黒騎士隊との交戦
「諦めろ、お前達を片付けたら、次は向こうの連中に行かせて貰うさ、アッハッハッハっ!」
「ぐ、うるせえ」
『カタンッ』
高笑いする黒騎士リーダーだが、俺は戦斧を捨てるしかない。
『サァーーサァーーササァーーーー』
「何だ? 上から、何か振っ!? ぐへェェェェッ!!」
「ぐああああっ!!」
「ぎゃああああ~~~~!?」
黒騎士リーダーを含む、連中は苦しみながら地面に倒れ、のたうち回る。
毒系の化学兵器じゃないな。
だったら、俺達まで苦しむはずだ。
「これは・・・揮発性・聖水よっ!」
「揮発性・聖水って」
フランシアは、降り注ぐ霧状シャワーの正体に気がついた。
このシャワーは、上空から散布された対アンデッド用の化学兵器だ。
通常の化学兵器と違い、人体には悪影響を全く与えない。
この事から重宝されている兵器だ。
「それで、奴等は苦しんだのか」
「ぐっ! くっく、クソッ! 撤退だ~~~~!?」
女黒騎士リーダーは、部下を率いて逃げようと塹壕を這い出そうとする。
「敵だあああ~~~~~~」
「撃てえーーーー!?」
『パンッ! パンッ!』
『ドドドドドーー』
後方部隊も、駆けつけて来たな。
「後ろの敵も来たか、ピューーーー!!」
「ヒヒーーンッ!!」
黒騎士リーダーは、機械馬を呼んで飛び乗った。
他の黒騎士連中も、同様に馬に飛び乗って、手綱を握り締める。
「急げっ!」
「逃げろっ!」
それから、後ろから放たれる銃弾を気にせず、連中は一気に逃げ出す。
連中の鎧は、通常の機銃弾なんて効かないからな。
「助かった、ふぅ」
口から息を吐いて、両手を地面に着く。
と、そこに上空から、銀色の竜が滑空してくるのが見えた。
『スウゥ~~~~~~』
背中に、聖騎士を乗せた銀機竜だ。
そうか、また銀機竜の騎士に助けられたのか。
揮発性・聖水を散布したのは、彼だったのか。
「終わったぜ、フランシア」
「終わり・・・よね?」
敵部隊は撤退、そして俺達は生き残った。
「え~~と、今更だけど、まだ貴方の名前はまだ聞いてなかったわね?」
「ああーー? そうだったな、イーサン・ブレイクだ」
フランシアには、名前を名のってなかった。
忙しく動き回って、名前を名のるどころじゃなかったからな。
その任務も、こうして終わりを迎えたが。
「ねえ、イーサン?」
「何だよ?」
今度は何だ、フランシア。
「ちゅ」
「は・・・」
頬にキスが、フランシアよ。
顔が真っ赤になるじゃねぇか。
「顔が真っ赤よ♥」
「誰か負傷者は居るかっ? 衛生兵だっ!」
「顔が赤いっ! 内出血したのか?」
フランシア、お前のせいだぞ。
後方部隊も来て早々、俺の顔に注目してきたな。
「何でもないぜ、何でもな・・・」
「クスクス~~」
あーー恥ずかしいぜ。
ニコニコ笑う、フランシアから顔を剃らして、要塞の方を見ると。
要塞は陥落したらしく、味方の兵士が旗を立てているのが見える。
その手前には、側面から奇襲を受けて破壊された敵戦車部隊が見えた。
ポリーヌ隊長たちと随伴部隊の連中は、要塞攻略に行ってたのか。
「ん? 何だコリャ?」
「角し地下塹壕だな」
後方から来た兵士達が、何かを発見したらしい。
どれどれ。
(・・・この穴から突撃部隊の連中は出てきたのか・・・)
塹壕側の地面をよく観察すれば、小さな木の板がある。
あれは地下塹壕への入り口だな。
あんな所から、敵兵士が飛び出るとは夢にも思わなかったぜ。
「まあ、疲れたから座ろう」
要塞も落としたし、暫くしたらポリーヌ隊長を探しに向こうに行って見よう。
いや、済みませんね。
最近、頭がボケて来たのか、ミスりまくりで。
まあ、それでも何とか完結までは書けましたよ。
次回は、戦後の混乱期の酒場を舞台にしようかな。
イメージは禁酒法時代の感じでね。