13話 逆しま霊道、辿り目指すは神域行3
奇鳳院流の真骨頂は、攻め足を崩さない事にある。
最速の踏み込み、最短を奔る切っ先。斬撃を読まれようとも構いはしない、防御ごと叩き落す剛の太刀。
多彩を誇る精霊技とは裏腹に、剣技を極めるべきは質実剛健たるその一撃。
阿僧祇厳次が教えの通り巍々と揺らがぬ一歩を刻み、共に叩き落した斬撃で滑瓢に後退を強いる。
僅かに開く、霊道と滑瓢の距離。
「―――卑、非、卑ィ。如何に神無の御坐どのと云えど、神気に頼れなければ剣技は拙ぅ御座いますなぁ」
「くそっ」
一見するだけなら晶の優勢、しかしその実、焦りの表情は晶の方が濃かった。
吐き捨てる悪罵にも、一切の余裕は窺えない。
晶が稼いだ僅かな距離は、滑瓢の嘲弄する通りただの遊び。
――その気になれば何時でも取り返すことが可能と、滑瓢は譲って見せたのだ。
だが、退く訳にいかない。攻勢まで奪われてしまえば、晶に挽回の可能性は無くなってしまう。
その事実を自覚するが故に、晶の前進は揺るがず重ねられた。
「精霊技は行使されないのですかな?
剣技だけでは身共に届かぬと、最早、自覚も充分にされているはずですが」
「どの口がっ!」
独特の歩法で相手の圏を侵し、相手に呼吸の暇も与えない斬撃を放つ。
精霊力を練り上げるほどの余裕、滑瓢が見逃すとも思えなかった。
互いに自覚した上での、膠着した状況。
手詰まりの現実に晶の焦りが乗ったのか、一撃に見逃せない粗が乗る。
肩から大きく放った斬撃が、噛み合う事なく虚空を斬った。
「―――卑、非。残念に御座いますぞ」
滑瓢であれば一足で詰められる絶妙な間合いに、それでも晶は構えを仕切り直す。
正中段。大きく息を吐く視界の向こうで、瘴気の赤黒い輝きが噴き上がった。
「!?」
「身共が一人では、些かに戦場の華に欠けるというもの。
些少ではありますが、援軍を用意させていただきました」
茫漠と渦を捲く瘴気の向こうから、張り上がる筋骨に支えられた巨躯が顕れる。
幾度となく見たそれは鬼道の1つ、鬼種招来。
―――餓、餓亜ァァアッッッ!!
ざっと見ただけでも10は下らない頭数の大鬼が、その咆哮を一斉に猛り上げた。
咲や諒太であっても2人掛かりで苦戦する存在の群影に、滑瓢は口元に三日月を刻む。
「当方とてここを先途と、充分に準備もさせていただきました。さて、如何されますかな?」「――当然、貴様の頸を優先するとも」
滑瓢の嘲弄に、弓削孤城の宣言が滑り込んだ。
その決意の通り、放たれた斬撃が小兵の頸へと一直線に迸る。
滑瓢が持つ鉈が下から上へと跳ね上がり、孤城の斬閃と大きく嚙み合った。
噛み合う刃金が火花を刻み、孤城の斬断が明後日の方向へと向く。
充分に体重の乗った一撃。防がれはしても、その上から滑瓢の体勢を僅かに崩す。
「―――卑!」
吐息が触れ合わんばかりの距離で、孤城と滑瓢の視線が交差した。
嗤う呼吸に瘴気が混じり、緩急の激しい独特の体捌きから滑瓢の手が翻る。
――放たれる、蜘蛛の如く防御を侵す斬閃。
対する孤城の精霊力が大きく渦を捲き、滑瓢の鉈刃へと絡みついた。
陣楼院流精霊技、初伝、――飆
収束する爆圧が、得物から滑瓢へと這い上る。
躊躇う事なく鉈を手放すその躯へ、指向性を考えない大気の暴力が炸裂した。
轟音。初伝には無いはずの威力が、能面の被る体躯を揺らす。
至近で受けた衝撃は無視もできないのか、退く足にも揺らぎが生まれていた。
前に当てる。その威名が誇る通りに遠距離を得意とする金行は、その反面に接近戦に弱い。
そうであるにも関わらず、飆の威力は孤城の袖口を揺らすだけに留まっていた。
戦風。孤城が常に纏うその精霊技が攻撃の威力を倍加させ、その裏で孤城の被害を護り切ったのだ。
確かにそれら精霊技は、一つ一つの難度がそこまではない。
だが、異なる術式を複数同時に行使し、有機的に連鎖させる。
その総てを遅滞なく瞬時に。戦闘に耐えられる段階で行使できるのは、弓削孤城の異能とでも云うべき独壇場だ。
弾かれた勢いに、滑瓢の足元が後退の気配を産む。
――同時に孤城が踏み込み、滑瓢の仕切り直しを無為に変えた。
「流石は、天下に名高き弓削孤城。未熟な御坐どのと違い、剣技の錬磨は桁が違う」
「ただの年の功を、随分と評価してくれる。
私程度を持ち上げるとは、貴様の程度も知れるというものだな」
「―――卑、否。長年に修めた身共の技量に、高々、数十年で迫るのです。
否早、ただ人の成長は怖ろしい」
幾重に連なる斬閃が、孤城と滑瓢の狭間で火花と変わる。
滑瓢の口元に浮かぶ三日月が、舞い散る輝きにその陰影を深めた。
「しかし、宜しいのですかな? 身共が見たところ、陣楼院の陣営には未熟者しかいない様子。大鬼は手に余ると進言いたしますが」
相手の動揺を誘う毒を孕んだ囁きも、しかし孤城は笑い飛ばす。
「だからだ、滑瓢。
陣楼院の戦場に大鬼を当てるなどと云う無能な采配に、随分と胸を張ったな」
滑瓢の背中。大鬼が隔てる戦場の向こう側から、高らかにその詔が響き渡る。
「一太刀、仕り候」
鬼種を滅する不屈の覚悟。鬼が相手であれば、如何なる戦場も勝利に導くその神器。
「――百鬼丸!!」
莫大な風圧が、戦場を上下に断ち切る。
精霊力が唸りを上げて、理不尽な暴力が大鬼を虚空へと弾き飛ばした。
後方より奈切迅が戦場に斬り込み、続く久我諒太の精霊技が場を一掃する。
たったそれだけ。
しかし、見逃せないその一手が、敗色の気配が濃厚に立ち込めていた戦場を裏と表へ入れ替えた。
「……ふむ。これは、些かに不味いもの」
だが滑瓢の言葉とは裏腹に、その口調に焦りは覗いていない。
――予定の通り、相手は動いている。
その確信は、滑瓢に詰めの一手を打たせるに充分なものであった。
これまで貯め込み、蕩尽する事の無かった瘴気を練り上げる。
誰もが考えなかったのだろうか。精霊力を籠めて呪符を書き、精霊力を費やして精霊技を行使する。
であるならば、瘴気を代替に行使し得る技術も可能ではないのか。
その結論こそ、滑瓢がその永い生で錬磨した技術。
――此処が、瘴気の捨て時。
懐に隠していた白鞘から、匕首ほどの刀を抜刀いた。
―――鬼!!
刀に宿る化生が、妖しの叫声を上げる。
その真芯に瘴気を練り上げて、滑瓢は嗤った。
それは流派すらなく、ただ与えられたのは技の名前のみ。
「――厭切」
「ちぃっ!」
瘴気に凝る斬撃が放たれ、意表を突かれた孤城に迫る。
辛うじて去なしたそれに呼吸を吐く暇もなく、滑瓢は流れる所作で次撃へと移った。
「穢襲」
踏み込むその所作は一呼吸のうちに、莫大な瘴気の刃が孤城へと激突。
――刹那の抵抗も赦さずに、孤城の身体を駆け抜けた。
喰い破られる精霊力に混じり、孤城の血潮が微風に舞い散る。
虚空を泳ぐ高天原最強の体躯。嗤う滑瓢と交差する孤城の眼光にはしかし、
――敗色の気配は微塵も浮かんでいなかった。
堕ちた神柱を前にここを決戦と臨むならば、弓削孤城に相手を侮る意思は無い。
高天原最強。その字の重みを、孤城は誰よりも熟知しているが故に。
高い技量と高く見える壁。その響きを知れば、誰もが策の中軸に孤城の存在を据えざるを得なくなる。
無意識に集めてしまう視線と意識。……その響きは、囮となるに最上の甘さを伴っているのだ。
陣楼院の手札が一枚落ち、滑瓢の視線が否応なしに奪われるその瞬間。
――足元に刻まれる残炎を伴い、滑瓢の懐深くに晶が踏み込んだ。
その両腕が掴むのは、浄滅の象徴たる神器の輝き。
滑瓢へと狙いを定めるその切っ先は、既に朱金の輝きに象られていた。
神気を臨界まで練り上げて統御する。それは晶が初めて行使した、精霊技。
奇鳳院流精霊技、奧伝、――彼岸鵺。
浄滅の炎そのものを、晶は一呼吸で突き込んだ。
爆発する神気と瘴気が正面から噛み合い、大地の鳴動と衝撃が撒き散らされる。
奧伝の威力は当然の事、晶の持つ残りの神気を残らず相手に叩き込んでいるのだ。
嵩が化生ならば刹那に浄滅する規模の威力は然し、
滑瓢の構築した瘴気の壁に正面からの拮抗を強いられていた。
「な、んだと!?」
「神器の一撃は、流石に桁も違いますなぁ。
我が地を放逐われて幾千夜、呑み込み続けた瘴気の澱を以て拮抗するだけが精々だとは」
返る滑瓢の応えに、涼やかであっても確かに宿る感嘆の響き。
だが、それは何の慰めにもならない。
自身の持ち得る最大の火力が防がれ、晶の咽喉から抑えきれない吃驚が漏れた。
朱華の神気には、既に枯渇の気配が感じられている。ここで決着しなければ、晶が勝利し得る可能性はほぼ無くなるからだ。
焦躁から、後一手を求める晶の左手が泳ぐ。
慣れた所作で火撃符を引き抜き、晶は無我夢中で励起を試みた。
――失敗。
無為へと還る意識に、左手の指の隙間から撃符が零れ落ちた。
衛士としても陰陽師としても、晶の技量は漸く毛が生えた程度が評価として精々である。
弓削孤城の技量を真似したところで、付け焼刃にすらならないのは自明の理であった。
舞い落ちる数枚の撃符を、視界の端で苦く見据える。
後一撃。その可能性を撃符へ求めるしか、晶に手段は無いからだ。
彼岸鵺も放てぬまま、朱金の奔流に隠しようもない衰えが生まれる。
――敗北するのか、終わるのか。
晶は火撃符を視界の中央に収めて、その内に宿る火行の精霊へと意識を伸ばした。
瞬転、精霊が歓喜を以て答える。
それは声なき声。剣指すら無いままに術理を越え、晶の視界で火撃符が莫大な炎と変わった。
それは晶にとって、最初から当然に在ったもの。
当たり前すぎて在る事すら意識しなかった、
――精霊の声。
頼り切っていた朱華の神気が消え、晶は生まれて初めて精霊へと希う産声を上げた。
呪符に宿っていた精霊が散じて尚、晶は場に満ちる精霊へと己の声を届ける。
最も馴染んだ火行の精霊が呼応の声を上げ、浄化の渦炎が滑瓢の纏う残りの瘴気を消し飛ばした。
「や、 、」「―――卑。お見事ぉっ」
やったか。そう呟こうとした晶の舌を遮り、爆炎の只中から滑瓢が飛び出た。
――その向かう先は、神楽の護る霊道の入り口。
「待てぇっ!!」
完全に虚を突かれた晶が振り向く先で、滑瓢が得物である化生の匕首を振り翳した。
刃金が鈍く、傾き始めた陽光を照り返す。
―――禍、鬼ッ!!
滑瓢の命に応え、妖刀が瘴気を吐き出した。
茫漠と視界を塞ぐ赤黒い輝きが、雪崩れるように神楽へと渦を捲く。
幼い少女は穢れたその光景を無感動に見据え、ぽつりと詔を呟いた。
――それは、連綿と通る大道の守護。嘗て在り、何れ至るその道程。
「巡りて戻れ、――輪廻永劫」
刹那。五行結界に匹敵する強度の結界が、滑瓢をその内へと閉じ込めた。
「兄さまと父さまの精霊技に、有るだけの瘴気を剝がし尽くされたのです。
――その為体で、陣楼院を落とせるなどとは侮られたもの」
「成る程。神器の権能に御座いますか」
あどけない少女の声が、微風に乗って戦場に響き渡る。
幼くも支配者として立つ神楽の酷薄な眼光が、声音とは裏腹の大人びた輝きで滑瓢を睥睨した。
神器はその多くが武具の姿を取って顕れるが、それは絶対という訳でもない。
神楽の持つ神器、輪廻永劫はその一つ。鏡の姿を映した神器であった。
その権能は因果の逆転。
自身を基点とした未来から、何れある結果を引き寄せる手札の前借り。
そしてもう一つ。
未だ幼い年齢10の肢体であれど、伊達に陣楼院滸が己にこの場を委ねた訳では無い。
戦場へと立つ以上、神楽にも切り札足る一枚は存在するのだ。
「一に足りて、二に満ちる、穢レ一切……」
祝詞を謳う神楽の指から、重ねるように金界符が放たれる。
続けざまに、回生符も有りっ丈。
金界符から生まれた旋風が、青白く浄化の炎を捲き上げた。
父親である孤城より直々に教わった、それは対瘴気特化の陰陽術。
場にある瘴気を相手に返し、圧殺しながら浄化する呪い返しの暴風。
「む」
「祓え給え、清め給えと。――祓戸大風!」
―――禍飢、剪、 、飢イィィィッッ!
浄化の輝きと化した旋風が、結界の内側を蹂躙する。
直後に響く化生の断末魔。
浄化を寸前で逃れた滑瓢が、青白く渦巻く炎の陰から神楽へと躍り出る。
「きゃあっ」
「未だ、甘い」
意表を突かれた神楽の悲鳴を余所に、滑瓢が結界へと辿り着いた。
小兵の接近に、赦しを得ていない存在を浄滅するべく結界が雷光を放つ。
空間で爆ぜる雷光は、三津鳥居山を護る結界の最後の防壁。舐める雷光を物ともせずに、小兵の被る能面の口元が三日月の陰影を一層に深めた。
策動の前提条件となる最後の二つ。吞み込んだ瘴気の破棄と、金行の神気に依る結界へと辿り着く事。
それらは総て、達成が叶った。
何処までも深い、滄溟なる水底の昏さ。晶たちは目にした事の無い神気の輝きが、滑瓢の掌から世界を塗り潰した。
冷酷たく揺らぐ色が、結界ごと金行の神気を呑み込み、一帯を凍原へと変える。
結界を大きく抉られ、五行結界の一角がその役目を散らして喪った。
――勝った。
自身が生み出した吹き荒ぶ氷雪に揉まれながら、連なる鳥居の前へと滑瓢は一歩を踏み出す。
大きく勝利に嗤い、鳥居から大きく口を開ける相生の霊道へと飛び込んだ。
♢
長時間の停止に石炭の節約を図ったのだろう。
蒸気機関車の先頭から、吐き出された蒸気が車窓の外を流れていった。
黒煙と混じり硝子越しに跡を残すそれを流し見て、義王院静美は陰陽計へと視線を落とした。
「未だ日中なのに、瘴気濃度が30を超えている。
真逆、もう始まっているの?」
呟く声は然し、周囲の喧騒に呑まれて消える。
静美の乗っている蒸気機関車は、央都への到着を目前にした現在、緊急の停止を余儀なくされていた。
五行結界に護られている央都は兎も角、結界の外では化生の被害もそれなりに聞く話だ。
駆動している車上ならば怖れる事も無いが、停止している汽車など鉄でできた箱と変わりはない。
不安に駆られたのだろう。普段は静かな一等客車に、落ち着きを忘れた怒号が行き交っていた。
「どうした。何故、動かん!」
「申し訳ございません。現在、調査中に御座います」
「先刻から貴様の宣う言葉はそれだけだ。
鸚鵡でも、少しは洒落を利かすぞ!」
「――申し訳ございません。現在、調査中に御座います」
「儂が引き下がればと調子に乗りおって! いいか、儂は――」
喧々諤々。実に内容の無い不満が、何も知らないだろう車掌へと向けられる。
混乱に拍車をかけるだけの無能を止めるべきか、悩む一方で静美は思考を巡らせた。
「地図があれば良かったのだけれど」
陰陽計と太極図は手元にある。加えて、静美の直下を奔る龍脈は水行のもの。
これだけ揃えば、大まかではあるが陰陽計算で央都の現状を知ることが出来る。
周囲を目測で測り概算を出すことも考えるが、結果を少し間違えただけで逆の数値が出かねないのだ。
選択肢に入れてから、無言で即座に除外した。
「お待たせしました、姫さま」
「お帰りなさい、楓。如何だった?」
喧騒を縫って座席に辿り着いた千々石楓が、静美の耳元へと口を寄せる。
「緊急停止の理由は聞いてきました。
――この先の楽積手前が、瘴気に沈んだそうです」
「そう。なら百鬼夜行が起きていると考えた方が良いわね。
――楽積なら、目指しているのは三津鳥居山かしら?」
「恐らくは。……降車して向かわれますか」
充分に予想のできた状況に、静美は躊躇う事なく立ち上がった。
単純化された路線図を一瞥する。
陰陽計算には役に立たないが、大体の位置関係を把握する程度には充分な地図代わり。
「ええ。汽車はこの先を進めないでしょうし、それなら現神降ろしで強引に踏破した方が手っ取り早いわ」
静美の決断は想定していたのだろう。抗弁する事無く、楓は汽車の引き戸を開けた。
線路の上へと降り立つと、砂利の上でざらつく音が鈍く立つ。
「茅之輪山への向かう道程はどうされますか?」
要山までの地理は一通り把握している。
山稜に渡る旧街道沿いか、迂回するが山沿いを通る安全な道。
「山稜から直接、向かいましょう。迂回する手間の方が惜しいわ」
「畏まりました」
返る静美の言葉に、迷う響きは無かった。事が起きている以上、数秒でも時間は惜しい。
それに現神降ろしを行使しているならば、どれほどに荒れた山路であっても平地と変わりなく走り抜ける事が叶うようになる。
追従する楓の応えに首肯を返し、静美は茅之輪山の方向へと視線を向けた。
記憶が正しければ、静美の位置から茅之輪山までに山を3つ越える必要がある。
その距離を直線で急げたとしても、要山の到着には数刻は掛かるはずだ。
到着には夕刻。要山に詰めている同行そのみと衛士候補たちに、結界を護り切る願いを託す。
現神降ろし。足元で砂利の爆ぜる現実を置き去りに、茅之輪山へと静美の身体は一層の加速を得た。
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