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進軍するルノーFTを守れっ! 褐色の聖騎士よっ!!

 塹壕から身を出さず、鏡を見る。

 そこには、土を掘っただけの簡易な塹壕線が見える。

 チラホラと、黒い鉄兜シュタールヘルム、それに黒い軍服。

 小さな点に見えるが、奴等は魔皇軍のアンデッド兵士だ。

 向こうも、俺達の様子を伺っているようだな。


 そんで、鏡を見て自身の姿を見た。


 背が高く、体格の良い兵士が写る。

 

 長くて黒い癖毛の髪。

 水色の瞳。

 褐色肌。


 それに、白鼠色の鎧を着ている。

 背中には、軽機関銃ルイスガン戦斧バトルアックスを背負う。


 さて、いつまでも鏡を見ている暇は無いな、突撃支援の準備をしないと。



「突撃だぁーー!?」


 右手の回転輪胴式拳銃シャメロー・デルビンを振り回す、下士官。


 その後に続く、白鼠色のアドリアン・ヘルメットを被る兵士達。

 彼等は、銃剣を着剣したベルティエ小銃を抱えて走る。



「援護するっ!」


『ドドドドドドドドドドーー』


 俺は、塹壕から飛び出た彼等を援護するべく、軽機関銃ルイスガンを撃つ。

 塹壕前の地面に設置した、灰色の丸太のような軽機関銃これは、連続で音を鳴らす。



『パン、パン、パンパンパンッ!』


「イーサン、頼んだわよっ! 私達を支援してっ!」


「隊長、分かりましたよっ!」


 灰色の長い髪を靡かせた美女。

 両手に握った拳銃ルビーを撃つ彼女は、俺の方を向いて怒鳴った。


 青い瞳を一瞬だけ向ける彼女だが、俺が答えると、部下を連れて走っていく。



『キュラキュラッ』


 ん、後方に味方の軽戦車《ルノーFT》だ。

 塹壕突破用に、引き連れて来たか。



「そこの機関銃手、我々を援護してくれっ!」


「我々は、突撃する歩兵隊の支援役だ」


 軽戦車に随伴する歩兵から声を掛けられた。

 隊長達は、無事に第一塹壕線を突破したようだ。

 よし、彼等を援護する事も、隊長達の助けに成るだろう。



「分かった、俺も着いていこう」

 

「助かるっ! では前進だっ!」


 俺が答えると、随伴する歩兵隊長は、自動小銃《ウィンチェスターSF》を抱えて走り出す。


 彼の部下達も、制圧された塹壕線を目指して走り出した。

 その中には、数人の工兵達。

 それと、二台の豆戦車《ルノーUE》の姿も見える。


 豆戦車《ルノーUE》は、上部に半円形のボールを乗せた、通常は非武装の戦車だ。

 後方に引いた、キャタピラ付きの荷台には、丸太を何本も積んでいる。


 あれは、塹壕突破用の資材だな。



「よし、俺も前に進むか」


 彼等より先に走り、次の塹壕に入ったら、また軽機関銃コイツを設置しないとな。


 そうして、走っていると次の塹壕が見えてきた。

 そこでは、ケピ帽を被った衛生兵が負傷兵の手当てをしていた。



「敵の攻撃は激しいか?」


「ここら辺より、向こう側に向かった部隊の方が大変だろう」


 塹壕に飛び込んで、衛生兵に話かけると、彼は右端のトーチカを指差す。


 塹壕から顔を出して、見てみると、第二塹壕線には、トーチカが設置されていた。

 勿論、トーチカからは激しい重機関銃シュパンダウの銃撃が続く。


 四つ並んだ灰色のコンクリートの建物であるトーチカ。

 その右端にあるトーチカが、味方部隊を攻撃しているらしいな。



「女騎士隊長を見なかったか?」


「見たよ、あそこだろう」


 衛生兵は、また同じトーチカを指差す。



『ドーーンッ! ドッカーーンッ!』


 驚いて、後ろに振り返ると、軽戦車《ルノーFT》が砲撃を開始したようだ。

 今ので、隊長達を攻撃していた、トーチカの上面が吹き飛んだ。


 しかし、銃撃は再び開始される。

 恐らく、中の兵士は無事だったのだろう。



『ドーーンッ! ドーーンッ! ドーーンッ!』


 その時、また右端のトーチカが吹き飛んだ。

 あの三連続の爆発は手榴弾だ。

 きっと、隊長達が投げ込んだのだろう。



『ドーーンッ!! カンッ!』


「対戦車兵だっ!」


 随伴部隊の隊長は叫ぶ。

 確かに今のは、対戦車用銃タンク・ゲヴェーアの攻撃だろう。

 幸い、軽戦車《ルノーFT》は穴が空いただけで、中の人間と機械は無事なようだ。



『ドーーンッ! ドッカーーンッ!!』


 今度は、右から二番目のトーチカへの攻撃が命中したらい。

 しかも、直撃だ。

 中に居た兵士は、今ので全滅しただろう。



「さて、対戦車兵だが? 居たっ! 左端のトーチカより離れた位置だっ!」


『ドドドドドドドドドドッ』


 俺の銃撃は直接当たらなくても、牽制くらいには成るだろう。



『ドドドドドッ』


『ドドドドドッ』


 それは、二つ残る左側のトーチカの連中も同じだろう。

 奴等も必死に、俺達正面の敵を撃っているが、それも終わりだ。


 何故なら、奴等の側面にはポリーヌ隊長達が居る。

 正面には、軽戦車《ルノーFT》が居る。


 そして、奴等の希望、隊戦車兵は・・・。



『タンッ! カチャ』


「仕留めたわよ?」


 女性兵士が、狙撃銃ルベル・ピュトーを撃ったか。


 今ので、対戦車兵は死んだな。

 これで、後はトーチカの連中だけだ。



『ドーーンッ! ボカッ!』


 左端のトーチカが、爆炎を上げて崩れた。

 これで、残るトーチカは後は一つだけだ。



『ドンッ!』


 トーチカの銃眼が煙を吹いた。

 ありゃ、隊長達が制圧したな。



「第二戦線は突破した、味方部隊を追うぞっ!」


 随伴部隊の隊長は、そう叫ぶと一足先に前進していく。

 彼に続いた兵士達は、走り出して塹壕から飛び出て行った。


 俺も後を追わないとな。



「急げ、歩兵部隊に置いてかれるぞ」


 背後を振り返れば、工兵部隊が丸太を塹壕に転がして入れていた。

 豆戦車《ルノーUE》の荷台から、下ろしたんだな。

 あれを踏ませて、軽戦車《ルノーFT》を前進させる気だな。


 それより、早く行かないとな。



「あ~~? 先に行った連中は何をしているんだ」


 先に前進していった歩兵部隊。

 彼等は、塹壕や壊れたトーチカの裏に隠れていた。



「おい、何だ? 何で前進しないんだよ?」


「アレよ、アレを見て」


 さっきの女兵士に聞いて見たが、彼女の指差す方を見ると、理由が分かった。


 第三塹壕線には、戦車が並ぶ。

 しかも、中には味方から滷獲した戦車もある。


 サン・シャモン突撃戦車が二台

 軽戦車《ルノーFT》が三台。

 重戦車《AV7》が二台。


 良くも、ここまで揃えたな。


 その背後、遥か後方には要塞が見える。

 ありゃ、コンクリート製の大型トーチカの様だな。

 横に伸びた窓である、複数の銃眼が見える。

 二階建てのようだが、砲台もあるなーー。



「不味い、こっちは戦力不足だ?」


 野砲、迫撃砲も備えているだろうな。



「ん・・・何処に行くんだ?」


対戦車用銃タンク・ゲヴェーアが、あったでしょ? アレを取りに行くのよ」


 対戦車用銃タンク・ゲヴェーアだと、確かにそうだな。

 アレを使えば、滷獲された軽戦車《ルノーFT》くらいは撃破できるだろう。

 他の戦車も、破壊まではできなくても、ある程度の損傷は与えられるはずだ。



「護衛に着いてきてくれる?」


「分かったぜ、狙撃手は敵兵が近寄るからな」


 アドリアン・ヘルメットの下に、長く伸びた栗色の髪。

 かなり薄い水色の瞳。


 この女狙撃兵は、捕まれば不味いからな。

 俺みたいな機関銃手の護衛は必要だろう。



「隊長、対戦車用銃を取りに行きます」


「そうしてくれ、フランシア」


 女狙撃兵は、フランシアと言う名前か。

 隊長の許可も出たみたいだし、さっさと行こうか。


 こうして、俺達はトーチカから離れて、塹壕線を進んで行った。



「あった、コイツは死んでいるわね?」


「もう二度と動かないだろうな」


 対戦車用銃を握ったまま死んでいる、ゾンビ兵。

 その死体を蹴ったくる、フランシア。


 俺も戦斧バトルアックスで、背中を叩き切ったが、反応は無い。

 どうやら、本当に死んでいるようだ。

 よく見れば、シュタールヘルムの後ろに穴が開いているのが見えた。

 フランシアの撃った一発は、コイツの脳髄を貫通したらしいな。



『カチャッ!』


「さあ、狙うわよ」


 フランシアは、塹壕の反対側に対戦車用銃タンク・ゲヴェーアの二脚を置いて、狙いを定めた。


 これで、いつでも敵の戦車隊を撃てるだろう。


 後は、いつ敵と味方が、一戦おっ始めるか待つだけだ。

済みません、投稿をミスりました。


11月、16日以降に見た方は気にしないでね。


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