は、確かに凄いな。

 だが、その所為(せい)でお前は、歴史を知った気分になる癖がある」

「読めば知るのは、当然ではないですか?」

「だから、行使はするなと忠告したんだ」


 不満そうに反駁する晶の表情を、厳次(げんじ)は含むように笑って頷いた。

 見れば理解する。その特技自体は凄いものだが、無視できない欠点が1つある。


「先刻の剣技は、阿僧祇(あそうぎ)の家に伝わるものでな。

 実の処、俺も行使(つか)えるだけで、理解はしてないんだ」

阿僧祇(あそうぎ)隊長もですか!?」

「南葉根に住まう天狗が伝えたと謂れもあるが、本当の処まではな。

 判っているのは、この剣技が門閥流派とは異質なもので成り立っているってだけでな」


 技術を一冊の書物と例えれば良い。厳次(げんじ)の見立てが確かであれば、晶は書物を読んでいるだけで文字を理解していないと云う事。

 土台となる情報がないのであれば、模倣できないのは道理である。


「技術とは、無駄を削ぎ落した体系(歴史)を身体に刻みつける行為に他ならん。

 それこそお前という紙の束に、奇鳳院流(くほういんりゅう)という一冊を書き連ねている最中とも云える」


 問題は此処(ここ)からだ。そう前置きして、厳次(げんじ)は表情を改めた。


高天原(たかまがはら)の門閥流派は総て、月宮流(つきのみやりゅう)から分派したものだ。

 連技(つらねわざ)などは共通するものも多いし、奇鳳院流(くほういんりゅう)の体系に付け足すだけで済む。

 ――だが、真国(ツォンマ)の流派となれば話は別だ」


 晶の技術は総て、奇鳳院流(くほういんりゅう)が土台だ。そこに真国(ツォンマ)信顕天教(歴史)を倣い覚えようとする行為は、もう一つの紙の束を用意するのに等しい。

 どれだけ才覚豊かであろうとも、ただ(・・)人である限り、用意できる紙の束には限界が存在する。


 特に晶は、既に呪符から始まって陰陽師の知識まで片足を突っ込んでいる状況だ。

 此処(ここ)に別の技術までとなると、目当ての知識に繋ぐための時間がかかってしまう。


 晶の特異性は、それでも当然のように限界はあるのだ。


「守破離と云うが、お前は技術を蒐集()するだけで破っちゃいないし、恐らく破れん(・・・)

 今の段階に先が見えないのなら、寧ろ無い方が足を引っ張らなくて済むまであるな」


 要は、頭でっかちに、自重で動くのも億劫になるって処だな。そう語り終え、厳次(げんじ)はゆっくりと立ち上がった。

 何事かと思考に沈む少年を、苦笑で見遣る。

 片付けておけ。そう一言残し、厳次(げんじ)は道場を後にした。


 ♢


 屯所の引き戸を開けて、大柄な厳次(げんじ)が軒を潜る。

 防人たちが書類と向き合う間を擦り抜け、自身の机へと腰を下ろした。


 (うずたか)く積み重なる決済待ちの書類を前にうんざりと、茶を一口だけ含む。


「晶くんは」

「何をしていたかは知らんが、随分な修羅場を潜ったもんだな」

「それほどですか」


 新倉(にいくら)信の問いかけに存外、厳次(げんじ)の返答は軽いもの。だが、含むような意味の重みに、新倉(にいくら)は驚きを返した。


「昇段していきなり天覧試合に出るってのもそうだが、ここ半年の戦功は異常だぞ。

 八家の異常さは理解している心算(つもり)だったが、ありゃ別格だろうさ」

「幾人かお歴々に目通し願えましたが、癖はあれど気安い皆様かと」

「そりゃあ表面だけだ、 、晶もな」


 聞こえよがしに周囲へそう呟き、厳次(げんじ)は屯所に宛てられた自身の茶封筒を捲った。

 穢獣(けもの)を見たと云うものから始まり、如何にも胡散臭い陳情まで。1つ1つ丁寧に開いては可不可を仕分けてゆく。


「――半年前は俺の上段に耐えられなかった」

「でしたか?」


 仕事の合間に、視線を上げる事なく厳次(げんじ)が独り呟いた。

 応えを期待したものではないのだろう。だが、新倉(にいくら)の律儀な返しに、この守備隊の長は鼻を鳴らした。


「背が伸びて、体重が増えた。だが、それ以上にあれは、何かの理解を得たものだな」

「ははあ」


 思い返すのは、半年前の晶の体格だ。華族になって食の心配がなくなった為か、晶の目線が幾分か高くなっているのが判る。

 しかし、それだけで厳次(げんじ)の威勢を耐えるには足りない。


 思いつくのは、1つ。


 現神降(あらがみお)ろしだ。あれは精霊力で身体を強化するものだと思われがちだが、その実は違う。

 身体強化は一側面にあるが、それだけでは強化として成り立たない。

 例えば脚力を1割強化したとしても、立つ以前に制御し切れず怪我をしてしまうからだ。


 身体強化と制御を可能にするとなると、現神降(あらがみお)ろしの本質は恐らく、

「――阿僧祇(あそうぎ)隊長」


 厳次(げんじ)の思い付きが呟きに変わるよりも早く、考えていた少年の声が被さった。

 驚いて上げた目線に、きょとんと少年の面持ちが交差。


「どうした?」

「片付けは終わりましたが。これ(・・)、どうしましょうか?」


 聞かれただろうか。気恥ずかしさを隠した問いかけに差し出されたのは、無惨な残骸と化した木刀だった。

 樫の破片と折れた芯鉄。使い物以前に成り果てたそれを目に、厳次(げんじ)は思わず天井を仰いだ。


「……後で代わりを用意する」

「ありがとうございます」


 鍛錬に耐え得る樫材に、質は落ちるが霊鋼の芯鉄。ただの鍛錬用の木刀と思われがちだが、この木刀は歴とした丁種の精霊器である。

 当然に、安価(やす)くはない。


 一礼して退室する晶を見送り、厳次(げんじ)はこっそりと嘆息を吐いた。

 その様を黙って見つめてから、新倉(にいくら)信が一言釘を刺す。


「支払いは、隊長の手取りからで宜しいでしょうか?」

「……………………頼む」


 春の陽気は我関せず。どうやら変わる事なく、日常は流れてくれるようであった。

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― 新着の感想 ―
隊長へダメージ!隊長の給料が減ってしまった(ToT)
生兵法は怪我のもととも言うから、阿僧祇隊長の言わんとする事は最もなんだけれど、それは晶くんの個性と言うか特性と言っていいから、そこから何か別のモノを生み出してこその『破』や、『離』に至るんじゃないかな…
確かに。あらゆる流派や技術を広く習得してもその理解は浅い。 結果的に器用貧乏に陥るだけか。 特に剣技なんて体で覚えるようなものは、下手に色んな体系に手を出すと咄嗟の時にどれで対処するか、どう動くかで体…
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