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現実恋愛もの

「好き」という言葉がなくったって、僕らは。

作者: たこす
掲載日:2021/03/12

「好き」と伝えると、この関係が壊れそうで怖かった。


 小学生の頃からずっとずっと仲の良かった君。

 中学に上がってからも、高校に入ってからも相変わらずそばにいてくれて。

 いつからか恋愛対象になったことも知らずに、君はいつも満面の笑みを僕に向けてくれていた。


 幸せだったけど、つらかった。

 つらかったけど、幸せだった。


 この恋は成就しないんじゃないかって、悩んで眠れない夜もあった。


 だから、思い切って二人きりのデートに誘った時、OKしてくれたのが嬉しかった。

 いつもは仲の良いグループで遊ぶだけだったから。



 君と一緒にめぐったショッピング。

 君と一緒にまわった美術館。

 二人きりで食べたランチもとても幸せだった。


 でも、やっぱり「好き」って伝えられなかった。

 友達以上にはなれても、恋人未満でしかいられなかった。



 高校卒業したらこのまま離れ離れになるのかな?

 そんなことを想像しながら「はあ」とため息をつく。

 と、君はそんな僕にそっと手を差し伸べてきた。


 顔を赤く染めながら。

 恥ずかしそうに。


 まるで握手を求めるかのようなポーズに一瞬戸惑うも、僕はすぐに察した。


「あ……」


 慌てて握り返したその手はとても温かかった。

 柔らかかった。

 君の想いが手を通じて伝わってきた。


 ぎゅっと握るとぎゅっと握り返してくれた。


 その手はするりと僕のポケットにおさまった。

「うふふ」と恥ずかしそうに笑う君。

「えへへ」と恥ずかしそうに照れる僕。



「ありがとう」と伝えると「……うん」と答えてくれた。



 そっか。

「好き」という言葉はなくとも、僕の想いはちゃんと通じてたんだ。

 気づいてなかったのは僕のほうだったんだ。


 それが嬉しくて。

 幸せで。

 天にも昇る気持ちだった。


 僕はポケットの中の手をしっかりと握りなおした。

 この手は絶対離さないと心に誓って。

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「好き」と言えなくて終わった学生時代を思い出しました。あの時の私の背中を押してやりたいです。
2021/08/03 21:56 退会済み
管理
[一言] 久々に、きゅんきゅんしましたよー! この可愛い幼馴染みリア充どもめ!! 末長く爆発するのじゃぁぁぁっ(≧▽≦)~♡
[良い点] 自分、中年ですから…ッ! こういったピュアな若者の恋愛は書けないっす。心の内を想像するのすら難しかったりw たこすさんすごい! 甘かったです♡(*´艸`*)
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