dark shadow 33話 治癒の葉
アストラル、カリム、アスカは竜の姿で融合した。
だがそれで体力を過度に消耗したせいか、三人は倒れてしまった。
「カイラ、三人を頼む!」
カルアは山の斜面を登っていった。
「おい!頼んだってどういうことだ?」
「勇者がこうも簡単に殺せるときなんて他にないだろ!」
カルアは洞窟に入っていった。
山に登る方法はそれしかない。
その山は名もない霊山だった。
この世界では名前のない物には霊と呼ばれる。
カルアはハッとした。
アストラルの本当の名前、かみすけの存在、そして一つの身体を共有しているといってもいい。
アストラルは霊!?アストラルの言葉の意味は・・・星幽。
カルアは心の中にある疑問をそっとしまった。
そして崖を登っていった。
ここではあらゆる魔法が効かない。
空を飛ぶ力も山を降りないと使えない。
カルアは崖の上にのった。
そして上を見上げた。
黒い雲が覆いかぶさるように立ち込めた。
カルアは急いだ。
魔王軍が攻めてきているかもしれない。
山頂に着いてすぐに木の葉を三枚とって魔王軍がどこにいるのか探った。
大量の黒い翼が山の下に降りていっている!
「カイラ、もう少し持ちこたえてくれ!」
カルアは山頂から空高く飛び上がった。
そして雷を槍に収束させ、一気に空から攻撃を叩き込む。
「ギガスロー!」
三つの光の筋が槍の周りを回転し、魔物を襲う!
「取って来たぜ!」
「まだ敵はいるぞ!バッドゴイル、一般兵の寄せ集めか!」
カイラは右にいるバッドゴイルを斬って走り出す。
前方にいるバッドゴイルいるの腹を裂いて空から突撃してくるバッドゴイルに剣を向けた。
そのままブレーキが効かずにバッドゴイルは剣に突き刺さった。
空にいるバッドゴイルが斧を投げた。
カイラは後ろに宙返りし、背後にいたバッドゴイルの後ろに降り立った。
そして剣を上から振り下ろす。
カイラが戦っている間にカルアは三人に葉を飲み込ませる。
その途端に三人が目を覚ました。
「まずっ!ヴォエ!」
「おいなんだそりゃ?」
「この葉は世界一まずい葉で食べた人はたとえ死んでもまずすぎて生き返るんだよ。おまえも食べる?」
カルアはバッドゴイルの口を無理やり開けさせて葉を口の中にぶち込む!
バッドゴイルは泣きながらまずさに苦しんでいる。
「君達のぶんもあるよ?」
バッドゴイルは慌てて引き返していった。
同時に三人も近くの川へ走っていった。
「まっずい!」
3人が水を飲んでいる間を見計らって2体のバッドゴイルが向かう。
カルアは木の枝から枝へと飛び移って風の如く河原に着地する。
そしてカルアは槍に凄まじい気を集める。
槍は真空の刃を放ち、バッドゴイルを斬る!
「カルア、助かったぜ。すっげーまずかったけど。」
「えへへ。」
カルアは笑ってごまかした。
「ちゃんと飲みこめば身体の治癒力を促進する効果があるんだけどね。ただ味がねぇ。」
カイラは河原の近くまで来た。
「アストラル、これからどうするんだ?」
「フォアール村に向かおう。あの霧は不吉な予感がする。」
カルアは先頭を歩いた。
「木の形とかは俺しか分からないだろ?」
「案内頼むぜ!」
森を抜け、壊されたリーザ村にたどり着く。
中央の巨木は青々と葉が茂っている。
そしてその間からは木漏れ日が差し、光の筋を作り出していた。
その周りには水が円状に流れていて、日の光を反射して輝いている。
「そういえばリーザ村の建物とヘルティア王国にある建物は形が似ているな。」
建物は上から見るとLの形をしていて、道に向かって片方が突き出している。
そしてその横には梯子が付いていることが多い。
「リーザ村の人々は昔はヘルティア王国にいたんだ。もう本当に遠い昔だけど。」
「なんでこっちに来たの?」
「それは世界を守るためだね。今まで僕達はオーブの竜を倒してきたよね?あの竜は世界各地の守り神なんだ。」
アストラルが慌ててカルアの肩を掴んだ。
「それ倒したらだめじゃないのかよ!」
「いいんだ。守り神といえども魔王に操られてる。でもあの竜は元々ヘルティア王国を守る8体の竜だった。でもこの世界はヘルティア王国だけではないと知ったヘルティア王国の王は世界各地に竜を送り込んだ。火山、海、森、地中、天空、氷河、そして気候を操る風と雷。その源はオーブ。そのオーブを使えばこの世界と繋がる他の世界にも行けるかもしれないんだ。それは置いておいて、リーザ村に来た理由だが・・・。」
4人は首を傾げた。
「理由だが・・・。わからない!」
アストラルは不思議な感覚に囚われた。
この世界は何かがおかしい。まるでこの世界を繰り返し見ているような感覚だった。
当然そんなことはあり得ないことだと思っている。
しかし、アストラルは今まで見て来たものにはどこかで見たことがある。
それが例え始めて目にするものでも。
「夢でも見ていたのかな?」
全員がアストラルの方を見た。
「どうしたの?」
アスカは目を細めた。
「なんでもない。ちょっと俺がまずい葉っぱ食べる前に夢見たような気がしてさ。そんなことよりフォアール村に急ごう!」
実は今回の文字の数が2019文字なんです。
そんなことはいいとして読んでいただきありがとうございます。
短編の方も読んでいただけたら嬉しいです。




